やらせでない公正な議論を エネ調・基本問題委員会
飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、基本問題委員会の委員に選ばれたが、開会にあって意見を提出している。
原発事故、「やらせ」などを、エネルギー政策は国民の信頼を失っており、運営面では“過去の本省における審議会の経験を踏まえて”“特定の利害関係者と事前に謀った「落としどころ」に誘導しないこと”など公正な運営と国民との徹底対話。議論の大前提として、現エネルギー計画の非現実性を指摘し、「脱原発依存」「自然エネルギーの急速な普及」などを提案している。委員会議論の国民監視が必要である。
図は、原発新設が不可能な現在、脱原発は否応なく進むことをしめしたもの。
【総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の開会にあたって isep10/3】
【総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の開会にあたって】■ 本審議会の「正統性」に対して、一定の留保をいたします
• 東電福島原発事故を招いた原発への過剰な傾斜政策、独占的な電力市場の放置と天下りなどの癒着、公開ヒアリングでの「やらせ問題」、再稼働への先走りなどで、現状のエネルギー政策体制は国民からの信頼がないと理解すべき。
• 本来であれば、政治主導によって、審議会の統廃合や所管省庁を変更して人心一新した場で、新しいエネルギー計画を審議検討すべきところ、未だに、誰も責任を取らず、そうした抜本的な組織改編の動きも見られないことは、国民感覚として理解しがたいところがある。
• にもかかわらず、旧来のエネルギー基本計画を作成した体制(審議会委員、事務局体制)をそのままに、若干のメンバー追加した程度では、本来的な「正統性」を担保できるとは、とうてい考えにくい。
• したがって、小職の参加にあたっては、本審議会への「正統性」に関して、一定の留保があることを表明しておきたい。具体的には、今後のエネルギー政策体制のあり方についても、審議アジェンダに乗せることを提案する。■ 公正・公平、かつ国民の対話を促す運営への指揮を望みます
• 本審議会は、主に次の2つの観点から、公正・公平な運営を指揮していただきますよう、強く望みます。
• 第1に、過去の本省における審議会の経験を踏まえて、以下のような点に留意いただきたい;
① 特定の利害関係者と事前に謀った「落としどころ」に誘導しないこと
② 特定のエネルギー経済モデルで一定方向の結論に誘導しないこと(複数モデルの活用に加え、戦略的・シナリオ的議論をより重視すること)• 第2に、従来のエネルギー政策を白紙で見直すという観点から、以下のような点に留意いただきたい;
① 委員会構成の公正・中立性(委員長選任を含む)
② 事実上の決定権を持つ事務局の審議運営の公正・公平・透明性• いまや国民の第1 の関心事が原子力・エネルギー問題といっても過言ではなく、アリバイや見せかけ、「やらせ」ではない、徹底的な国民との対話および国民同士の議論を促す工夫や仕掛けを指揮いただきたい(たとえば、エネルギー・環境会議や原子力大綱策定会議などと合同で)。
■ 「大前提」の確認
今後、複数のシナリオやエネルギー戦略を議論するとしても、大前提もしくはデフォルトが、以下の3 点であることを確認させてください。
• 脱原発依存
3・11 東電福島原発事故のあとで、政治的な大前提は「脱原発依存」だと理解しております。これは、以下の3 点から見て、避けられない方向性。
̶ 第1 に、今や8 割を越える国民が(時期の違いはあれ)脱原発支持
̶ 第2 に、巨大事故リスクとそれに対する無能性の顕在化、無保険状態
̶ 第3 に、原発の老朽化と新増設の非現実的性からくる急減(下図)• 再生可能エネルギーの飛躍的な普及
菅前首相がドービル・サミットで宣言された「2020 年代の早い時期に電力の20%へ」という目標を出発点に議論すること• 電力市場の抜本的改革
電力会社による事実上の地域独占と垂直統合が、会社間連系が十分に活用できずに安定供給に支障が生じたこと、世界一高い水準の非効率な電気料金の背景、「総括原価方式」などの不透明な資金の流れなどの温床になってきたことから、聖域のない見直しの議論をすること■ 「現実」と「規範性」を踏まえた議論の指揮をお願いします
•
前エネルギー基本計画の「非現実性」
あまりにも現実を無視した「前エネルギー基本計画」の轍を踏まないこと(図は冒頭に移動/(注)環境エネルギー政策研究所作成、エネルギー基本計画での原発設備容量は一定の稼働率を想定)
• エネルギー政策の規範的な目標を定めること
従来の「エネルギー安全保障・経済性・(環境的)持続可能性」に加えて、
・ 地域経済やエネルギー新産業の方向性
・ 国民に開かれた、ボトムアップでのエネルギー民主主義の方向性以上
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