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賃上げと雇用条件改善で超円高・デフレ不況の克服 労働総研試算

内需低迷によるデフレと円高の打開策は、GDPの6割を占める家計、その要となる賃金、働く条件の改善である。
 労働総研が経済連関表を使い試算――①正規労働者の月1万円の賃上げ ②パートタイム労働者の時給100円アップ ③不払い残業根絶、④年次有給休暇の完全取得、⑤週休2日制の完全実施、を実施すれば、国内生産19.7兆円、GDP11.3兆円拡大。新規雇用466.1万人を創出し、国・地方で計2兆円の増収
 給与改善にかかる額は18兆円だが、460兆円の内部留保(資本金10億円以上の大企業だけで266.2兆円)のほんの一部で達成できる。というもの。
【賃上げと雇用条件改善で超円高・デフレ不況の克服を――内部留保をわずか3.94%活用すれば可能―― 労働総研2012/1】

「2012年春闘提言」発表にあたって


2012年1月19日 労働総研・労働者状態統計分析研究部会

【労働総研の主張】
 日本経済はいま、深刻な危機、超円高・デフレ不況に直面している。この危機を生み出した最大の要因は、国際競争力強化を旗印にした企業が海外市場で売り上げを伸ばし、膨大な利益をあげながら、設備投資にも回さず、労働者にも配分せずに、内部留保としてため込んできたことである。その結果、日本経済は、外需依存体質となり、国内では深刻な需要不足に陥り、構造的なデフレ体質になってきた。
 提言では、こうした状況を踏まえ、(1)日本経済の深刻な危機を打開するためには、外需依存の経済構造を改め、内需を拡大し、経済構造の基盤をしっかりと再構築する必要がある、(2)そのカギは、国際競争力強化、企業利潤第一主義の経営を、国民生活重視、従業員重視の方向に転換することであり、労働者の賃金引き上げと深刻な雇用・失業問題の解決が第一歩となる、(3)その際、これまでに溜めこんできた膨大な内部留保を社会的に還元・活用することは、極めて有効である――という見地から、賃上げと働くルールの厳守による雇用創出と、それによる経済効果について試算した。

【試算内容と結果】
 今回の試算は、2012年春闘の当面するミニマムの課題として、(1)正規労働者の賃金を月1万円引き上げ、(2)パートタイム労働者の時給100円引き上げ、(3)不払い残業(サービス残業)の根絶、(4)年次有給休暇の完全取得、(5)週休2日制の完全実施の5つにしぼって、産業連関表を活用して計算した。その結果、下表のように、国内生産を19.7兆円、GDPを11.3兆円拡大し、新規雇用を466.1万人創出することが分かった。また、税収も、国・地方を合わせて2.0兆円の増収を期待することが出来る。

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【内部留保のわずか3.94%で実現可能】
 これらの改善で増加する現金給与総額18兆1373億円は、企業の側から見れば人件費の増加になるが、2010年度末で460.9兆円もの内部留保(資本金10億円以上の大企業だけで266.2兆円)が溜まっており、そのわずか3.94%を充てれば実現可能である。また、原資を過去10年間の内部留保増加分242.7兆円(同131.8兆円)に限っても、その7.47%を充てれば済む。

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