岡崎市政の8年間 雑感
11月で現市政の2期8年がまるまる。
この8年を私なりに総括するなら、前市政のつくった大型事業・同和偏重のツケを市民におしつけ、市政を劣化させてきた、と言える。それは以下にまとめてみた。
もうひとつ、この間目につくのは県政との姿勢の違いである。
県下で唯一、県がはじめた第三子の三歳未満児の保育料無料化を実施していない。そのため県下の子どもの半分が対象から外れている。 県がとりくんでいる地域の居場所づくり「あったかふれあいセンター」も、県は、国の基金事業が終了後も継続の意向だが、市は「市負担が発生するものは継続困難」という姿勢である。
【岡崎市政の8年間 雑感】
①大型事業・同和偏重に反省なし
・財政危機の原因は、200億円の競輪場、190億円のかるぽとーなど大型事業を野放図に拡大するとともに、国の法律終了後も20億円(2001年)も同和事業に使うなどしてきた前市政の路線を、反省せず強制に特定してきた競輪場、かるぽーとなど大型プロジェクトと同和行政偏重が生み出したものです。そして、その路線を反省せず「結果として見通しが甘かった」「同和行政は引き続き必要」と継続しているからです。
同和事業は、財政危機と党市議団の追及で大きく削減しましたが、「解同」の糾弾集会に、市長以下幹部160人余が出席するなど、圧力に弱い体質は市政全般のゆがみをつくっています。それは特定市民、特定業者問題としても表れました。
②市民負担60億円。すでに昨年度4.7億円の黒字に転換。国保も5.6億円の黒字
・岡崎市政は、この財政危機を市民負担増で乗り切ってきました。
05年から2011年の7年間、国保分をのぞいて53億円余の市民負担増となっています。
事務事業の見直しでは・・・廃止193項目 24億6100万円、凍結125項目 7億6200万円円
計32億2300万円の削減。下水道値上げ分は、21億8千万円(09年4月から2年分)。
国保は07年度に4パーセント値上げし、09年より、50年間続いた障害者、高齢者、寡婦の独自減免制度を段階的に廃止。計6億円の負担。 一般会計と合計で約60億円
・2010年度決算は、一般会計は4億7千円もの黒字になりました。3月の補正予算で、計画になかった競馬組合への赤字補填、5億円近い額を前倒し分で実施したので、実質は10億円の黒字です。国保も5.6億円の黒字、介護保険も1.5億円の黒字です。
収入が低下する中、高すぎる国保料は大きな負担となっていますが、最高限度額の引き上げ、独自減免の廃止により、回収不能となった額が昨年度は6億5千億円にも急増しました。市民税回収不能額の16倍の規模となっています。
市民に負担をかけても、結局はらえなくて、欠損処理となり、財政の改善に役だたない。払えない市民も悩み、苦しんでおり、払える保険料に努力することが大事です。
低所得者への保険料、利用料の負担軽減策は、この黒字の一部を利用すれば可能です。
③「アウトソーシングが目的化」、職員削減による市政の劣化、ムダ使いの発生
高知市の人的経費――人件費、物件費(多くはアウトソーシングなど委託量、非常勤職員の賃金)は、中核市でトップクラスの低さとなっています(06年度中核市37市で3位)。岡崎市政は、“職員が多い、アウトソーシングが進んでない”という「理由」だけでさらに削減を強行しました。それは「アウトソーシング自体が目的化している」(外部監査)と指弾されたような「道理」のないものです。
・福祉現場での人で不足、新規採用の抑制による専門性の継承についても深刻な事態となっています。50歳以上の職員比率が、建築60%、電気42%、機械42%、保育51%となっています。
・多忙化でメンタルも増えています。
・公務の専門性は、効率性にも結びつく――高知の清掃工場は直営で、職員がいくつもの資格を持ち、点検・保守を自前で実施し、燃焼の仕方も日々工夫をし、民間よりはるかに安く質の高い運営をしています。委託している他自治体では、メーカーいいなりで、高い委託料をとられてます。学校給食調理では、東日本震災、緊急の炊き出しとして公務の役割を発揮しました。一方、民間委託が多くなれば、業者の力が強くなり、委託料が引き上げられる事例が起きています。
一般的に職場の専門性が低下すると、アウトソーシングした業務の点検・評価ができなくなり、質の低下、言いなりの委託料になります。高知市の委託契約は金額で7割、62億円が随意契約となっていますが、外部監査でも“他業者、他都市との比較もしてない”“費用等の具体的数字をもってない”“意味なく随意契約をつづけている。”“初めから「この業者」での契約”などなど厳しく指摘されています。5%カットできても3億円の財源がでてきます。
・モノを考えない市政。「カネがない」で住民の要望を門前払い。小さな工事では、設計変更を認めなかったり、「予算」内に無理に金額を押さえ込むという業者泣かせが横行。「カネを使わない」ことが市政の自己目的化しています。
住民と向き合い、住民とともにボトムアップで政策を築きあげる、住民自治の内実を豊かにするという最も大事な機能が空洞化していきます。
③問われている今後の市政運営 ~ 好転する財源をどう使うか。
もともと効率的な運営をしてきた高知市で、必要以上の負担増と職員削減で、計画を何年も前倒しし、すでに黒字が生まれ始めています。財政危機を招いた大型事業の借金返済がピークを迎え、2014年から財政は毎年大きく改善していきます。
日本共産党は、財政再建にあたっては、好転する財政を視野に入れ、10年間の中期計画で、暮らしを守る必要な施策は確保することを提案。同時に談合和解金やPFI解約、同和事業の縮小で財政に貢献し、固定資産税増税、ゴミ有料化を市民のみなさんとともにストップさせてきました。
日本共産党は、今後、好転をしていく財政を、市民の命と暮らしを最優先で活用するよう全力をつくします。そのためには、大型事業・同和偏重で、そのツケを市民におしつけた市政運営の根本的な転換が必要です。
◆昨年度の黒字分だけでも、こんな願いが実現可能に
・子どもの医療費 就学援助の対象者を小学校卒業まで無料化 8千万円
・保育 第3子3歳未満児 無料化 1億2千万円(総額1億7千万、1/3は県負担として)
・国保 独自減免復活 2億円
・国保 低所得者の窓口負担軽減 3千万円
・介護・防災 地域の「絆」センター 20箇所で2億円(県市1/2ずつとして)
・住宅リフォーム助成 1億円
計7.3億円(一般会計と国保の黒字額で対応できる金額です)
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