人勧見送りは「違憲」、さらに地方にも干渉
自民幹事長でさえ「ある意味憲法違反」と発言。そもそも労働基本権を制限していることが憲法違反だが、労働基本権の回復のないまま、その代替措置である「人事院勧告」も無視するのは、二重に憲法違反である。
一部高級官僚の厚遇や天下り法人の是正がまずやられるべきで、暴走と言える。
しかも、地方にまで手を突っ込もうとしている。地方は、三位一体改革で、6.8兆円も財政を削減され、人員削減など様々な努力をすでにしてきている。
【公務員給与削減に自民反発…人勧見送り「違憲」 読売10/26】
【財務省、復興財源見込み教職員給与引き下げ 「義務教育負担金」削減を検討 10/26】
第一の論点で言えば、今、共感をえる訴えを考えると「国家公務員の半分をしめるのは自衛隊。災害支援で献身的に活動した彼ら(彼女ら)の給与を一方的に削減するのか」「まず政治家は320億円の政党助成金を返上しろ」というのはどうか。
第二の点で地方の反発は相当なものだろう。
尾崎正直高知県知事は、5月26日記者会見で 「国家公務員の総人件費10%カット」についてこう述べている。
“「私たちも10%カットしたから地方も」と言ったって、それは、おかど違いというものでして、地方のほうが先に削減していた。私たちの県だって、給与カットとか、定数削減とかを急激に進めていく前からいけば16%以上の削減を既にしているわけです。そういう状況の中で、今になってやっと国が10%(の削減を)やり始めた。もう随分遅れてやり始めた。そういう感想ですよね。ですから、「自分達もやり始めたので地方もどうですか」、と言われても、「いや、とっくの昔にやっています」、そういう感想かなと思います。
地方の公務員の給与は、地方で決める。地方の条例で地方の意志として決めることであって、国にとやかく言われることではないと思っています。”
復興財源というなら大企業むけの減税と証券優遇税制の継続をやめれば、10年間で17兆円でてくる。賃下げは、内需停滞による不況をさらに深刻にし、結局、税収不足、国内市場に見切りをつけた企業の海外移転をおしすすめるだけである。
【公務員給与削減に自民反発…人勧見送り「違憲」 読売10/26】政府は25日、国家公務員給与を平均0・23%引き下げるとした2011年度人事院勧告(人勧)の実施見送りを決めた。
東日本大震災の復興財源を確保するため、国家公務員給与を平均7・8%減らす給与削減法案の今国会成立を優先させたものだが、自民党は人勧見送りを問題視しており、同法案の成立の見通しは付いていない。
野田首相は25日夜、首相官邸で藤村官房長官、川端総務相、民主党の前原政調会長と会談し、給与削減法案を早期に成立させる方針で一致した。
給与削減法案は、国家公務員の現行の俸給表を据え置いたまま、13年度末まで俸給月額(基本給)を職責に応じて、10%、8%、5%削減する内容だ。ボーナスの減額分と合わせ、年間2900億円の人件費削減につながる。先の通常国会に提出され、衆院で継続審議となっている。
一方、人勧は俸給表を改定して平均年収を0・23%引き下げるもので、11年度は120億円の人件費削減を見込んでいる。政府は今回、給与削減法案が減額幅で人勧水準を大きく上回っていることなどを踏まえ、「削減法案が成立すれば人勧の趣旨は生きる」(総務省幹部)とし、人勧実施の必要はないと判断した。
ただ、国家公務員は労働基本権が制約され、給与水準を政府側との交渉で決めることができない。政府は人勧を労使交渉に代わる措置として尊重してきたため、人事院は「無視するのは憲法上問題だ」と主張している。自民党の石原幹事長も「ある意味、憲法違反だ。(削減法案が)人勧を含むという見解は通らない」と批判した。
【財務省、復興財源見込み教職員給与引き下げ 「義務教育負担金」削減を検討 SBニュース10/26】財務省は25日、2012年度当初予算で、国が公立小中学校の教職員給与の3分の1を賄う「義務教育費国庫負担金」を最大1000億円削減する検討に入った。独立行政法人(独法)の職員給与も引き下げる方針で、独法に支出している運営費交付金も減額する方向で調整。浮いた財源は東日本大震災の復興に充てることも含めて検討する。
削減は国家公務員の給与を平均7.8%引き下げる臨時特例法案の今国会成立が前提。給与の大幅削減が、教職員を含む地方公務員や国と関係の深い仕事を行う独法など公的部門全体に広がる可能性が出てきた。
約70万人いる小中学校の教職員の給与総額は約4兆7000億円。3分の1を対象とする義務教育費国庫負担金は教職員定数と教職員1人当たりの給与単価を基に算出し、11年度予算では1兆5666億円を計上。財務省は国家公務員給与の削減率に合わせ、給与単価も平均7.8%程度引き下げたい考えだ。
財務省は、復興財源を捻出する国家公務員の給与削減に合わせ、地方公務員の給与に充てる分の地方交付税を最大6000億円削減する方針を既に固めている。小中学校の教職員給与の残る3分の2は交付税で手当てされるため、交付税削減に伴って義務教育費国庫負担金も減額する必要があると判断した。ただ、教職員給与の大幅な削減につながるだけに反発は必至だ。
独法向け交付金の減額は、公的部門の一部を担う独法も職員給与を削減し、復興財源を賄う臨時増税への国民の理解を得るのが狙い。
交付金は11年度予算で約1兆5000億円で、100億円程度削減できるとみられる。政府、与党は、国家公務員の給与削減で浮く年間2900億円を復興財源に回す方針。
◇
【用語解説】義務教育費国庫負担金
都道府県ごとの財政力の違いによって義務教育に差が出るのを防ぐため、公立小中学校の教職員給与の3分の1を国が負担する制度。1953年度に制度が始まり、国の負担は2分の1だったが、税財源を見直す三位一体改革に伴い、06年度から3分の1に引き下げた。残りの3分の2は都道府県の負担だが、地方交付税で手当てされる。
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