在沖海兵隊 米本土移転が合理的 米研究者論文
昨日書いたように、在沖米海兵隊の米本土移転が「合理的」と、米国研究者が論文を発表し、米大手メディアCNNに掲載された。10月には、米国防総省に近い「ランド研究所」の研究者らも「移動させても大きな支障はない」「県民に歓迎され、結果的に日米同盟の強化につながる」との論文を発表している。
沖縄の赤嶺政賢衆院議員はすこし前に、「原発利益共同体と同様に財界や御用学者など安保から利益を得る“安保マフィア”と沖縄の問題をありのまま報道しない全国紙が国民の議論をゆがめて基地問題の解決を阻害している」と批判している。
【研究者論文 米本国移転は合理的だ 琉球新報・社説11/7】
【在沖海兵隊、県外移転「支障なし」 米シンクタンク研究者ら 琉球新報10/5】
【研究者論文 米本国移転は合理的だ 琉球新報11/7】米国の研究者が論文を発表し、在沖米海兵隊の米本土移転を主張した。しかも米大手メディアCNNのサイトでの掲載だ。従来の米軍再編計画に懐疑的な見方が米国内でも主流であることを物語る。
論文は、現下の米国の財政事情、米軍の能力・役割、沖縄の政治・社会情勢を踏まえて合理的に論じており、説得力がある。
野田佳彦首相や関係閣僚はこの論文を読むべきだ。外務・防衛官僚ら「安保マフィア」の振り付け通りの「思考停止」から脱し、こうした合理的思考を取り戻してもらいたい。
発表したマイク・モチヅキ米ジョージワシントン大教授とマイケル・オハンロン米ブルッキングズ研究所上級研究員は、日米関係・安全保障論で有数の専門家である。
両氏は、在沖海兵隊員8千人の移転先をグアムではなく米本国の西海岸にすべきだと主張する。戦争時またはその直前に配備すべきだという「有事駐留論」に近い。
論拠は二つ。一つは沖縄の政治情勢だ。「仲井真弘多知事が埋め立て申請を拒否するのは確実」と述べており、9月訪米での知事の講演が実を結んだ感がある。
2点目は「計画はあまりに高額過ぎる」ことだ。米政府監査院(GAO)の見積もりによると、従来計画は最低291億ドル(2兆2756億円)を要する。日米それぞれ1兆円以上もの負担だ。
これに対し、両氏の主張通り事前集積船を日本近海に展開する戦略だと、それぞれ3900億円で済む。どちらが合理的か、誰の目にも明らかだろう。
そもそも米軍再編は、軍事技術革命(RMA)を踏まえた米軍の合理的な再配置が目的だった。
近年の軍事技術の飛躍的発達により、軍の配置は必ずしも限定されなくなった。戦車を装甲車に変えるなど軽量化して機動力を高め、世界中どこでも96時間内に展開できるストライカー旅団はその象徴だ。高速輸送艦の存在もある。
技術発達で、無人機による爆撃など、空軍が鍵を握るようになったという事情もある。これらにより軍の海外展開は最小限にするのが可能、というのが出発点だったはずだ。
論文はその出発点を思い起こさせる内容だ。戦費負担に苦しむ米国、震災復興需要を抱える日本と、巨額の財政支出を避けたい事情は両国に共通する。合理的結論に早く目を見開くべきだ。
【在沖海兵隊、県外移転「支障なし」 米シンクタンク研究者ら 琉球新報10/5】【東京】米国防総省に近いシンクタンク「ランド研究所」の研究者2人と、著名な安全保障専門家、リチャード・サミュエルズマサチューセッツ工科大学教授が米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」9月号で、「海兵隊を沖縄から移動させても、ほとんどの緊急事態における作戦遂行上、大きな支障は生じない」と指摘している。同教授らは沖縄からの海兵隊移転について「県民に歓迎され、結果的に日米同盟の強化につながる」と明言。米政府に対し在沖海兵隊をグアムなどに移転させる努力を続けるべきだと促している。
著者はサミュエルズ氏のほか、ランド研究所のエリック・ヘジンボサム、エレイ・ラトナーの両氏で、論文の題目は「漂流する日本の政治と日米同盟」。
サミュエルズ氏らは、中国と北朝鮮に対する抑止力について触れ「嘉手納基地は非常に重要だ。人道支援や災害支援を含む他の活動にも貢献できる立地と設備を兼ね備えている」と説明。
一方で、海兵隊については「訓練施設とインフラさえ適切なら、西太平洋のどこに拠点を持つかはこだわる理由はない。どこを基地にしようとも、海兵隊は想定されるいかなる任務もこなしていく能力がある」とし、沖縄に駐留しなくとも機能は維持できると指摘。
日本政府が海兵隊普天間飛行場の県内移設を推進する理由として強調している「沖縄の地政学的な優位性」を否定している。
米上院のマケイン、レビン、ウェッブの各氏らが提起している普天間飛行場の嘉手納統合案については「海兵隊の航空機によって、有事の際に必要になる戦闘機などの駐機スペースが奪われる」と述べ、嘉手納統合案以外で普天間移設を実行すべきだとした。
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