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非常用電源未接続 「放置」「隠蔽」体質こそ問題 

「送電装置を置く場所をまちがえて設置したから、接続ケーブルの長さが足りなかった」・・というお粗末なミスを4ヶ月放置したまま3.11を迎え。結果、原子炉のデータが送られず「SPEEDI」活用に重大な影響をあたえた。その責任を東電と保安院がなすりあいをしている。
保安院は、全原発での点検を指示したとのことだが、事態を放置した体質、それを隠蔽してきた体質こそが問題なのである。
【原発データ装置非常電源未接続 拡散予測に影響 産経1/19】
【福島第1原発 電源、未接続 責任なすり合い 産経1/20】 

 こんな仕事をする電力会社と保安院が、コンピューターの解析だけのテストで、原発の再稼動は「妥当」と言う。
福島第1原発事故調査・検証委員会の最終報告や事故原因の究明ができてないもとで「妥当」と言えるはずがない。
 地震・津波の「耐性」についても、中央防災会議や各種の検討委員会で、被害想定など新たな知見、想定が次ぎつきとだされている途上である。「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波想定」が前提となる。

さらに、事故調の中間報告は、「耐震性」だけでなく危機管理など全体的な問題提起をしている。それを、どうそれぞれの原発で検証し、対策として実質化させたのか、というのもなくては、説明にもならない。

「試験の問題を受験者自身が作成し、自己採点して合否を決めるようなもの」と指摘する社説があるが、これらを普通「やらせ」と言う。

ケーブル未接続の「ミス隠し」とあいまって、電力会社も保安院も「再稼動」できない環境を自ら醸成している。


【社説:原発テスト 「結論ありき」と疑う 毎日1/20】

【原発テスト 疑問には答えていない 中日新聞1/20】
【原発安全評価「妥当」/これでは「見切り発車」だ 河北新報1/20】
【原発安全評価  「脱依存」忘れてないか 京都新聞1/20】

【原発データ装置非常電源未接続 拡散予測に影響 産経1/19】

 ■ずさん管理「人為ミス」

 東京電力福島第1原発の原子炉データを送信する機器の非常用電源が、事故まで未接続のまま放置されていたことが18日、明らかになった。「完全に忘れていたわけではない」と弁明する東電だが、原子力安全をないがしろにする東電のずさんさが改めて露呈した。事故対応で批判が集中した、放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」の活用にも深刻な影響を与えた可能性があり、今後の重要な検証課題となりそうだ。(原子力取材班)
 「(原子炉を監視する)ERSSは最も重要なシステムの一つ。事実であれば、東電の危機意識がまひしていたとしか言えない。深刻な人為ミスだ」
 九州大の工藤和彦特任教授(原子力工学)は事態の重大性を厳しく指摘する。
 失態はあまりにお粗末なものだった。非常用電源に差すはずのケーブルの接続先を誤っただけでなく、誤りに気付いた後も4カ月近く放置。ERSSを管理する原子力安全基盤機構から接続依頼があったが、東電は結果的に無視した形だ。
 関係者は「(東電は)ケーブルをつなぎ替えるつもりだったが、失念していたようだ」と証言しており、工藤教授は「100億円以上をかけたシステムが、こんなことで使えなくなるなんて…」と嘆く。
 原子炉データがERSSに送られなかったことは、ERSSの解析結果を活用するSPEEDIが適切に使われなかった問題に関わるとの指摘もある。
 SPEEDIをめぐっては、事故後に文部科学省や経済産業省原子力安全・保安院などが、仮定の放出量を入力して試算を行っていたが、「仮想の計算結果にすぎない」と、公表されなかったことなどが問題視されている。
 しかし、原子力災害対策本部の幹部は「原子炉からの(放射能の)放出量が分かっていなかったため公表するという発想に至らなかった。実際のデータがあれば、迷わず結果を公表していただろう」と話す。
 SPEEDIのデータが公表されたのは地震から12日後の昨年3月23日で、住民の避難には生かされなかった。政府の事故調査・検証委員会が公表した中間報告でも「(SPEEDIが活用されれば)より適切な避難経路や避難方向を選ぶことができた」として、住民に無用な被曝(ひばく)をさせた可能性を指摘している。


【福島第1原発 電源、未接続 責任なすり合い 1/20】

 ■保安院「東電の設置ミス原因」/東電「震災まで保安院と調整」

 福島第1原発の原子炉データを国の原子炉監視システム(ERSS)に送信する装置の非常用電源が外れたまま放置されていた問題で、非常用電源と送信装置をつなぐ接続ケーブルの長さが足りなかったのは、東電が送信装置を誤った場所に設置したのが原因であることが19日、経済産業省原子力安全・保安院の会見で明らかになった。保安院の原子力保安検査官が設置工事に立ち会っていたが、未接続に気付かなかったという。
 保安院によると、平成22年11月に行われた設置工事では、データ送信装置と非常用電源ケーブルは、現地の原子力保安検査官が詰める同原発内の部屋に置かれた。その際、工事をした東電側が送信装置を本来置くべき棚ではなく、別の棚に設置したため、非常用電源のケーブルが届かず、接続できなかったという。保安院が未接続を知ったのは、震災後に事故検証を進めていた昨年夏ごろという。

 保安院が未接続を把握後も公表しなかったことについて、森山善範原子力災害対策監は「私自身が知らなかったので、機会を逸した」と弁明した。
 全国の原発の原子炉データを把握・監視するERSS。そのシステムをないがしろにする“失態”をめぐり、当事者の東京電力と経済産業省原子力安全・保安院が19日、それぞれ会見を開いた。両者の説明はまったくかみ合わず、責任のなすりつけ合いの様相を呈した。(原子力取材班)
 東電は、ERSSへのデータ送信装置と非常用電源とが未接続だったため、データが送れなかったことは認めた。そのうえで、会見した松本純一原子力・立地本部長代理は「いつまでに(接続)工事をしなければならないのか、国と約束ができていなかった。緊急性が高い工事という認識はなかった」と述べた。
 地震の4カ月前から未接続のまま放置していたことについては、「接続工事をすると通常時のデータ送信が止まるため、ERSSを所管する保安院と調整していた」と説明。「作業をどうするか未調整のまま3月11日を迎えた」とした。
 一方、19日午後に緊急会見を開いた保安院の説明は、東電の見解とはまったく違う内容だった。
 「保安院としては、接続できていないことは(震災後の昨年)8月か9月ごろまで知らなかった」。保安院の森山善範原子力災害対策監はそう説明した。事実とすると東電が説明した「保安院との調整」はなかったことになる。
 森山氏によると、平成22年11月に東電が非常用電源を接続しようとした際、保安院が監視システムの管理を委託した原子力安全基盤機構が立ち会った。原子力保安検査官もいたが、保安院本院への報告はなかったという。

 保安院会見に同席した同機構の担当者は「東電には接続しておくように指示した」と証言し、東電説明とニュアンスが異なる。接続できなかった原因も東電と保安院の言い分は食い違う。東電は「事前に(ケーブルの長さを)確認して用意したが、情報が違っており、長さが足りなかった」と説明。保安院は「東電が(非常用電源の)設置場所を間違えたため届かなかった」。

 工事実施の経緯についても、東電は「自主的な取り組み」を強調したが、保安院は「機構が全国の原発に指示したもの」という。

 安全に関する大問題にもかかわらず、大きく食い違う言い分。どちらが事実なのか。東電は「事実として把握しているのは説明した通り」と主張、保安院の担当者は「東電はなぜそんな説明をするのか…」と話している。

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