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TPP  薬価制度から崩される公的医療 医療3団体声明

医療の市場化が「交渉のテーマになっていない」ということは「ならない」ということではない。「ならない」と言えないところが大事。
 11 月1 日、志位さんの質問に、首相が「交渉参加に向けた協議を進める場合、交渉参加国から個別の二国間懸案事項への対応を求められる可能性は完全には否定できない」と答弁したことを重視し、2日、医師会など3団体が共同で記者会見した。東洋経済オンラインが詳しくレポしている。
公的薬価制度は、国民階保険を構成する要素である。その薬価制度を、アメリカはしばしば問題にしてきた。今回も米国通商代表部は「医薬品アクセス強化に向けてのTPPにおける目標」と題した文書も作成している。つまり公的医療制度にかかわる問題がテーマになるのである。
【医療3団体がTPP参加への懸念を表明。「このまま進むなら反対のための国民運動展開も」- 東洋経済11/3】
【TPP 交渉参加にむけての見解 2011 年11 月2 日 医療3団体】

小泉政権時代にあった「年次改革要望書」が「日米経済調和対話」に名前を変え、米大使館HP公開されている。その中の「医薬品・医療機器医薬品・その他」は以下のとおり。

【医薬品・医療機器医薬品・その他】 ・新薬創出/ 適応外薬解消等促進加算(新薬創出加算): 新薬創出加算を恒久化し、加算率の上限を廃止することにより、ドラッグ・ラグ解消を促進し、研究開発への誘因を強化する。 市場拡大再算定:市場拡大再算定ルールが企業の最も成功した製品の価値を損なわないように同ルールを廃止もしくは少なくとも改正し、日本における当該製品の開発を奨励する。 外国平均価格調整(FPA)ルール:日本における価格が外国平均価格より高いか低いかにかかわらず、製品が平等に扱われるようFPAルールを改定し、日本の薬価政策の公正な実施を保証する。 14日の処方日数制限:患者の利益ならびに 医薬品へのアクセスを考慮し、新薬の14日処方日数制限ルールを改正し、安全性の保障に必要な最低限の制限にする。 ドラッグ・ラグ:日本における革新的新薬の早期導入を促進し、ドラッグ・ラグを縮小するよう次の措置を取る。適切な場合には 東アジア諸国における臨床治験データの受け入れを検討する。医薬品の承認審査目標が達成され、事前相談の申し入れへの対処が迅速に行われるよう保障する。 最近の業界との積極的な交流を基に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)ならびにスポンサーが、質疑応答プロセスの支援に必要な実務要員をより効率的に計画・管理するために役立つ明確なプロセスを構築する。 行政審査期間:年4度の薬価収載を月一度へ増やし、日本の患者の新薬へのアクセスを迅速化する。 手数料:2012年から2017年までの手数料の規模および評価指標などを含む、次期手数料制度の詳細について業界との協議を開始し、日本の薬事承認プロセスにおける効率性の向上に対する業界の継続的な貢献を奨励する。 血液製剤:国内自給、表示、規制、保険償還 の問題についての米国業界との協議を通じ、日本における患者の血液製剤へのアクセスを拡大する。関連する委員会等において、業界が情報、意見および証言を提供する機会を設ける。
【医療3団体がTPP参加への懸念を表明。「このまま進むなら反対のための国民運動展開も」- 東洋経済11/3】

 日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3首脳は11月2日、「国民皆保険制度を守ることをはっきりと表明しない限り、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を認めることはできない」との見解を明らかにした。
 厚生労働省内で記者会見に臨んだ原中勝征・日本医師会会長(写真中央)は「国民皆保険制度を守ることが私たちの使命。TPP全体に反対する考えはない」としたうえで、現在の政府の対応を問題視。「(今のやり方で)どんどん進められるならば、(交渉入りに反対するための)国民運動を起こすことがあるかもしれない」と述べた。
 日本歯科医師会の大久保満男会長(写真右)は、「TPP交渉入りに強い危機感を持っている。政府は『医療を議題にするつもりはない』としているが、ほかの国が日本の医療制度を非関税障壁だとして問題にしたときに議題に入らない保障はない」と発言。
 日本薬剤師会の児玉孝会長(写真左)は、「これまで米国は日米経済調和対話で日本の薬価算定ルールに干渉してきた。薬価制度が守られなくなった場合、(保険診療と保険外診療を併用する)混合診療(の原則解禁)や患者負担の増大につながる。これが、国民皆保険制度解体を招く蟻の一穴にかりかねない」と述べた。
 政府は「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定――よくある質問」と題した資料の中で、「混合診療の解禁や営利企業の医療参入については、TPP協定交渉において議論の対象になっていません」「TPP協定交渉参加国間のFTA(自由貿易協定)では、金融サービス分野において公的医療保険は適用除外されており、TPP協定交渉においても、公的医療保険制度は議論の対象になっていません」と記述している。
 だが、国民皆保険制度の一部を構成する日本の公定薬価制度について、米国政府や経済界はたびたび問題視。ドラッグラグ解消を目的としながらも、外資系製薬企業から強い要求を受けて、新薬の薬価維持制度導入につながった経緯がある。
 また、今年3月に公表された米国通商代表部の外国貿易障壁報告書では、「サービス分野における障壁」の1つに医療分野が挙げられている。そこでは、外国籍を含む営利企業による病院経営への参入が禁止されていることが問題視されている。
 同9月に同代表部は「医薬品アクセス強化に向けてのTPPにおける目標」と題した文書も作成。TPP交渉に入った場合、日本の薬価制度も協議の対象にされる可能性が高いと見られる。
 これまで政府は、「公的医療保険制度はTPP協定交渉の議論の対象になっていない」(小宮山洋子厚生労働相)などと説明してきたが、薬価制度が公的医療保険制度の一部を構成していることは言うまでもない。
 11月1日の衆議院本会議では野田佳彦首相自身が「交渉参加に向けた協議を進めることとなった場合、交渉参加国から個別の2国間懸案事項への対応を求める可能性は完全には否定できない」(共産党の志位和夫衆議院議員の質問への答弁)と認めている。
 野田首相は続けて「2国間の懸案については2国間の協議で対応することになると思う」と述べているが、医療団体が危惧するように、米国の要求が「蟻の一穴」になって国民皆保険制度を揺るがす可能性は皆無とは言えない。


【TPP 交渉参加にむけての見解 2011 年11 月2 日 医療3団体】

日本医師会   会長 原中 勝征
日本歯科医師会 会長 大久保 満男
日本薬剤師会  会長 児玉 孝

◆日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会の主張
日本は、世界に誇れる国民皆保険を堅持してきた。政府が、今後も国民皆保険を守ることをはっきりと表明し、国民の医療の安全と安心を約束しない限り、TPP 交渉への参加を認めることはできない。

◆TPP 交渉参加に向けての懸念内容
 政府は、「公的医療保険制度はTPP の議論の対象になっていない模様」としているが、あくまでも現時点での推測であり、楽観的過ぎる。われわれは、以下の情勢分析から、公的医療保険制度がTPP に取り込まれるおそれがあるのではないかと危惧している。

1.2010 年6 月に、政府は「新成長戦略」を閣議決定し、医療・介護・健康関連産業を日本の成長牽引産業として明確に位置づけた。これ以降、医療の営利産業化にむけた動きが急展開している。

2.TPP のイニシアティブをとる米国は、かねてより日本の医療に市場原理を導入することを求めてきた。過去には、2004 年の日米投資イニシアティブ報告書(2004 年6 月)によって、混合診療の全面解禁や医療への株式会社の参入を求めた(1)。最近では、2011 年2 月の日米経済調和対話で、米国製薬メーカーの日本市場拡大のため、薬価算定ルール等に干渉した(2)。また、2011年3 月の外国貿易障壁報告書では、医薬品・医療機器分野における要求に加え、医療サービス分野においては、営利目的の病院の参入を求めている(3)。
 こうした経緯から、米国がTPP において従来の要求を貫くことは当然予想される。

3.米韓FTA(4)では、医薬品、医療機器の償還価格にまで踏み込んだ内容になっている。一方で、公衆衛生など公共の福祉のための規制は間接収用(5)の対象外とされているが、TPP は、FTA の枠組みをはるかに超える高いレベルの経済連携を目指している。TPP の下で、混合診療が全面解禁されれば、公的医療保険の存在が自由価格の医療市場の拡大を阻害しているとして、提訴されるおそれを払拭できない。

4.以上の懸念に対して、政府からは、現時点では問題はないという推論か、安心・安全な医療が損なわれないように対応するという総論的、抽象的回答しかない。また昨日11 月1 日の衆議院本会議で、野田総理自身が「交渉参加に向けた協議を進める場合、交渉参加国から個別の二国間懸案事項への対応を求められる可能性は完全には否定できない」(6)と述べている。

◆政府に対する要請
1.政府は、TPP において、将来にわたって日本の公的医療保険制度を除外することを明言すること。
2.政府は、TPP 交渉参加いかんにかかわらず、医療の安全・安心を守るための政策、たとえば、混合診療の全面解禁を行なわないこと、医療に株式会社を参入させないことなどを個別、具体的に国民に約束すること。

(注)
1 「『成長のための日米経済パートナーシップ』2004 年 日米投資イニシアティブ報告書」(2004 年6月)によると、「医療サービスについては、米国政府は、(a)医療サービス分野における営利法人による参入機会を拡大すること(構造改革特区における参入を含む)、(b)MRI やPET のような高度な機器を使用した検査など特定の医療行為の外部委託を認めること、(c)保険診療と保険外診療の明確化及び混合診療の解禁について要請した。」と書かれている。
2 米国は『日米経済調和対話』における米国側関心事項として、「新薬創出・適応外薬解消等促進(新薬創出加算)」の恒久化などを求めている。
3 2011 National Trade Estimate Report on FOREIGN TRADE BARRIERS、203 頁、2011 年3 月“Medical Services :Restrictive regulation limits foreign access to the medical services market, such as the ability of commercial entities, including foreign service providers, to provide full-service,for-profit hospitals.”
4 2011 年10 月12 日 米国議会で法案可決、同年10 月21 日オバマ大統領署名、米国側批准手続完了。
5 間接収用:締約国による恣意的な許認可の剥奪や生産の上限の設定といった政策的な措置によって投資財産の利用や収益機会が阻害され、結果的に収用と同じ結果をもたらす措置(経済産業省「不公正貿易報告書(2011 年版)」)。この場合、当該国の投資は、ICSID(投資紛争解決国際センター)に相手国を提訴できる。
6 2011 年11 月1 日衆議院本会議、共産党・志位和夫議員の質問への答弁

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