財政論議を振り返る 高知市政
岡崎市長は、市長選の討論会で、財政危機の原因を「三位一体改革」をあげ、財政再建として「人件費削減」が大きかったと答えた。今議会でも「三位一体改革による・・・危機的な財政状況」と説明し、対策に第一に「内部管理費の削減」「定員適正化に人件費の削減」を言っているが・・・
これは、財政議論の到達点を無視したものある。過去の記事から拾ってみた。
市は、地方財政の専門家・小西砂千夫氏(関西学院大学教授、財政制度等審議会専門委員)を座長に議論してきた。
第一回目の高知市財政問題懇話会(08年11月)での小西氏の指摘。
①これまで毎年収支不足といってきて、乗り切ってきたが、その多くは借換え債、退職手当債など先送りしてきたもの。その場しのぎ。財政課「狼少年」説というのも、半分は当ってるかも。解決してこなかった部分が溜まって現状になっていると、総括しないと、事態がよくわからない。
②その先送りした分と現在の起債をダブルで返さなくてはいけなくなり、大変になっている。「本当に厳しい」。
③高知市の経常収支比率で、人的経費(人件費、物件費)は低い。「行革」の範は示さないといけないが、ここで削れるところはまったくないとは言わないが極めて少ない。これまでの「行革」の成果。その努力は強調すべき。
④大きく改善するには投資的経費。今後も年100億円規模の投資計画は「ほおばりすぎではないか」。高知市は都市計画税をとっていない。取らないで、その代替としての固定資産税の超過負担分をとってきたが、それ超える規模の都市整備を進めてきた結果が今の姿。
⑤経済対策としてもこの規模の投資が必要なら、負担がいる。この厳しい時期に負担が難しいというなら投資規模を落とす、またその中間点を探る。そうした問題の整理をすることが大事。決めるのは、議会、市民の選択。
◇第二回 09年1月
財政危機について、市側は、大型事業のやりすぎを明確に認めた。
「新高知市財政再建推進プラン(検討資料)」(企画財政部)には
・「公債費の増加が現在の危機的な財政状況の第一要因」
・「国の三位一体改革や景気低迷、扶助費の増加等の外的要因による部分もあるが、その多くはこれまで取り組んできた都市基盤整備等まちづくりのための財源として発行してきた起債の償還が膨らんできたもの」とし、「これまでの財政運営のあり方を謙虚に反省し・・・目標の達成に全力を傾注」と結んでいる。
委員から、「三位一体の影響が大きいのでは・・・。これでは市に責任が全部あったことになるが」という趣旨の意見も出たが、財政課長は、三位一体改革の影響は26億円、借金は他の中核市の2倍で・・・と過去の投資的経費の多さが原因と改めて強調している。
また、 財政危機の原因の説明に、三位一体改革など外部要因とともに投資事業も並べ、“結果として見通しの甘さがあった”という説明に対しても、資料説明の中で、財政課長は、“懇話会で出された厳しい指摘から見れば不十分でしょうが、こう議会で答弁しているので”という弁明を行っている。
検討資料では、一回目の会議で指摘された人件費と物件費の低さ、効率的な運営がされていることの記述がない。口頭の説明では「そんなに財源はてでこない」と触れるにとどまった。
これに対し、小西氏は「人件費の低下は市民サービスの低下に結びつくもの。ここだけ削れというのは懇話会としても無責任」と触れていた。
これが、「煙に巻く」ことのできない専門家を前にした市側の説明、態度である。
職員削減とは、新規採用の抑制であり、ただでさえ深刻な若者の雇用環境に拍車をかけるもの。2004~2010年の7年間の採用は、336名。
専門性、経験の継続、委託業務のチェック機能など問題点は多々ある。12月議会でも「20代の年齢層が手薄になっている」「建築、電気、機械食は、35歳未満の職員数が少ない」「保育では、正規職員の51%が50歳代である」ことなど、極めていびつな構造となっていることが、あらためて明らかになった。
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