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武器輸出 国是より「財界救済」

「包括的な例外化」・・これ日本語?
敵基地攻撃能力のあるF35kを導入につづき、武器輸出差原則の骨抜き。地方紙の社説「憲法理念を骨抜き」「死の商人政策」など国是をなし崩しにすることへの批判記事が並ぶ。
経団連会長は「画期的と評価」。TPP、消費税、原発輸出・・・どれも財界の要求どおり。「国内で売れない武器を海外で売ろうとするのは、国内で新規建設ができない原発を輸出しようとするのと同じで、はじめに産業界の救済策ありきではないのか。」の指摘も。とんでもない内閣である。
【武器輸出 三原則緩和は許されぬ 北海道新聞12/28】
【武器輸出緩和 憲法の理念が骨抜きに 信濃毎日12/28】
【武器輸出三原則 歯止めなき緩和許すな 東京/中日新聞12/7】
【武器輸出  なし崩しの三原則緩和 京都新聞12/28】
【武器輸出三原則 あまりに拙速な見直しだ 山陽新聞12/28】
【武器輸出三原則 歯止めなき緩和は危うい 西日本新聞12/28】
【武器輸出緩和 国のかたちを簡単に曲げるな 愛媛新聞12/29】
【武器輸出緩和 国是をなし崩しにするな 高知新聞12/28】
【武器禁輸緩和へ 許せぬ「死の商人」政策 琉球新報12/24】

 外務省のパンフは
 「日本は武器輸出三原則等に基づき、原則として武器輸出を行っていません、輸出を前提とした軍需産業もありません、このため、国際社会に小型武器問題が提起されて以来、国連を中心とする枠組みを通じて国際社会をリードしています」とかかれている。
 こうした他国にない国際的な役割、大義を失うことになる。

【武器輸出 三原則緩和は許されぬ 北海道新聞12/28】

 半世紀近く守ってきた平和国家としての「国是」ともいえる政策を、国会論議もなく見直すことに危惧を覚える。
 政府はきのうの安全保障会議で武器と関連技術の輸出を禁じる武器輸出三原則の緩和を決めた。
 欧米諸国など友好国との共同開発・生産と人道目的での装備品供与を解禁する。
 共産圏や紛争当事国などへの禁輸は続けるとするが、日本が生産した武器がこうした国々やテロ組織に渡らない保証はない。
 防衛産業に配慮するあまり、国民への説明もなく歯止めを外すことは許されない。政府は三原則緩和を撤回すべきだ。
 武器輸出三原則は1967年に佐藤栄作首相が《1》共産圏《2》国連決議で禁止した国《3》国際紛争の当事国―への輸出は認めないと表明した。76年には三木武夫内閣がそれ以外への輸出も慎む政府統一見解を示した。
 これ以降自民党政権は米国への武器技術供与、ミサイル防衛(MD)関連の共同開発・生産などを個別に例外として認めた。
 今回の緩和はこうした個別判断をやめ友好国との開発や人道目的ならばいいと包括的に歯止めを外した。乱暴な判断だと言わざるをえない。
 三原則緩和が加速したのは政権交代後だ。民主党は昨年暮れ、厳格な輸出制限をしている国との共同開発を認めるよう提言した。新防衛計画大綱での見直しも目指していた。
 戦闘機など装備品の高性能・高価格化に対応するにはライセンスを買わずに済む共同開発への参画が必要だ、という防衛産業や防衛省などの論理に乗ったものだ。
 今後は一つ一つの例外について国会などの論議を経て判断する手順を踏まず、新基準の枠内だとして防衛省レベルで共同開発などを認める可能性もある。
 民主党が掲げてきた政治主導の看板倒れも甚だしい。
 政府は今月、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に9カ国が共同開発したF35の導入を決めた。今後はこうした開発に日本も参加を目指すことになる。
 だが友好国といっても国際関係は多様だ。中東の紛争国と友好関係にある欧米の国もある。そこに日本の開発した武器が行く恐れを否定できない。

【武器輸出緩和 憲法の理念が骨抜きに 信濃毎日12/28】

 憲法が掲げる「平和国家」の理念が骨抜きにされかねない状況になった、と認識するべきだろう。
 政府は、これまで国是としてきた「武器輸出三原則」を見直し、事実上の禁輸政策を大幅に緩和する新しい基準を了承した。これほどの政策転換は、三原則が確立して以来初めてのことである。
 “武器輸出国”になったことを国際社会に表明したことで、日本がテロや紛争に巻き込まれる危険性がより高まった。
 日本の行方にかかわる問題なのに、国民的な議論をすることもなく、前のめりで決定した野田佳彦内閣をはじめとする民主党政権の姿勢は問題だ。原則の見直しは容認できない。
 三原則は▽共産圏諸国▽国連で決議された武器禁輸国▽紛争の当事国―への武器輸出を禁じた政策である。1967年、当時の佐藤栄作首相が国会で表明し、その後全面禁輸となった。
 この政策は国会決議や法制化には至らなかった。このため、米国への武器技術供与やミサイルの日米共同開発など、見直しが迫られる状況になるたびに官房長官談話を発表する形で、個別に例外扱いしてきた経緯がある。
 今回の見直しは、格上げされた禁輸政策が葬られたことを意味する。まず、平和貢献や国際協力における防衛装備品の「海外への移転を可能にする」と明記した。国際共同開発・生産については安全保障面で協力関係があり、日本の安全保障に資する場合にその国と実施する、と決めた。
 どちらも日本の同意がない目的外使用や第三国への移転を禁じ、厳格な管理が行われることを前提としている。
 けれど、具体的な管理の仕方まで踏み込んでいない。約束が守られる保証はない。武器輸出の条件として平和貢献や国際協力を掲げているが、いかようにも解釈できる内容であり、心もとない。
 なし崩しで武器輸出が拡大したり、第三国へ渡ったりする可能性が否定しきれない。その武器が使用されることで日本が敵とみなされる恐れもある。
 武器輸出を国民が監視できる仕組みが必要だ。野田政権は責任を持って提示するべきだ。
 日本を取り巻く安保環境が大きく変わるというのに、民主党政権は米国の圧力に押される格好で、突っ込んだ議論もせずに見直しを決めている。憲法との整合性が問われる問題を軽々に扱う政治姿勢は理解に苦しむ。

【武器輸出三原則 歯止めなき緩和許すな 東京/中日新聞12/7】

 政府は武器と関連技術の輸出を禁止している「武器輸出三原則」の緩和を二十七日、官房長官談話の形で発表する。野田内閣は国会論議もないまま、「平和国家」の看板を下ろそうというのか。
 三原則見直しが本格化したのは政権交代後である。自民党政権では官房長官談話で巡視艇供与を認めた例はあるが、民主党政権は三原則を歯止めなく緩め始めた。
 菅内閣は今年六月、日米で共同開発を進めているミサイルの第三国への輸出を認める方針を米国に伝えた。二十七日の談話発表は、三原則緩和の第二弾にあたる。(1)米国や友好国との国際共同開発・生産への参加(2)自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などの海外派遣で使用した装備品の人道目的などの供与─を可能にする。
 ちょっと待ってほしい。武器を共同開発する相手国と日本の国益は必ずしも一致しない。米国なら日本との間で共同開発した武器を同盟国のイスラエルに売却するかもしれない。友好関係を保ってきたアラブ諸国から反目され、日本の中東外交が揺らぐことになる。
 PKOでは、武器とみなされ、供与できない装備品の重機に代わって民生品の重機を持ち込み、供与する方式が定着している。東日本大震災では自衛隊の重機が不足し、レンタル品を使った。供与しても国内活動に支障のない装備品など本来、あるはずがない。
 三原則緩和の背景に、民主党が支持基盤を防衛産業に広げる狙いがあるのだろう。北沢俊美前防衛相は二〇一〇年一月、日本防衛装備工業会の賀詞交歓会で、初めて三原則緩和に触れた。戦車、護衛艦、戦闘機の製造にかかわる企業は一千社を超えるが、装備品調達額は一〇年度、ピーク時の六割六千八百億円まで減った。そこで浮上したのが武器輸出である。
 二十七日の官房長官談話は、一〇年七月に経団連が発表した「新しい武器輸出管理原則」と驚くほど似ている。三原則緩和の裏に、産業界の要求を丸のみする代わりに政権を支えてほしい、そんな思惑がうかがえる。
 国内で売れない武器を海外で売ろうとするのは、国内で新規建設ができない原発を輸出しようとするのと同じで、はじめに産業界の救済策ありきではないのか。
 日本が国際武器市場へ参入することになる三原則緩和は断じて認められない。抑制的な防衛政策を放棄するに等しい官房長官談話の発表は見送るべきだ。

【武器輸出  なし崩しの三原則緩和 京都新聞12/28】

非核三原則と並び、日本の国是といわれてきた武器輸出三原則が大幅に緩和されることになった。
 佐藤内閣が武器輸出三原則を打ち出した1967年以来、初の抜本的な緩和となる。にもかかわらず、議論を尽くした形跡は見られない。政府は国際紛争の助長を回避する三原則の精神は堅持すると強調するが、現実路線に名を借りた、体のいいなし崩しでしかない。
 藤村修官房長官がきのう、談話として新たな基準を発表した。
 具体的には、米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国、オーストラリア、韓国などとの国際共同開発・生産への参加、人道や平和構築を目的に装備品の供与を可能にする-の2本柱だ。装備品供与は、自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などで使用した重機や防弾チョッキなどを派遣先国に提供することを想定している。
 見直しの背景には国内の防衛産業の低迷がある。予算圧縮で装備品の調達が減っているだけでなく国際共同開発が主流となる中、三原則が制約となり参加できなかった。共同開発に加われば技術基盤の高度化とともに武器を低コストで取得できるという期待もある。
 政府はこれまで、83年に米国への武器技術供与を例外扱いしたのを手始めに官房長官談話を発表する形で個別に例外を設けてきた。ミサイル防衛(MD)の日米共同開発・生産や政府開発援助によるインドネシアへの巡視船提供なども、個別に例外と認めてきた。
 今回は一転、個別案件を指定せず、包括的な緩和とする。基準を満たせば防衛装備品の海外移転は格段に進むだろう。例外と原則が逆転し、野放図に拡散しないか。
 その担保として、政府は防衛整備品の第三国移転に日本の事前同意を義務付け、「厳格な管理」をうたう。だが、仮に日本が開発に参加した武器を米国が紛争の絶えない同盟国イスラエルに売却する意向を示した場合、日本は反対を貫けるのか。はなはだ疑問だ。
 米国を例外扱いした時点で、既に三原則は形骸化していたとの指摘もある。だが、そうだとしても本当に歯止めを外した瞬間、抑制は音を立てて崩れてしまう。
 日本の外交・防衛政策の大きな転換点である。しかし、政府内の議論はわずか1カ月足らずだった。
 民主党は昨年末にも緩和を図ろうとしたが、国会運営で協力を取り付けたい社民党の反発を受け、断念した経緯がある。それとて国会対策レベルの話ではなかろう。
 年内決着を掲げた社会保障と税の一体改革の雲行きは怪しく、それ以前に震災復興や脱原発依存の道筋など政府・民主党が結果を出すべき課題は山積している。国是の見直しを優先した民主党政権の政策判断には疑問をぬぐえない。

【武器輸出三原則 あまりに拙速な見直しだ 山陽新聞12/28】

 政府が、武器輸出三原則に基づく事実上の禁輸政策の大幅な緩和を決めた。国際共同開発・生産への参加と人道目的での装備品供与を可能とする。1967年に佐藤内閣が表明して以来、抜本的な見直しは初めてである。しかし丁寧な国内議論を尽くしたとは思えず、あまりに拙速と言わざるを得ない。
 見直しは共産圏と紛争当事国、国連決議による武器禁輸国への輸出を禁じた三原則は維持しつつ、安全保障面で協力する米国や友好国との国際共同開発・生産へ道を開くものだ。目的外使用や第三国移転に日本の事前同意を義務づけることで、政府は「平和国家の理念は堅持し、厳格な管理で対応していく」と一定の歯止めを強調する。
 戦闘機などハイテク装備では共同出資や分業でコスト削減を目指す国際共同開発が主流となっている。このため国内の防衛関連産業にとって三原則は大きな制約だ。流れに乗り遅れれば生産技術基盤の維持が難しくなり、日本の防衛費のコストアップにつながるとの懸念がその背景にある。
 だが三原則は「非核三原則」と並び、日本の外交・安全保障の柱となる理念である。戦後の平和外交の象徴ともいえ、見直しには慎重の上にも慎重を期すべきなのは当然であろう。
 三原則はこれまでにも徐々に形骸化が進んできた。83年には米国への武器技術供与、2004年にはミサイル防衛(MD)の日米共同開発・生産が例外扱いとなり、今年6月にはMDの一環で開発した海上配備型迎撃ミサイルの米国から第三国への輸出が容認された。なし崩し的な危うさを禁じ得ない。
 日本の技術が組み込まれた兵器が戦場で使われる可能性がないとはいえない。次期国会での十分な議論が必要だ。

【武器輸出三原則 歯止めなき緩和は危うい 西日本新聞12/28】

 政府は、武器と関連技術の輸出を原則として禁じている「武器輸出三原則」の緩和を決め、きのう官房長官談話の形で輸出容認基準などを発表した。
 これにより、これまで禁止してきた欧米諸国との兵器や装備の共同開発・生産への参加や、平和・人道目的の装備品の海外供与が可能になる。
 三木武夫内閣が1976年、事実上の武器輸出の全面禁止を打ち出して以降、政府は対米協力やテロ対策などを理由に三原則に例外措置を設けてきたが、今回の緩和は三原則そのものの変質につながる、抜本的な見直しとなるものだ。
 状況を考慮して政策を修正することの大切さは、私たちも否定しない。時代や情勢の変化に応じて、適切に政策を見直すのは政治の重要な役割である。
 とはいえ、武器輸出三原則は「専守防衛に徹して他国への脅威とはならない」という戦後日本の抑制的な防衛政策を象徴する柱の一つである。
 非核三原則とともに、佐藤栄作内閣以来40年以上にわたって日本の平和外交を支えてきた理念であり、外交・安全保障の根幹をなしてきた政策でもある。
 平和国家の「看板」と言ってもいい。その看板を下ろすことは大きな政策転換を意味する。当然、十分な検証と議論による慎重な見極めが欠かせない。
 にもかかわらず、武器の海外供与に道を開くことが、戦争放棄と武力不保持を定めた平和憲法を持つ国の政策として妥当なのかどうか。民主党政権になって、国会の場でそんな議論が真剣に戦わされた記憶はほとんどない。
 今年6月、日米が共同開発した迎撃ミサイルの欧州配備を可能にするため、米国からの第三国へのミサイル移転を容認した日米合意の際にも、事前に菅直人政権が国会に説明した形跡はない。
 そして今回、野田佳彦政権は武器の国際共同開発への参加を容認した。三原則の事実上の政策転換であるのに、政府内に設置した検討会議の初会合から2カ月足らずでの決定だった。
 武器輸出緩和の背景には、米国や国内産業界の強い期待と要請がある。三原則の厳格な運用が続けば、航空機やミサイルなど最新鋭装備の共同開発ができず、千社を超える日本の防衛関連産業は国際的な技術革新に取り残される。
 その懸念は理解できる。しかし、そこでは「眼前の経済低迷」から抜け出す方策として武器禁輸見直し論が語られ、三原則が果たしてきた役割や評価の検証は後ろに追いやられている。
 経済・景気の立て直しは政権が直面する重要政策課題である。だからといって国際社会で日本の信頼を高めてきた平和国家の証しでもある「武器を輸出しない」という原則を捨てていいものか。
 外交・安全保障に関する政治理念を明確に語らぬまま、米国や経済界に配慮しながら防衛政策の転換を進める野田政権には、危うさがつきまとう。

【武器輸出緩和 国のかたちを簡単に曲げるな 愛媛新聞12/29】

 政府が国是として武器の輸出を原則的に禁ずる「武器輸出三原則」を大幅に緩和する官房長官談話を発表した。慌ただしい年末、どさくさ紛れも大概にしてもらいたい。
 武器輸出三原則は、非核三原則と並び「専守防衛に徹し他国の脅威にならない」とする戦後防衛政策の要である。国会論議もなく、たった数回の副大臣級会議を開いた程度で変えられるものではない。
 野田佳彦政権は平和国家の看板を捨て去るつもりか。国のかたちを簡単に曲げる愚行を看過できない。談話の白紙撤回を強く求める。
 これまでも政府は武器輸出の「例外」を認めてきた。自民党政権下では、インドネシアへの巡視艇供与、ミサイル防衛の日米共同開発・生産などを解禁した例がある。国際情勢をかんがみ、一件一件を吟味し、不十分ながらも歯止め策を講じている。
 ところが、民主党政権は無節操に三原則を緩め始めたようだ。今回の緩和は、国際的な武器の共同開発・生産への参加に道を開き、自衛隊が海外派遣で使用した装備品の人道目的供与を可能にする。一定の基準を設けるとはいえ、一律「例外」扱いだ。つまり吟味の手間を省くわけで、ほとんど原則放棄に等しい。
 近年は民需と軍需の境界が曖昧になっている。電子工学技術の向上で民生品が容易に軍事用途を満たしてしまうからだ。ゆえに三原則の建前化が指摘されて久しい。
 だからといって安易な現状追認に流れてはいけない。憲法と自衛力、日米安全保障との整合性を保つため、ぎりぎりの選択をする知恵と努力を惜しんではならないはずだ。
 もっと想像力をはたらかせてほしい。武器を共同開発する相手国の利益と日本の胸算用は必ずしも一致しない。
 たとえば、米国は日本が開発に参加した武器をイスラエルに売るかもしれない。アラブ諸国の反感をかうような方針に、政府がどれだけ反対を貫けるか。紛争に関与せず、独自の友好関係を築いてきた日本の中東外交が水泡に帰す恐れも出てくる。平和軍縮の発言力は低下してゆく。
 野田政権は文字通り「軍門に下った」と言わざるを得ない。談話の内容は日本経団連が昨年夏にまとめた提言の丸のみであり、予算削減にあえぐ防衛産業への配慮が前面に出た。政権交代直後にこじれた財界との関係を修復し、民主党の支持基盤を広げたいのだろう。そこに潜む日本版軍産複合体の芽吹きを見落とすと将来に禍根を残す。
 ハイテク化が著しい主要装備品は共同開発が主流であるのは事実だ。が、無駄と非効率の排除を国際武器市場だけに求めてよいのか。平和思想に裏打ちされてきた日本の技術力が汚れたものになる。

【武器輸出緩和 国是をなし崩しにするな 高知新聞12/28】

 日本が40年以上も国是としてきた武器輸出三原則が、空文化してしまう恐れがある。
 政府の安全保障会議は、武器の国際共同開発や生産、提供への道を開く新基準を了承した。それを受けて藤村官房長官は、平和貢献や国際協力に関係した防衛装備品の海外移転などを認める談話を発表した。
 1967年、佐藤内閣時代に定めた三原則は、共産圏諸国と国連決議による禁輸国、紛争当事国への武器輸出を禁止した。ただ83年、米国への武器技術供与を契機に、いくつか「例外」を設けており三原則の空洞化は既に始まっていた。
 しかし新基準は、これまで一定慎重に検討してきた「例外」の枠を大幅に緩めてしまった。政府が平和貢献や国際協力であると認める案件は「包括的に例外措置を講ずる」としたためだ。
 戦闘機やミサイルなどハイテク化が進む主要装備品は、国際的に共同開発が進んでいる。そうした兵器も政府が「平和に貢献する」などと判断すれば開発に参加できるようになる。
 高性能で強い破壊力を持つ兵器が、仮にそうした理由で開発されて、それが日本が貫いてきた専守防衛の理念と合致するのだろうか。
 共同開発への参加は、国内防衛産業の活性化と兵器調達コストの削減につながるという。そうではあっても兵器が専守防衛の枠から外れていれば、戦後築き上げてきた平和国家としての名は廃る。
 共同開発国は、米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国などを想定しているようだ。しかし中東で紛争が絶えないイスラエルも米国の同盟国の一つだ。そうした国に開発した武器が提供される可能性はゼロではない。
 談話では第三国への武器提供は日本政府の事前同意が必要だと、歯止めをかけている。だが共同開発した兵器がどう扱われるか、確かめる方法が政府にはあるのだろうか。
 そもそも政府は、武器輸出の緩和についてどれほど国民の声を聞いただろう。与党内や野党の一部にも強い反対意見がある中、こんなに急いで新基準を示す必要はなかったはずだ。
 平和貢献を進めたければ、武器の共同開発ではなく、政府開発援助(ODA)や対話など外交努力にもっと力を注ぐべきだ。国是をなし崩しにするような新基準なら到底認められない。

【武器禁輸緩和へ 許せぬ「死の商人」政策 琉球新報12/24】

 日本は国際武器市場に参入し、国際紛争を助長する「死の商人」となる道を歩もうとしている。
 政府は武器輸出三原則に基づく禁輸政策を緩和し、国際共同開発・生産への参加と人道目的での装備品供与を解禁する方針を固めた。藤村修官房長官が談話を発表する方向で調整しているという。
 1976年に政府統一見解で事実上の全面禁輸を決めて以降、例外措置はあったものの、抜本的な見直しは初めてのことだ。
 見直しは武器輸出に道を開こうとするものであり、日本の国の在り方に関わる重要問題だ。だが9月の野田政権発足後、国民議論を提起し、関係閣僚が議論を尽くした形跡はない。あくまで防衛産業や米国の意向に添った見直しだ。
 三原則は単なる政府の指針ではなく、戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法9条を具体化した施策だ。その精神を踏みにじるような見直しなど、到底認められない。
 政府は、装備品をめぐる国際環境の変化に合わせた見直しの必要性を強調。欧米との国際共同開発・生産に参加し、限られた予算で技術レベルの高い装備品を取得したい考えだ。
 しかし、共同開発の相手国に移転した技術や部品、完成品が紛争当事国に流れ出ない仕組みが実効性を持つ保証はない。
 武器の売却・提供もできるようになれば第三国への転売などにより、日本製の武器が戦場で使われ、死者を出す可能性も否定できない。
 三原則はもともとは首相の国会答弁にすぎなかったが、歴代内閣が堅持してきたことにより「武器輸出でもうける国ではない」「平和国家日本」という国際的なイメージが定着した。
 武器輸出三原則は、非核三原則などとともに、平和国家・日本の「象徴」として平和・軍縮外交での発言力の根拠ともなってきた。
 今回の三原則見直しは「日本は武器輸出国になる」というメッセージとなり、国際社会からの信用を失ってしまう。当然ながら日本が推進してきた軍縮外交も説得力がなくなる。
 国際社会で果たすべき日本の役割や安全保障に関わる国民的な議論、合意もないまま「憲法の精神」がなし崩し的に変更される事態は、国民主権にも反する。
 国民は「平和国家」の看板を下ろすような、誤った政策の実行を民主党政権に委ねたわけではない。

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