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経済政策の中心に雇用を位置づける(メモ)

「非正規労働についての国際基準~ 経済政策の中心に雇用を位置づける」(筒井晴彦氏 前衛2011.12)からの備忘録。
 非正規雇用が4割近くなり、内需低迷(一部大企業の利益蓄積)、ものづくり基盤の崩壊、「結婚できない」など少子化という社会の持続性の危機をもたらしている。以下、備忘録。


「非正規労働についての国際基準】
~ 経済政策の中心に雇用を位置づける」~ 

筒井晴彦氏 前衛2011.12

・非正規労働者38.7%、特に若者、女性では半数/「使い捨て、首切り自由」の社会を転換するために、ILO
の提唱するディーセントワークの実現が必要

1.社会正義の新時代へ

・ILO第100回総会・ソマビア事務局長報告「社会的公正の新時代」~「世界は持続可能な発展と言うビジョンにもとづき社会的公正の新しい時代を必要としている」/新しい時代とは「グローバル化の利益が平等に分かち合われ、若者に希望を鼓舞し、労働の尊厳が促進・尊重され、人びとの声・参加・民主主義が花開く時代」/社会的公正の追求には、政労使の社会対話が極めて大事
→ その象徴/「家事労働に関する条約」(189号)の採択~ベビーシッターなど雇用関係を結んで家事労働を行う労働者を保護する初の条約(日本、政府・労働者は条約・勧告に賛成、財界は条約棄権、勧告反対)

2.ILOが今日重視していること

・社会的公正と労働条件改善/憲章の規定

・ディーセントワーク 4つの規定
①人間らしい生活を送ることのできる十分な所得 ②社会的保護(家賃補助など含む社会保障より広い概念) ③労働基本権など労働者の権利保障 ④ジェンダー平等
 → とりわけ、ジェンダー平等は全体をつらぬく軸として役割

・非正規から正規への転換と保護
ILO 正規雇用への転換 一方、OECDは、増大を問題視しつつも均等待遇で、正規労働は提起してない

3.経済危機のときこそ、ディーセントワークを

(1)経済対策の中心に雇用を
・ILO99総会(2010年6月)の結論/「経済危機からの回復と持続可能な成長にとってもっとも重要なのは、経済政策の中心に雇用を位置づけることにある」
~企業が成長してこそ雇用が増えるという政府、財界の論は、世界で通用しない、は逆立ちしたもの

・09年「仕事に関する世界協定」の提案/「危機対応の中心に生産的な雇用とディーセントワークという目標をすえること」。公的に雇用を創出する仕組みと公的職業紹介所の強化、質の高い公共サービスを指摘
→ 国連は、この(協定)を一般的枠組みとして全面的に活用することを各国政府によびかけ

(2)良質の雇用を
・99総会事務局長報告「ディーセントワークによる回復と成長」は「経済の中心に良質の仕事をつくること」を各国によびかけ。~ 不安定雇用ではなく、「良質の雇用」が重要

・99総会提出資料/日本で「非正規雇用」が「先進国」の中で例を見ないほど増大している事実を指摘し、非正規を正規に転換することを求め、「完全雇用の達成をマクロ経済政策の目標に位置づけるという新たな責務を果たすことが求められる」と強調

(3)企業の社会的責任で新たな提起
・「持続可能な企業」の提起/企業が、雇用や環境といった社会的側面に配慮してこそ持続可能な社会が可能となる。その根拠は…
→①労働者はコストでなく財産 ②熟練労働者は企業の競争力の源泉 という考え/「人員削減を優先する企業に未来はない」と警告

4.ILOの解雇規制と有期労働契約の規制

・「使用者の発意による雇用の終了に関する条約」(158号)と勧告(166号)~ 非正規含めすべての労働者に適用/ 日本政府は未批准

(1)解雇規制
・労働者により大きな犠牲をしいるため、条約は、個別解雇と集団的解雇のいずれの場合も、正当な理由のない解雇を禁止。
→「正当な理由」とは「労働者の能力もしくは行為に対する妥当な理由」と「企業、事業者もしくは施設の運営上の必要」。/理由にならないもの…労働組合への参加、法律違反を対する苦情・提訴、人種・性別など、出産休暇の休業、年齢、疾病による一時的休業など

・企業合併など「経済的、技術的もしくは構造的理由またはこれと類似の理由による雇用の終了」では、解雇などを最小のする措置を「できるだけ早期に労働者代表者」と協議/ 新たに雇用する場合に、解雇された労働者を再雇用すべき

(2)有期雇用規制
・解雇規制を回避するために濫用され、権利侵害が広がっている状況をうけ、158号の補足勧告で規制
/「有期契約は、雇用契約を期限の定めがないものとすることができない場合にのみ限定」「有期契約を一回もしくは二回以上更新した場合は、期限の定めのない雇用契約とみなすこと」

5.非差別・均等待遇

(1)ILO「雇用・職業差別禁止条約」
・第111号 条約と勧告/ILOの8つの基本条約の一つ。先進国で未批准は、日本とアメリカのみ
・差別待遇とは「人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身」による「すべての差別、除外又は優先」~ 雇い入れる段階、雇用期間中、雇用を終了するすべての段階で許さないもの

・「職業」の入っている今日的な重要性/委託や請負で働く労働者も対象にしている。

(2)「同一報酬条約」
・「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約」(100号 1951年/勧告90号、)
1951年、主として男が担う仕事、女が担う仕事との間に不当な賃金格差があったことを重視。異なる職業間での男女均等賃金を提起/「同一労働」より幅広い概念・「同一価値労働」への発展
→ 79年、女性差別撤廃条約で「同一価値労働同一賃金」の原則を明記

・日本の財界「将来的な人材活用の要素も考慮して、企業に同一の付加価値をもたらすことができる労働」という曲解。/将来どれだけの利益をもたらすかの判断で、差別的処遇できる、というもの!

6 パート労働者の保護

・「パート労働者に関わる条約」(175号、94年)
・ILO条約と勧告は、そもそもパートを含むすべて労働者を対象にしたものであるが、「パート」にかかわる条約を採択したのは、増大するパート労働者が、低賃金、不安定雇用、無権利状態に置かれ、社会保障制度からも排除され、パート労働者の実態がますます悪化していることを懸念したもの。

・日本、07年「通常の労働者と同視できるパート労働者」の差別的とりあつかいの禁止
→ 範囲が狭すぎるなど、国際基準から大きく立ち遅れて

7.派遣労働者の保護

・「民間職業紹介事業所に関する条約」(181号、97年)
→ 公共職業紹介所が死活的に重要との立場を堅持し、労働市場の機能にとって第一義的責任を負う公的機関であり、「民間職業紹介事業所」についてもこの見地でとらえている /ブース、ベバリッジの雇用政策
・181号は、派遣労働を認める一方、その濫用から労働者を保護する措置(労働基本権、均等待遇・差別禁止)をとることを求めている。

・また「テンポラリーワーク」として「臨時的・一時的業務」にきびしく制限
→EU フランス18ヶ月、ポルトガル6-12ヶ月、ベルギー3-6ヶ月/ また「みなし雇用」制度が確立し、約50%が期間終了後に、派遣先に直接雇用されている。

8. 請負・委託労働者の保護
・「雇用関係に関する勧告」(198号、06年)
~ 各国に、偽装請合や「雇用関係の偽装」を根絶する政策をもとめている。

・雇用関係の存在するために14の指標(1つ以上あれば、雇用関係があると法的に推定する)
①仕事が他の当事者の指示および管理のもとにおこなわれている。
②仕事が事業体組織への労働者の統合を含むもの
③仕事が他の者の利益のためにもっぱらもしくは主として遂行されている
④仕事が労働者自身でおこなわなければならないものである。
⑤仕事がこれを依頼する当時者が指定もしくは同意した具体的な労働時間内、職場でおこなわれている。
⑥仕事が特定の存在期間および一定の継続性を有したものである
⑦仕事が労働者に対して就労可能な状況にあることを要求するもの(労働者を待機させるということ)
⑧または、仕事がこれを依頼する当事者による道具、材料及び機械の提供があること
⑨労働者に対する定期的な報酬の支払いがあること
⑩当該報酬が労働者の唯一もしくは主な収入源となっている。
⑪食糧、宿泊および輸送等の現物による供与があること。
⑫週休および年次休暇等についての権利が認められていること
⑬労働者が仕事を遂行するためにおこなう出張に対し、当該仕事を依頼する当事者による支払いがある
⑭または労働者にとって金銭上の危険がないこと。
(メモ者 この基準では、学校給食調理など日本の委託はほどんど雇用関係ありで、偽装請負)
~ フランス 家内労働者、ジャーナリスト、芸術家、モデルに労働法を適用

おわりに
・正規、非正規、公務、民間の区別なく、同じ労働者として、ILO条約は適用される。
~ これが国際基準 / 非正規を「使い捨て」にしている「先進国」は日本だけ
(メモ者 「使い捨て」が、内需低迷、ものづくりの基盤崩壊、少子化という社会の持続性の崩壊の原因)

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