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TPP 郵便・金融のユニバーサルサービス崩壊

 TPPは、アメリカの「年次改革要望書」を忠実に実行してきた小泉「改革」でテーマとなったことを想起すればわかりやすい。郵政民営化もその1つ。
 郵便と金融を一体経営しているので、過疎地への配達網も金融へのアクセスも可能なのである。平野が少なく、森林面積率が高い日本社会のありようには、それに相応しいやり方がある。
【TPP、郵政法案にも余波=審議入りのめど立たず 時事11/16】
【社説:視点・TPPと政党 再燃する「小泉路線」闘争 毎日11/16】

 日本の農地の4割は中山間地である。それが国土を保全し、水や空気を提供し、地域文化を伝承してきている。東日本大震災に対する住民の対応でも「共生社会」の伝統が力を発揮した。この社会システムの価値は、数字では出ないが、大事にすべき価値と思う。

 経済界と農協との対立のような矮小化した話するのは、仮想敵を作って国民を分断する小泉「手法」の焼き直しであり、「策略」である。

 また、小泉「構造改革」にはさらにいろいろある。ホワイトカラーエグゼンプション(残業タダ法案)、解雇の自由化など労働法制も大きなものがある。この分野がクローズアップしないのは、なぜ、という感じがしている。

【TPP、郵政法案にも余波=審議入りのめど立たず 時事11/16】

 政府・与党が今国会での成立を目指す郵政改革法案の行方が定まらない。野田佳彦首相が参加方針を表明した環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり、米国が郵政分野の改革を迫る姿勢を鮮明にした影響が出ているためだ。小泉政権が目指した完全民営化を見直す内容の法案に自民党が改めて反発を強めており、審議入りのめどは立っていない。
 東日本大震災の復興財源として、政府は日本郵政株の売却益を見込む。株売却は法案成立が前提で、民主党は自民、公明両党と修正協議を進め、成立を図りたい考え。ただ、状況は芳しくない。民主党総務部門会議は16日の会合で、衆院郵政改革特別委員会の武正公一筆頭理事から自公との調整状況の説明を受けたが、出席者の一人は「何も進んでいないのが現実だ」と肩を落とした。
 日本郵政グループの3社体制への再編を柱とする同法案には、国の間接的な出資の下、かんぽ生命保険にがん保険などの事業を解禁する内容も含まれる。一方、米国は日本のTPP交渉参加の是非を判断する事前協議で、保険市場への参入拡大に向け対等な競争条件の確保を求める構えで、簡易保険に事実上の政府保証を残す法案が成立すれば、日米のあつれきが増す可能性が高い。
 このため自民党からは、法案の内容と交渉参加を目指す政府の立場の矛盾を問う声が上がっている。同党幹部は16日、「TPPの話が出てきて法案(の前提)が崩れた。簡易保険への民主党のスタンスが分からない」と指摘。修正協議を急ぐ民主党をけん制した。
 同法案は連立を組む国民新党が「一丁目一番地」として最重要視しており、亀井静香代表は16日の記者会見で「首相も民主党も今国会で成立させると言っている。国民新党もまなじりを決して対応していく」と強調した。与党は2011年度第3次補正予算関連の復興財源確保法案などの衆院通過後に郵政法案の審議に入りたい意向だが、自民党の理解は得られそうにないのが現状だ。

【社説:視点・TPPと政党 再燃する「小泉路線」闘争 毎日11/16】

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をめぐる野田佳彦首相の「交渉参加に向け関係国と協議に入る」という回りくどい言い方に一番救われたのは自民党かもしれない。首相がもっとストレートに交渉参加を力説すれば「表明は拙速」という批判に逃げ込めず、より本質的なTPPそのものへの態度表明を迫られたはずだ。
 その一方で、事実上の交渉参加方針表明なのに「ほっとした」ととりあえず矛を収めた民主党慎重派の対応にも驚いた。全国農業協同組合中央会が抗議声明を出す中でいくら「首相の配慮」を評価しても茶番である。
 それでも今回、参加の是非をめぐり党派を超えミシン目のような亀裂が政界に走った意味は軽視できない。都市票VS農村票、米国との距離感などさまざまな要素があるが、かつて小泉純一郎内閣が進めた「小泉改革」をめぐる路線闘争の再燃が陰の主役に思える。
 自由競争、規制改革など小泉路線に肯定的だった勢力はおおむねTPPに積極的だ。徹底した構造改革路線をかかげる「みんなの党」は「表明は遅きに失した」と他野党と全く違う立場で首相を批判する。小泉氏の次男である自民党の小泉進次郎衆院議員が国会の反対決議の動きに同調せず、議院運営委員を交代させられたのは象徴的だ。
 これに対し慎重派は国民新党の亀井静香代表、自民党の加藤紘一元幹事長を筆頭に小泉路線反対派の顔ぶれが目立つ。
 民主党は格差拡大など小泉改革のひずみを強調し政権を奪取した。だが、実際はその総括を民主、自民両党とも放置し、民主党政権は次第に規制改革、成長重視にかじを切った。2大政党が抱えている内部矛盾をTPPはあぶりだしているのだ。
 対立の根はかくも深い。だが、過去の構図を蒸し返すだけでは進歩が無いようにも思える。
 たとえば、毎日新聞の世論調査ではTPPに「参加すべきだ」と答えた割合が20、30代で19%、28%と全体(34%)や中高年層に比べ低かった。就職難や将来の不安にさらされている若い世代の「もっと荒波をかぶり競争しろというのか」という漠然たる不安を感じてしまう。
 日本が交渉に積極参加するためには、国民の幅広い理解が欠かせない。首相は参加方針を表明した記者会見で国内対策として「中間層の再構築」を強調したが、こうした取り組みの具体化こそ、安心感を広げるはずだ。小泉改革を問い直し、賛否を超えた第3の道を示せるかという重い課題もまた、TPPは日本政治に投げかけている。(論説委員・人羅格)


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