「非核三原則」を踏みにじるインドへの原発輸出
インドはNPT未加盟国で、NPTは加盟国にだけ原子力の平和利用を認め、未加盟国への核技術移転を禁じている。被爆国で、非核三原則を国是する日本が、インドへの原発輸出することは許されない、と長崎県の被爆者5団体が声明を発表した。長崎市長も「NPT体制がなし崩しになる」と反対の姿勢をしめている。
【「原発輸出許さない」 日印原子力交渉再開に被爆者5団体が反発 長崎新聞11/1】
もともとは、08年、アメリカがインドへの原子力協定を結び国際的な合意を破ったことが出発点だが、戦争をする国・アメリカの行動を、非戦・非核の国・日本が同じであっていいわけがない。
NPT体制は、核保有国の核独占という不公平条約だが、昨年の再検討会議では“核保有国は、核軍縮につながる具体的進展の加速を約束。2014年の再検討会議準備委員会に進展状況を報告し、15年の再検討会議で次の措置を検討”と合意がなされた。この間、核兵器廃絶の国際的な合意は前進してきている。
事故の検証もされてない技術、危険を、輸出するのか、という論点とともに「国是」に反するという論点も広げていかくなてはならない。
【「原発輸出許さない」 日印原子力交渉再開に被爆者5団体が反発 長崎新聞11/1】 福島第1原発事故以降に中断していた日本とインドの原子力協定締結交渉を進展させることが、29日の両国外相会談で合意され、野田政権が継続を表明した「原発輸出」は現実味を帯びてきた。本県の被爆者5団体は31日、記者会見し「(原発)輸出は断じて許せない」と反発。田上富久長崎市長も「NPT(核拡散防止条約)体制がなし崩しになる」とあらためて反対の姿勢を明確にした。インドはNPT未加盟国。NPTは加盟国にだけ原子力の平和利用を認め、未加盟国への核技術移転を禁じている。実質的な核兵器保有国インドとの原子力協定をめぐっては、県や同市が「NPT体制の崩壊につながる」として原発事故前から政府に抗議してきた。田上市長は31日の定例会見で「NPTに加盟しなくても原子力の平和利用ができる仕組みに(日本が)参画することになる。理屈が合わないし反対のスタンスは変わらない。広島も同じ(意見)だと思う」と述べた。
被爆者5団体は同日、海外輸出に反対する文書を野田佳彦首相らに送付した。文書では「原発への信頼が根底から失われているにもかかわらず、輸出しようとする政府や企業の常識を疑わざるを得ない。人間としてあるまじき行為だ」と痛烈に非難。原発事故が収束しない中、政府がやるべきことはエネルギー政策の転換だと訴えている。
土山秀夫元長崎大学長は「他国がインドへの原発の売り込みに成功している現状がある。日本も乗り遅れたくないのだろう」と分析。「いくら経済のためとはいえ、日本は非核三原則を掲げておきながら国の倫理に反する行為をしようとしている」と政府の対応を批判し、被爆地から反対の声を上げるべきだと主張した。
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