在沖海兵隊 海外移転「懸命な選択」 元米国防次官補
元米国防次官補のジョセフ・ナイ氏の論文--普天間基地は、県民に受け入れられる余地はないとして、オーストラリアへの移転を「賢明な選択」とする内容、がニューヨーク・タイムズに掲載された。琉球新報の社説。あいつぐ米研究所の論文といい、沖縄からの海兵隊移転の声が続いている。
一方、政府は、地位協定の「運用改善」程度(裁判権放棄の密約は破棄しない)で、基地押し付けに固執している。
【ナイ氏論文 海兵隊撤収含みの提言重い琉球新報11/24】
【外相 負担軽減示し移設理解得たい NHK11/25】
【ナイ氏論文 海兵隊撤収含みの提言重い琉球新報11/24】潮目が変わった。できないことを強引に進めても無用な摩擦を強め、国の利益を損なう。深手を負う前に改めるべきだ。要約すればそういうことになるだろう。
元米国防次官補のジョセフ・ナイ氏が、米海兵隊普天間飛行場の県内移設計画に関し、「沖縄の人々に受け入れられる余地はほとんどない」と分析した上で、訓練環境が整うオーストラリアへの海兵隊移転を「賢明な選択だ」と提唱した。
1996年に普天間飛行場の県内移設条件付き返還を主導したナイ氏は日米関係の内実を知り尽くしている。あれから15年たつが、普天間は1センチも動かない。
知日派の筆頭とされる重鎮の目には、沖縄に今のまま海兵隊を置き続け、海兵隊の新たな航空基地を造ることは不可能に映っている。正(せい)鵠(こく)を射た見識である。
日米両政府は、普天間飛行場の県内移設を断念し、在沖海兵隊の撤収にかじを切るべきだ。
ナイ氏の主張は、中国や北朝鮮をにらむ海兵隊の航空部隊、歩兵、兵站(へいたん)部隊の一体運用を根拠に、普天間飛行場の県外・国外移設を度外視する日本政府の見解を「虚構」と位置付けたに等しい。沖縄の地政学的な優位性も崩れた。
ナイ論文は米有力紙ニューヨーク・タイムズに掲載された。県内移設を拒む強固な沖縄の民意に目を向け、米政府に大胆な政策転換を促した点で意義は大きい。
海兵隊の配置をめぐり、ナイ氏は「米国は沖縄にこだわらない」と発言していたが、オバマ大統領がアジア重視を打ち出した節目を捉え、さらに踏み込んだ。
米議会の財政赤字削減委員会の交渉が決裂し、2013会計年度から10年間で約6千億ドル(約46兆円)に上る巨額の国防費が削減される可能性が高まっている。財政難を背景に、米議会内にも普天間飛行場の県内移設を不可能とする見方が強い。実現可能と言い張るのは日米両政府だけではないか。
大きな地殻変動を無視してはならない。沖縄に普天間を押し込めようと思考停止してきた人々は自らの不明を恥じるべきだ。民意に沿う形で日米関係修復に取り掛かるのが賢明だ。
ナイ論文は軍事、経済の両面で台頭する中国を意識している。軍事による制御ではなく、外交や文化的影響力で国家や人々を動かすソフトパワーを唱えるナイ氏による提言の重さを受け止めたい。
【外相 負担軽減示し移設理解得たい NHK11/25】玄葉外務大臣は、25日から沖縄を訪問し、在日アメリカ軍の軍属が公務中に起こした事件・事故について、日本で裁判を行うことができるよう、日米地位協定の運用の見直しを説明することにしており、沖縄の負担軽減に向けた取り組みを示しながら、普天間基地の移設への理解を得たい考えです。
在日アメリカ軍の軍属が起こした事件・事故で、軍が「公務中」と認めた事案については、日米地位協定に基づき、アメリカ側に優先的な裁判権が認められていますが、2006年以降は、裁判が行われないまま、軍の懲戒処分のみが決まる状況が続いていました。これについて、日米両政府は、軍属が公務中に起こした、被害者が死亡したり重傷を負った事件・事故で、アメリカが裁判を行わない場合には、日本側が要請すれば裁判を行うことができるよう、地位協定の運用を見直すことで合意しました。これを受けて、玄葉外務大臣は25日から沖縄県を訪問し、26日、仲井真知事らと会談することにしています。そして、日米の合意内容を説明したうえで、ことし1月、軍属の男性が沖縄市で交通死亡事故を起こし、公務中だったことを理由に不起訴になった事案について、今回の見直しを適用する方針を伝えることにしています。そのうえで玄葉大臣は、普天間基地の移設問題について、日米合意に基づいて名護市辺野古への移設を進めるために、環境影響評価書を年内に提出する方針を改めて説明することにしており、今回の見直しを含め、沖縄の負担軽減に向けた取り組みを示しながら、普天間基地の移設への理解を得たい考えです。
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