電力料金 大企業向け赤字を家計向けで補填
08年、電力5社の大口向けの自由化料金部分は1580億円の赤字、同時期に、家庭向けなど規制部門は、値上げを実施した。27日の国会で、吉井議員は、99年の電力自由化の際、自由化部門の赤字補てんを目的とした規制部門の値上げは認めないとした当時の資源エネルギー庁長官答弁を示し、「現実には自由化部門の赤字を規制部門で補てんしている」と追及している。
先日の東京電力の収益・・規制部門が91%とも一致する話である。
【電気料金見直し求める/大口赤字補てんを批判10/27】
【179-衆-経済産業委員会-2号 平成23年10月26日】
【電気代 大企業に大安売り 2010/10】
【電気料金見直し求める/大口赤字補てんを批判10/27】電力会社が、工場やオフィスビルなど大口向けの電力料金(自由化部門)の赤字を規制部門(家庭や中小商店向け)の利益で補てんしている実態が、10月26日の衆院経済産業委員会での日本共産党・吉井英勝議員の質問で明らかになりました。
吉井氏は、2008年度には電力5社が自由化部門で1580億円もの赤字を計上しながら、規制部門では同時期に燃料費調整額を大幅に引き上げる料金改定を実施したことを指摘。1999年の電力自由化の際、自由化部門の赤字補てんを目的とした規制部門の値上げは認めないとした当時の資源エネルギー庁長官答弁を示し、「現実には自由化部門の赤字を規制部門で補てんしている」と追及しました。
吉井氏は、電力会社は「地域独占」の公益企業であるにもかかわらず、競合他社のいない規制部門から利益を生み出し、競争のある自由化部門ではほとんど利益も出さない料金設定にしていることは許されないと批判。「電気料金は中身が見えないブラックボックスとなっている。国民にきちんと資料を示して説明するべきだ。(すべての経費を一括して計上し、利益を盛り込んで電気料金を決める)総括原価方式そのものにメスを入れるべきだ」と主張しました。
枝野幸男経産相は、新たに設置した有識者会議の報告を踏まえて見直すとした上で、「来年春までかかるというレベルでなく、オープンな議論の中ですみやかに結論を出したい」と答弁しました。
【電気料金制度 衆院・産業経済委員会 10/26】◆吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私、最初に、きょうは電気料金制度について、まずこのことから伺っていきたいと思います。
枝野大臣は、十月十二日の会見で、電気料金の制度について、国民の信頼を得るために、有識者会議を設置し、東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書に指摘された電気料金制度とその運用についてのさまざまな問題点についての議論を速やかに開始したい、このように述べて、その後、十月十七日に、経産大臣主催の電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議というのを設置されました。十一月一日から年度内にかけて議論して、答えを出そうということのようです。
そこで伺っておきたいのは、最初に政府参考人に伺いますが、総括原価方式のもとで、九九年に電力自由化が導入されました。当時の衆院商工委員会の会議録に明記されておりますように、稲川当時のエネ庁長官が、今回の自由化に伴って小口需要家に悪影響が及ばないようにするために、規制料金の改定の際に全体の費用を大口部門と小口部門に適切に配分するということが第一だ、それから、大口部門の収支の赤字を補てんすることを目的とした小口部門の料金の値上げは認めない、この原則を明確にしているわけですね。
しかし、現実を見ると、自由化部門で当期純損失を出している電力会社が実際にあるんじゃないかと思うんです。これを年度ごとに、電力会社名と損失額はどれぐらいかを伺っておきたいと思います。○高原政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、事務的な制度の仕組みを簡単にお話しさせていただければと思います。
各電力会社の自由化部門の収支動向が規制部門に悪影響を及ぼさないということを目的といたしまして、電気事業法に基づきます経済産業省令で、委員御案内だと存じますけれども、規制部門と自由化部門、それぞれを区分した部門別の収支というものを当省の方に御提出いただいております。
その上で、この部門別の収支につきましては、電力会社が自由化部門の赤字を補てんすることを目的として規制部門の料金値上げを行うということを認めるべきではないという観点から、赤字の場合には事業者名及び赤字額を公表いたしております。
ただ、今申し上げたような場合を除きまして、一般的には、部門別の収支というのは、自由化部門の経営情報の開示ということを通じて事業者の競争上の地位を阻害するおそれがある、そういう情報として、実は、平成十一年の当時の電気事業審議会の料金制度部会でそういう整理をさせていただいたものでございますから、これは公開情報の対象とはいたしておりません。
したがいまして、お尋ねの部門別の収支状況につきましての回答は、恐縮でございますけれども、差し控えさせていただきたいと思っております。
以上でございます。◆吉井委員 資料一をごらんいただきたいんです。これで自由化部門損失額で紹介しておりますが、これは経産省からいただいた資料に基づいてまとめたものですが、自由化部門の赤字を規制部門で補てんしている、こういう形になってくるんじゃないですか。例えば、二〇〇八年度を見れば、自由化部門、五電力合計して千五百八十億円の赤字ですね。その一方、規制部門では燃料費調整額を大幅に引き上げるという料金改定をやっているんですね。
だから、自由化部門の方は赤字を出して、一般電気消費者の方は、適当な理由という言い方が適当かどうかは別にして、大幅値上げをやっている、これで黒字を出している、これが現実じゃないですか。○高原政府参考人 お答えを申し上げます。
確かに、燃料価格が上昇いたしましたり、あるいは原子力発電所の利用率が低下をいたしますと、既に公表もさせていただいておりますが、一時的に自由化部門で赤字が生じた例はございます。ただ、恒常的に自由化部門で赤字が生じている、そういう電力会社はないものと認識をいたしております。
以上でございます。◆吉井委員 そこで、資料二の方を見ていただきたいんです。これは東京電力に関する経営・財務調査委員会のものなんですが、電気事業営業利益の九割を規制部門から生み出しているんですね。自由化部門の営業利益はわずか一割弱。これは百十二ページのところでそういう分析もされております。
電気事業営業利益の多くを規制部門が生み出すという構造は、東京電力のみの構造なのか、ほかの電力会社も同じ構造なのか。各社の電気事業営業利益の規制部門と自由化部門のそれぞれの構成比はどうなっているのか、これをまず示していただきたいと思います。○高原政府参考人 構成比はそのときごとに変わるわけでございますけれども、ただ、先ほど御指摘のありましたような、東京電力についてどの年度にどういう赤字が出たということにつきましては、先ほど申し上げたとおり、燃料費の高騰でございますとか、あるいは原子力発電所の稼働率の低下といったことによって左右されているというふうに考えております。
以上でございます。◆吉井委員 そこで、大臣、要するにこの自由化部門については、赤字が出ても、これは競争上の問題だとかいろいろなことを今までから言ってきたんですよ。
競争上の地位というんですが、電力会社というのは、大臣よく御存じのように、地域独占の公益企業なんですね。とりわけ一般家庭や中小商店などの規制部門においては、他社との競合地はないんです。競争がないところが純利益を生み出して、競争している自由化部門はほとんど利益が出ないような料金設定をやっている。これはやはり大臣が指示してきちんと資料を出させるということが大事じゃないかと思うんです。
それから、これは前の大臣のときから議論してきたんですが、電気代に含まれている原発付加金に相当するものですね、電源開発促進税とか。一体、そもそも基本料金のどこに幾ら入っているのか、さっぱりわからない。これはブラックボックスだということになっておりますが、これらの電気代の中身について、今、非常に国民の関心の高まっているときですから、有識者会議の議論待ちじゃなくて、きちんと国民に資料を示して説明する、総括原価そのものにメスを入れるということが大事だと思うんですが、これは大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○枝野国務大臣 御指摘いただいたとおり、電気料金については、透明性や公平性という観点から、かなり抜本的に見直す必要があるだろうと思っております。
総括原価方式という、方式も含めた抜本的な見直しについては、これは少し時間をいただいてしっかり検討いたしませんと、例えば、諸外国における電力改革が成功したケースと失敗したケースといろいろありますので、かなりきちっとした分析をさせていただきたいと思っていますので、一定のお時間をいただければと思っております。
ただ、現行の制度下においても、今御指摘いただいたとおり、もっと情報公開ができるのではないかといったことも含めた改革については、御指摘いただいた有識者会議をつくりまして、総括原価方式の枠内における原価の見直しも含めて集中的な御議論をいただこうと思っております。
これは来年の春までかかるとかそういうレベルではなくて、年内にもまず、最低、第一段階としての方向性は出していただこうと思っておりますので、今ここで私が、はい、わかりましたと答えた方が格好いいのかもしれませんが、若干いろいろな影響があるかもしれないということを含めて、有識者の皆さんに、この会議自体オープンでございますので、オープンに御議論をいただいた上で、速やかに結論を出したいと思っております。
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