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これでは介護崩壊が加速する 実質マイナス改定 保団連

 全国保険医団体連合会の声明。野田首相は、介護報酬を「引き上げた」というが、介護職員処遇改善交付金廃止のため1千600億円あまりの実質マイナス。「このままでは介護が崩壊する」と・・・
 また、政府の「形式プラス」の表現について、ニッセイ基礎研究所のコラムが、違和感をおばえる、と書いている。
【これでは介護崩壊が加速する 国庫負担を拡充し、介護報酬の引き上げ・改善を1/26】
【プラス改定の意味 ニッセイ基礎研究所1/20】

 ニッセイのコラムは内容ではなく“「形式」は正しいが“医療と介護の現場が直面するであろう「実質」とは正反対のイメージを世の中に発信した虞がある”“、「前回はプラス改定だったのだから・・・(今回は諦めて)」、「2回連続のプラス改定は国民的理解が・・・(到底得られない)」と使われることもある。”と「実質」をつらぬくべきと書いている。

【これでは介護崩壊が加速する 国庫負担を拡充し、介護報酬の引き上げ・改善を1/26】

1.実質マイナス改定では、介護崩壊が一層進む。

 1月25 日に開催された社会保障審議会「第88 回介護給付費分科会」は、2012 年度介護報酬改定案を諮問通り了承した。

 改定内容は、昨年12 月末に政府が決定した「介護報酬の2%に相当する介護職員処遇改善交付金を介護報酬内化した上で、介護報酬を1.2%引き上げる」とした実質マイナス改定を前提としたもので、基本報酬の多くが引き下げられている。
これまでどおり介護職員処遇改善交付金を交付する場合は、来年度ベースで1900 億円の国庫支出が必要だが、1.2%の介護報酬引き上げに要する国庫負担は約255 億円に引き下がる。国庫負担削減のツケは、利用者・ 国民(保険料・利用料負担増、地方負担増)と、サービス事業者・介護職員に押し付けられるが、これでは介護崩壊が一層進んでしまう。

 政権与党の民主党は、2009 年総選挙における「民主党の政権政策Manifesto2009」において「介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」ことを国民に約束したが、介護職員処遇改善交付金の介護報酬内化は、国民との約束を反故にするだけでなく、2009 年に自公政権が創設した介護職員処遇改善交付金の考え方(被保険者や利用者、地方負担によらず国が責任をもって処遇改善を行う)からも大きく後退するものである。

 そもそも、介護報酬は、介護事業所の必要経費を補填するとともに、公的介護保険の範囲や質・量を規定するものだが、その役割は、それだけにとどまらない。
 平成22 年版厚生労働白書では、『とりわけ、医療・介護分野については、経済波及効果及び雇用創出効果がある。このため、…成長と雇用の創出が期待される』、『社会保障を持続可能なものにするとともに、その充実を図り、不安を取り除くことで、消費を促し、経済を活性化させることも期待できる』と明記している。
こうしたことから、補正予算対応を含めて国庫負担を拡大し、介護報酬の実質的なプラス改定を行うことを改めて求めるものである。

2.介護報酬を引き下げての地域加算の見直しは介護サービス事業の運営を一層困難にする。

 地域加算の大幅な見直しを行う一方で、多くの基本サービス費が引き下げられている。
 見直しに必要な費用について厚生労働省は、全体の報酬を引き下げて捻出すると説明していたが、これでは、「その他」地域等における事業運営は一層困難になる。早急に基本サービスの引き上げを行い、報酬の底上げを行うべきである。

3.「同一建物居住者」に対する居宅療養管理指導の引き下げを撤回すること。

 諮問・答申では、医師、歯科医師等の居宅療養管理指導を、「同一建物居住者」とそれ以外で区分し、「同一建物居住者」の報酬を10%削減している。
 しかし居宅療養管理指導は、「居宅療養上の指導や他の事業所との連携」を評価するものであって、訪問診療にかかわる費用は、医療保険で評価している。
したがって、「同一建物居住者」の居宅療養管理指導を減額する理由はない。居宅療養管理指導の引き下げを撤回すべきである。

4.リハビリテーションは、維持期を含めて医療保険から給付を。

 医療保険で給付している維持期リハビリを介護保険に誘導するため、これまで1月に13回を限度として1日につき80 単位を加算していた「個別リハビリテーション実施加算」が、1月に13 回を限度に80 単位を1日に複数回算定できることとされた。
 しかし、介護保険のリハビリは、区分支給限度額の枠内でケアプランに組み込まれて初めて実施可能であり、医師が必要と認めても実施できない場合が少なくない。
そもそも維持期を含めてリハビリは、医師が指示するOT・PT・ST 等の専門職種による医療行為であり、患者の病態に応じて医療保険から給付されるべきである。

5.施設介護切捨ては許されない。

 介護療養型医療施設の報酬は、ユニット型も含めて大幅に引き下げられた。これによる影響は、100 床当たりで年間700 万~1000 万円もの減収となる。
 また、その他の施設介護についても軒並み報酬を引き下げるとともに、老健施設については、在宅に移った割合やベッド回転率によって報酬に差をつけた。
 政府は、施設サービスの切り捨てを進めようとしているが、施設は介護を必要とする者と介護をする者が一箇所に集まることで、設備も人員も、そして介護のノウハウも蓄積するというメリットがある。居宅における療養環境を改善し、希望する者が居宅で必要な介護を受けられるようにすることは当然だが、施設の方が介護サービスの効率が良く、医療ニーズへの対応もしやすいという点を無視してはならない。
 施設の報酬を引き上げ、介護療養病床廃止を撤回することが必要である。

6.口腔機能の維持管理の評価の充実を行うこと。

 「経口維持加算」の算定基準に「歯科医師との連携、言語聴覚士との連携の強化」が追加され、歯科衛生士が入所者に口腔ケアを月4回以上行った場合の加算が新設される。
 口腔ケアの充実は、保団連として求めてきたものであり、介護にとって重要である。しかし、これらを効果的に行うためには、歯科医師や歯科衛生士が施設に行って直接患者に治療やケアが行え、その報酬を受けられるようにすべきである。

7.介護職員等による喀痰吸引等に対する安全性の確保の徹底を行うこと。

 介護職員等による喀痰吸引等の実施について評価したが、喀痰吸引等の実施は、本来看護職員が行うべきものであり、訪問看護による実施を推奨すべきである。少なくとも介護職員等による実施にあたっては、十分な研修の実施と、実施体制の確保、事故やヒヤリ・ハット情報を把握するなど、安全性の確保を徹底し、必要に応じて適宜見直しを行うべきである。

8.居宅介護支援の報酬引き上げを行うこと。

 介護事業経営実態調査によると、平成23 年度における居宅介護支援事業の収支差は、▲3.2%であった。介護給付費分科会では、取扱い件数が少ないことが原因との指摘があったが、その人の状況にあったケアプランの作成には多くの時間がかかる。居宅介護支援事業の独立性やケアプランの質の向上を確保するためにも、居宅介護支援の報酬を大幅に引き上げるべきである。

9.訪問介護の報酬区分の切捨てを行わず、生活援助をしっかりと評価すること。

 生活援助の時間区分が、これまでの60 分以上291 単位から45 分以上235 単位に引き下げられるなど、訪問介護の時間区分と報酬が切り捨てられている。
 訪問介護の必要性は一様ではなく、利用者が置かれている環境や利用者の持つ能力などによって様々であり、60 分あればできた生活援助が45 分では完結しなくなる場合も多い。
生活援助をしっかりと位置づけ、訪問介護の報酬区分の切捨てを行うべきではない。

10.告示・通知の発出から実施まで、十分な周知期間を設けること。

 2006 年の診療報酬と介護報酬の同時改定では、4月から改定される内容が3月下旬~4月に入らなければ判明せず、しかも誤りが多く、介護現場に大混乱をもたらした。こうした事態にならないよう、早急に告示・通知を発出すべきである。


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