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イラク戦争終結~「検証」に口をつぐむ大手メディア 

 開戦理由もウソ、多大な犠牲・憎しみの連鎖を生み、世界を不安定にしたイラク戦争の「終結」を米大統領が集結した。大手メディアで社説を書いたのは、朝日と読売だけ。それも「日米同盟」を根拠に協力した日本の責任を検証する声はない。
かつて地上戦の戦場となり、押し付けられた米軍基地がイラクへ戦争の出撃基地となった沖縄2紙の社説は、多大な犠牲、大義なき戦争を全面に「本格的な検証」「深い検証」と主張している。
【イラク戦終結―米国は重い教訓に学べ 朝日12/16】
【イラク戦争終結 米軍撤収後も山積する課題 読売12/16】
【イラク戦争終結 国際的な検証が必要だ 沖縄タイムス12/17】
【イラク終戦 巨大な犠牲に慄然とする 琉球新報12/17】

琉球新報は、「日本は無批判に開戦を支持し、有志連合に加わりさえしたが、開戦の是非はおろか、何らの検証もしていない。巨大な犠牲を前に、日本もまた責任を負っていると自覚すべきだ。本格的に検証し、せめて後世に教訓を伝えてもらいたい」
沖縄タイムスは、「沖縄駐留の米海兵隊は、安保条約の駐留目的を超えてイラクに出撃し、ファルージャでの掃討作戦に加わった。イラク戦争は過去の話ではない。日本の対応を含め、さまざまな角度からの、深い検証が必要である。」
 

【イラク戦終結―米国は重い教訓に学べ 朝日12/16】

 オバマ米大統領が、イラク戦争の終結を宣言した。足かけ9年の戦闘で、死亡した米兵は4500人近くにおよぶ。一方、イラク民間人の犠牲者は10万人以上にのぼるともいう。
 「戦争を終えることは、始めることより困難だ」と、オバマ氏は米国内の基地で演説した。
 撤兵の公約を守り、イラクの泥沼から抜けだした点は評価したい。だが、流された多くの血を思えば、果たしてこの戦争は必要だったのか。改めて問わざるを得ない。
 ブッシュ前政権がイラクに戦争を仕掛けたのは、フセイン政権が大量破壊兵器を開発している、という理由からだった。
 米国中枢部への同時多発テロにおびえた世論に乗じ「先制攻撃をかけなければ、再び攻撃を受ける」と不安をあおった。
 実際は、フセイン政権と国際テロ組織アルカイダは無関係だった。それでも国連安全保障理事会の支持も得られぬまま、強引に開戦に踏み切った。
 正当性のない戦争は、国際社会からも米国世論からも激しい批判を招き、内外に深刻な亀裂を生んだ。
 結局、大量破壊兵器は見つからず、場当たりの占領政策でイラクは大混乱に陥った。イスラム教スンニ派と少数派シーア派との間で、血で血を洗う宗派闘争が燃え上がってしまった。
 オバマ氏は「安定し、民衆に選ばれた政府を持つイラクにしたことは大きな業績だ」と語った。だが、現状が安定しているとはとても言えないだろう。
 爆弾テロは依然として続いている。オバマ氏の演説当日も、北部の爆弾テロで少なくとも3人が死亡した。電気など生活インフラの再建も途上だ。
 撤退を機に、米国はこの戦争の重い教訓を直視しなければならない。
 米軍撤退後の「力の真空」をにらんで、マリキ政権がスンニ派を拘束するなど、宗派間対立の再燃の兆しがでている。
 逆に、米軍に協力してきたスンニ派武装勢力は、報復に神経をとがらせているようだ。南部ではイランの影響力が増し、北部のクルド人地区にはトルコ軍が侵攻するなど、周辺国との関係も不安定だ。
 国内が混乱すれば外国勢力の介入を再び招きかねない。そうした事態を避けるためにも、イラク人自身の手で、安定した民主国家を作ってほしい。
 日本も自衛隊をサマワに派遣した経緯がある。イラク復興支援では当事国である。支援の空白を生まないよう、民生援助や経済協力を続けていきたい。


【イラク戦争終結 米軍撤収後も山積する課題 読売12/16】

 対イラク開戦から8年9か月。米国は、イラク戦争にようやく歴史的な区切りをつける。
 オバマ米大統領が、ノースカロライナ州の陸軍基地での帰還兵歓迎式で「戦争の終結」を宣言した。
 大統領は、ブッシュ前政権が始めたイラク戦争を「間違った戦争」と批判し、2008年大統領選で早期撤退を公約して当選した。
 間もなく駐留米軍の最後の部隊引き揚げが完了し、大統領就任後に確約した「11年末までの撤収」が実現することになる。
 米国が払った代価はあまりにも大きい。開戦理由とした大量破壊兵器は見つからず、占領統治の大混乱もあって国家の威信に傷がついた。巨額の戦費で財政赤字は膨れあがり、4500人近い米兵の命も失われた。
 それでも大統領は演説で、「我々は、独立し、安定し、自立した国家をイラクに残した。多大な成果だ」と強調した。
 問題は、駐留米軍の後ろ盾なしに、イラクでこうした成果が定着し、発展していくかである。課題は山積している。
 戦争でサダム・フセイン大統領の独裁体制が崩壊した後、イスラム教シーア派とスンニ派の対立を背景に、一時は武力衝突やテロが泥沼化した。米国は兵力を増強してようやく沈静化させたが、完全に封じ込めたとは言えない。
 多くの一般国民が今なおテロの犠牲になっている。米軍撤退はテロ組織を勢いづかせ、治安の悪化を招く恐れがある。
 宗派間、民族間の対立が続いており、国民和解は急務である。シーア派勢力に支持されているマリキ首相の権力基盤は脆弱だ。
 米軍撤退につけこみ、隣国のシーア派大国イランが、イラクへの影響力を強める可能性もある。
 イラク情勢が再び混迷すれば、地域全体に多大な影響が及ぶ。
 イラクと中東の将来に対する米国の責任は重い。米国は今後、イラク軍育成など安全保障分野での協力だけでなく、イラクが責任ある地域大国となるよう、外交面で働きかけていく必要がある。
 野田首相は11月、マリキ首相との会談で、イラクの製油所改良計画などへ約670億円の円借款を供与する意向を明らかにした。両国関係の発展に資するだろう。
 原油輸入の9割を中東に依存する日本にとって、イラクの安定は極めて重要だ。
 政府開発援助(ODA)などによる復興支援とともに、経済やビジネス関係を深めていきたい。


【イラク戦争終結 国際的な検証が必要だ 沖縄タイムス12/17】

 オバマ米大統領がイラク戦争の終結を宣言した。
 2003年3月20日、米英軍がイラク攻撃を始めてから8年9カ月、フセイン政権崩壊後も武装勢力との激しい戦闘や自爆テロが絶えず、この間に約4500人の米兵が死亡した。イラクの民間人犠牲者は約11万5千人に上る。
 イラク戦争は大義のない戦争だった。してはならない戦争だった。これほど正当性を欠いた戦争は、あまり例がない。米国は強引な戦争政策によって、国際社会が築いてきた国際法の理念を踏みつぶし、国際協調の精神をぶち壊した。
 アフガニスタンへの攻撃を正当化する理由として米国は、9・11テロに対する「個別的及び集団的自衛権の行使」を挙げた。アフガニスタンが国家として9・11テロを実行したわけでもないのに、なぜ、自衛権発動によるアフガン攻撃ができるのか。
 国際法上の疑問は、イラク戦争の場合、さらにふくれ上がる。自衛権行使の理由すらもなく、イラク侵攻を認める国連決議さえもなかったからだ。
 国連でドイツやフランスが反対し、世界で1千万を超える人々が開戦に反対した。
 米英軍が、開戦の理由として強調したのは、大量破壊兵器の開発・保有、国際テロ組織とのつながり、などだった。しかし侵攻後、大量破壊兵器もテロ組織とのつながりも、見いだせなかった。
 要するに米国は、イラクからの差し迫った脅威がないにもかかわらず、予防攻撃を強行したのだ。
 自国兵士の犠牲をできるだけ少なくするため、米国は先端技術を駆使した兵器を開発し、戦場で使用した。巡航ミサイル、精密誘導爆弾、無人機による空からの偵察と攻撃。「犠牲の非対称性」が生じたのは、軍事力の差と、こうした作戦のためだ。
 攻撃を受けた側は、米国に対し、激しい憎しみを抱くようになる。自爆テロという名の米軍に対する反撃と、米軍による容赦ない掃討作戦が、しばしば民間人を巻き添えにした。報復の連鎖で、世界中に暴力が蔓延(まんえん)した。
 米国に住むムスリム(イスラム教徒)は、敵のイメージを付与され、人権を侵害された。膨大な戦費のために米国の財政は窮迫し、オバマ政権は今もその処理に苦しむ。
 「希望の象徴」だった戦後米国のイメージはすっかり消えうせ、米国に対する信頼は地に落ちた。
 小泉純一郎首相(当時)はいち早く米国のイラク攻撃を支持し、陸上自衛隊をイラクの戦地に派遣した。
 「米国に協力する以外に日本の選択肢はない」という主張は、裏を返せば、米軍が始めた戦争に対しては、自動的につき従うしかない、ということを告白しているのに等しい。
 沖縄駐留の米海兵隊は、安保条約の駐留目的を超えてイラクに出撃し、ファルージャでの掃討作戦に加わった。
 イラク戦争は過去の話ではない。日本の対応を含め、さまざまな角度からの、深い検証が必要である。

【イラク終戦 巨大な犠牲に慄然とする 琉球新報12/17】

オバマ米大統領が終戦を宣言し、イラク戦争が幕を閉じた。だが、幾多の犠牲を払ってどんな成果を得たというのか。振り返ると、人命の巨大な喪失に慄然(りつぜん)とする。
 オバマ氏は「米国を強くし、世界を平和にする形で戦争に終止符を打つことができた」と述べたが、失われた人命を思えば何と空疎な言辞だろう。犠牲者を前に、戦争の責任者はもっと粛然としてあるべきだ。
 経緯を振り返る。ブッシュ前米大統領はイラクのフセイン政権が大量破壊兵器を持ち、国際テロ組織アルカイダを支援していると主張、2003年、戦端を開いた。
 だが兵器の現物はもちろん、保有の痕跡すら見つからなかった。アルカイダとの接点もなかった、というのは今や常識だ。だが米国は開戦の誤りを今に至るまで認めようとしない。
 オバマ氏は終戦演説で「3万人以上が負傷し、4500人近くが犠牲になった」と述べた。だが、それは米兵のみの数字だ。米国以外の犠牲は目に入らないと言わんばかりで、自己中心的にすぎる。
 ブルッキングス研究所の推計によると、イラクの民間人犠牲者は約11万5千人。米国の非政府組織(NGO)ジャスト・フォーリン・ポリシーの推計では133万9千人余(09年1月まで)に上る。いずれにせよ途方もない数の命が失われたのは間違いない。
 イラク国内では先天性四肢欠損症の新生児が急増したが、米軍が無差別爆撃で使った劣化ウラン弾との関連が疑われている。旧アブグレイブ刑務所で露呈したような恐るべき人権侵害も、数限りなくあっただろう。
 それなのに開戦理由の是非はうやむやのままで、誰も責任を取っていない。100年後の世界から見て、これほどの無責任が許されるだろうか。歴史の審判に耐えられるようにしたいなら、米国は経緯をきちんと検証すべきだ。
 戦争期間中の幾多の過ちも検証し、責任の所在を明らかにしてもらいたい。
 英国は独立調査委員会がブレア元首相を喚問し、検証を進めた。オランダも同様だ。日本は無批判に開戦を支持し、有志連合に加わりさえしたが、開戦の是非はおろか、何らの検証もしていない。
 巨大な犠牲を前に、日本もまた責任を負っていると自覚すべきだ。本格的に検証し、せめて後世に教訓を伝えてもらいたい。


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