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高知市 同和行政問題 

高知市は、01年度末で同和行政根拠法が失効しているにもかかわらず、10年たっても「同和」を冠した課を持ち、同和行政を存続させている。
 予算面では大きく是正させてきたが、子どもの言動を差別事象として報告させたり、「差別事象」があったと市長先頭に160名の幹部職員が、日中、運動団体の「研修会」に出向くとか、市営住宅の優先入居などなど…がある。あらためて、現市政の3期目もはじまるので、根拠法が終了した経過を整理したい。

政府は、特別対策を終了させた理由は3点。
第1は、 国や地方公共団体などの長年の取り組みで、 住宅や道路などの物的な生活環境の改善が進み、 全体として同和地区を取り巻く状況が大きく変化し、 同和地区と周辺地区の格差は見られなくなったこと。
第2に、 こうした下で、 特別対策を継続することは、 同和問題の解決に必ずしも有効ではないということ。
第3に、 経済成長にともなう産業構造の変化や都市化などで人口移動が起こり、 いわゆる同和地区で大規模な混住が進んだことで、 同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を継続することは困難かつ適切でないということ。
(総務省発行 「同和行政史」)

 これは1969年の同和対策事業特別措置法以来、 33年にわたる対策の到達点を踏まえての判断である。高知県でもちょぅど同和行政のゆがみがもたらした闇融資事件が発覚し、一気に特別対策を終了した。

しかし、市は、その後も継続、現在も、「差別意識」の存在を根拠に、「同和問題は根深い」 と同和行政の継続の口実としている。
しかし、この点では、 1986年の地域改善対策協議会 の意見具申「今後における地域改善対策について」の中で提起された「新たな差別意識を生む様々な新しい要因」の解決を求める指摘が重要である。

 地対協の意見具申は、民間運動団体の威圧的な態度に押し切られて、不適切な行政運営を行う行政の主体性の欠如、など4つの要因をあげて、「新しい要因による新たな意識は、その新しい要因が克服されなければ解消されることは困難である。」と指摘している。

また「差別事件」の扱いについても「司法機関や法務局等の人権擁護のための公的機関による中立公正な処理にゆだねることが法的手続きの保障等の基本的人権尊重を重視する憲法の精神に沿ったものである。また、そうすることが、一見迂遠のごとく見えても、結局は同和問題の解決に資することになる」としている。

差別要因を生み出している「同和行政問題」こそが、問題なのである。こうしたゆがみの存在がね特定市民、特定業者、特定議員など大きな声に弱い市政のゆがみと土台となっている。

【今後における地域改善対策について(意見具申) 86/12/11】

・地域改善対策の今日的課題

(1) 今日、同和地区における実態面の改善に比べて、心理的な差別の解消は不十分な状況にある。
 同和地区の実態が大幅に改善され、実態の劣悪性が差別的な偏見を生むという一般的な状況がなくなってきているにもかかわらず、差別意識の解消が必ずしも十分進んできていない背景としては、昔ながらの非合理な因習的な差別意識が、現在でも一部に根強く残されていることとともに、今日、差別意識の解消を阻害し、また、新たな差別意識を生む様々な新しい要因が存在していることが挙げられる。近代民主主義社会においては、因習的な差別意識は、本来、時の経過とともに薄れゆく性質のものである。実態面の改善や効果的啓発は、その過程を大幅に早めることに貢献する。しかし、新しい要因による新たな意識は、その新しい要因が克服されなければ解消されることは困難である。
 
 新しい要因の第1は、行政の主体性の欠如である。現在、国及び地方公共団体は、民間運動団体の威圧的な態度に押し切られて、不適切な行政運営を行うという傾向が一部にみられる。このような行政機関としての主体性の欠如が、公平の観点からみて一部に合理性が疑われるような施策を実施してきた背景となってきた。また、周辺地域との一体性や一般対策との均衡を欠いた事業の実施は、新たに、「ねたみ意識」を各地で表面化させている。このような行政機関の姿勢は、国民の強い批判と不信感を招来している。

 第2は、同和関係者の自立、向上の精神のかん養の視点の軽視である。同和問題の解決のためには、同和関係者の自立、向上が達成されなければならないが、これまでの対策においては、同和関係者の自立、向上の精神のかん養という視点が軽視されてきたきらいがある。特に、個人給付的施策の安易な適用や、同和関係者を過度に優遇するような施策の実施は、むしろ同和関係者の自立、向上を阻害する面を持っているとともに、国民に不公平感を招来している。

 第3は、えせ同和行為の横行である。民間運動団体の行き過ぎた言動に由来する同和問題はこわい問題であり、避けた方がよいとの意識の発生はこの問題に対する新たな差別意識を生む要因となっているが、同時に、また、えせ同和行為の横行の背景となっている。えせ同和行為は、何らかの利権を得るため、同和問題を口実にして企業・行政機関等へ不当な圧力をかけるものであり、その行為自体が問題とされ、排除されるべき性格のものであるが、このような行為は、これまでなされてきた啓発の効果を一挙にくつがえし、同和関係者や同和問題の解決に真剣に取り組んでいる民間運動団体に対する国民のイメージを損ね、ひいては、同和問題に対する誤った意識を植え付ける大きな原因となっている。行政機関は、えせ同和行為が横行しているという事態を深刻に受け止めるべきである。

 第4は、同和問題についての自由な意見の潜在化傾向である。同和問題について自由な意見交換ができる環境がないことは、差別意識の解消の促進を妨げている決定的な要因となっている。民間運動団体の行き過ぎた言動が、同和問題に関する自由な意見交換を阻害している大きな要因となっていることは否定できない。いわゆる確認・糾弾行為は、差別の不合理性についての社会的認識を高める効果があったことは否定できないが、被害者集団によって行われるものであり、行き過ぎて、被糾弾者の人権への配慮に欠けたものとなる可能性を本来持っている。また、何が差別かということを民間運動団体が主観的な立場から、恣意的に判断し、抗議行動の可能性をほのめかしつつ、さ細なことにも抗議することは、同和問題の言論について国民に警戒心を植え付け、この問題に対する意見の表明を抑制してしまっている。
 
 今後、心理的差別の解消を促進し、同和問題に対する国民の理解と協力を得ていくためには、これまで推進されてきた啓発や人権擁護対策に加えて、以上のような諸要因を是正していくことが不可欠である。それ故、行政の主体性確立、同和関係者の自立、向上の精神のかん養、えせ同和行為の横行排除、同和問題について自由な意見交換のできる環境づくりは、同和問題解決のために成し遂げるべき極めて重要な今日的課題である。

(2) 今日的課題を達成するための方策
 今日的課題を達成していくためには、行政機関の姿勢や民間運動団体の在り方が極めて重要である。
 
 行政機関は、その基本的姿勢としては、常に主体性を保持し、き然として地域改善対策等の適正な執行を行わなければならない。そのためには、行政機関は、今日、改めて民間運動団体との関係について見直すことが必要である。国は、もちろん、率先して断固たる主体性を常に保持すべきであることは言うまでもないが、民間運動団体と身近に接触する機会の多い地方公共団体においては、その対応に腐心している状況も見られるので、そのような地方公共団体の主体性の確立については、国は、積極的な助言、指導を行うべきである。例えば、国が民間運動団体と行政機関との望ましい関係の在り方に関する具体的な基準や行政の主体性を確立するためのチェックポイントを明らかにすること等は有効な手段と考えられる。さらに、同和問題について行政職員の理解を十分深めることは、主体性の確立のためのいわゆる前提であり、そのための研修等の施策が一層拡充される必要がある。

 同和関係者の自立、向上の精神のかん養は、今後の啓発の重要な目標の一つとして取り上げられる必要があり、そのための積極的な啓発活動が推進されなければならない。また、同和関係者の自立意欲の向上のための民間運動団体の取組みに期待するところは大きい。

 えせ同和行為の排除のためには、関係行政機関等の緊密な連携と幅広い取組みが必要である。企業・行政機関等が、不当な要求は断固として断り、また、不法な行為については、警察当局に通報する等厳格に対処することが必要となるが、そのような望ましい対応の在り方については、行政機関が積極的に啓発活動や行政指導を行うべきである。また、警察当局においても、えせ同和行為排除のための強力な対策を推進する必要がある。

 同和問題について自由な意見交換ができる環境をつくっていくためにはプライバシーの保護に配慮しつつ、行政機関が同和問題に関する情報、資料をできるだけ公開し、国民、ジャーナリズム等に積極的に提供していくことが重要である。また、差別事件は、司法機関や法務局等の人権擁護のための公的機関による中立公正な処理にゆだねることが法的手続きの保障等の基本的人権尊重を重視する憲法の精神に沿ったものである。また、そうすることが、一見迂遠のごとく見えても、結局は同和問題の解決に資することになるのであり、国は、その旨地方公共団体等を指導し、また、啓発に努めるべきである。なお、差別事件の公的機関による処理を更に推進するため、人的資源の充実等現在の人権擁護行政の体制が更に強化、拡充されるべきである。

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