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再エネ法 「骨抜き」にする不適正人事 

 自然エネルギーの爆発的普及には、固定価格買取制度を適切に設計することが要中の要であるが、その設計を担う「調達価格等算定委員会委員」の5名の委員のうち、再生可能エネルギーの導入や固定価格買取制度に反対の立場をとってきた者が3名もいる。環境エネルギー政策研究所、気候ネットワークが異議を唱えている。再生エネ法を「換骨奪胎」する仕掛けである。
 原発輸出、大企業減税の穴埋めの「復興増税」、TPP参加・・・「国益」とは無縁、多国籍企業化した財界そのもののような政権である。
【再エネ法の調達価格等算定委員会委員に不適正なメンバー案
再生可能エネルギー推進には適正人事への再考が不可避  ISEP11/24】

【再生エネ委―こんな人事に誰がした 朝日12/2】

【再エネ法の調達価格等算定委員会委員に不適正なメンバー案 再生可能エネルギー推進には適正人事への再考が不可避  ISEP11/24】

■ 概要
11月17日の議院運営委員会両院合同代表者会議で提示された再生可能エネルギー促進法の「調達価格等算定委員会委員」は、全5名のうち、直接の利害関係者であったり、再生可能エネルギーの導入や固定価格買取制度に消極的な立場をとってきた人が含まれており、本委員会の委員構成が不適正であることを指摘せざるを得ない。現在の委員案では、再生可能エネルギーの本格的な普及に向けた調達価格等の公正な検討を望むことができない。委員の選出について、国会で再考し、委員会本来の趣旨に沿った適正な委員に対して国会同意をすることを、強く要求する。

■ 本文
再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大するため、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー促進法)」が今年8月に成立しました。

法案の審議では、本制度の柱となる再生可能エネルギー電力の「調達(買取)価格」や「調達(買取)期間」の設定について、当初政府案で「総合資源エネルギー調査会」の意見を聴くこととされていた条文が全面修正され、法律には、新たな第三者機関として「調達価格等算定委員会」を設置し、国会同意人事として委員を決定するものとされています。これは、経済産業省主導で進めてきたかつての「新エネルギー政策」が、再生可能エネルギーを増やすのではなく、逆に導入を阻害する方向づけをしてきたという経緯があったことに起因し、今後の本格的な再生可能エネルギーの普及拡大にあたっては公正なメンバーシップを国会の同意を得たうえで進める必要があるとの結論に至ったからにほかなりません。

しかし、17日の議院運営委員会両院合同代表者会議で提示された「調達価格等算定委員会委員」は、全5名のうち、直接の利害関係者であったり、再生可能エネルギーの導入や固定価格買取制度に消極的な立場をとってきた人が含まれており、本委員会の委員構成が不適正であることを指摘せざるを得ません。

今後、再生可能エネルギーの本格導入により、未来に向けたグリーン産業を育て、民間の投資を呼び起こし、新規雇用を生み出すことが可能になるか、さらに、化石燃料依存を減らしていくことができるかは、この「委員会」での審議内容や、この法律の政省令など詳細な制度内容に大きく左右されます。この制度の骨格となる買取価格や買取期間が適正に設定されるよう、国会においては、この経済産業省提案の今回の人事案を認めず、適正な委員を選定するよう働きかけることを、強く求めるものです。

■ 本文調達価格等算定委員会の委員案の不適正要因
・ 進藤孝生(日本経団連地球環境部会長、新日鐵代表取締役副社長)氏は、日本経団連かつ特定企業の代表取締役副社長であり、特定の利害を反映することになりかねません。7月29日の衆議院経済産業委員会の参考人質疑では、参考人として電力多消費型産業(とりわけ電炉)の立場を強調しており、法案修正の結果盛り込まれた17条の減免対象の企業になる可能性もある直接的利害関係者です。また、日本経団連は、再生可能エネルギーの普及に反対をしてきた団体であり、当初三年間は普及(再生可能エネルギー事業者の利益)を重視するという附則第七条に反します。さらに、ご自身が、再生可能エネルギーに関する専門家ではありません。

・ 山内弘隆(一橋大学大学院商学研究科教授)氏は、日本の再生可能エネルギー市場停滞の原因を作った「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(いわゆる「RPS法」)の審議の中で、固定価格買取制度に否定的で、再生可能エネルギーの普及に消極的な姿勢を取ってきています。そして、7月29日の衆議院経済産業委員会の参考人質疑においては、本制度の価格決定に対して「一律の買い取り価格で、逆にエネルギー種間で競争していただく、効率的なものから入れていただく」ことを望ましいと発言しており、国会の意向であえて条文が修正された電源種ごとの価格設定にも否定的な立場を示しています。

・ 山地憲治(地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長、元電力中央研究所 研究員)氏は、そもそも一律価格案を出してきた経産省の新エネルギー部会長であり、個別の価格設定のための会合で、「国会同意人事」でありながら兼務することは大いに疑問視されます。また、「RPS法」の審議なかで、固定価格買取制度を中心的に批判する立場にあります。

 現在の委員案では、再生可能エネルギーの本格的な普及に向けた調達価格等の公正な検討を望むこともできません。国会において、委員の選出について再考し、委員会本来の趣旨に沿った適正な委員に対して国会同意をすることを、強く要求します。

【再生エネ委―こんな人事に誰がした 朝日12/2】

 太陽光など再生可能エネルギーを大きく増やす電力買い取り制度が来年7月に始まる。その要となる「調達価格等算定委員会」の人事案に、環境団体や自然エネルギー推進派の議員から疑問の声があがっている。
 提示された委員候補5人のうち3人が、法案の成立や制度のあり方に否定的だったり、消極的だったりした人物で占められている、との指摘だ。
 この委員会は、電力会社が再生可能エネルギー電力を買い取る際の固定価格を審議する。経済産業相が、その意見を尊重して価格を決める仕組みだ。
 価格を高くすれば自然エネルギーへの投資を促す。半面、電気料金に上乗せされるため、家庭や企業の負担は増える。
 委員会の設置は政府提出の法案にはなく、民主、自民、公明3党による修正協議で決まった。中立的で透明な手続きで価格を決める必要があるとの判断からだ。国会同意が必要な委員の人選についても「3党が誠意をもって対応する」との政調会長合意が交わされている。
 このため、委員人事は表向きは経産相が国会にはかった形だが、3党から前もって推薦してもらったという。民主党が野党時代に日銀総裁案などに反対を続け、国会が紛糾したような事態を避けたいという思惑があったことは想像に難くない。
 人事案でとりわけ問題視されているのが、新日鉄の進藤孝生副社長だ。
 買い取り価格が過大にならないよう、需要側の意見を反映することは大切だ。しかし、進藤氏は国会に参考人として呼ばれた際、「電力多消費産業」と自らの立場を述べ、負担が重くなる法案成立に難色を示した。
 その後、電力を大量に使う事業所は電気料金への上乗せ分が8割免除されることになったものの、「制度反対」の先頭に立っていた業界代表だ。
 委員会を推進派で固めろとは言わないが、立法の趣旨とは異なる人選ではないか。進藤氏は委員長含みとされているので、なおさらだ。
 震災後、買い取り制度の重要性は大きく増した。原発依存度を下げるうえで自然エネルギーの普及は喫緊の課題だ。震災前の法案を、そうした変化を踏まえて充実した中身に仕上げたのが与野党協議だった。それだけに、この人事案は残念だ。
 自然エネルギーの新規参入や業務拡大を促すためにも、委員会人事で停滞している余裕はない。経産相は人事案を取り下げて、あらためて3党と協議してはどうか。

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