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ジェンダー平等は日本社会再生の鍵 備忘録

「女性白書2011」の総論部分・石川康宏氏の巻頭論文より備忘録。
わずか6ページの短いものだが、現状と展望を、「ウーマンノミクス」という関心のひろがりに触れ展開している。

【ジェンダー平等は日本社会再生の鍵】

◆ジェンダー平等にさからう力

☆男女の平等に抵抗する社会的要因 

①「大企業・財界による広い意味での労務管理の政策――職場の中の労働者だけでなくその家族をふくむ労働者の家族の管理」
②「改憲の動きのなかで再びクローズアップされた大日本帝国時代の日本を賛美する力」

~ この08年の指摘は、2011年の現在も基本的に変わっていない。

☆大日本帝国の日本を賛美する力の現状

・女性が最も無権利な時代を賛美する力は、国民的な反撃、国際社会の批判による安倍政権の崩壊後やや後退した。/が、「日本会議」が「夫婦別制」反対を呼びかけ
→第三次男女共同参画基本計画(2010)で、答申で「必要」となっていたものが「引き続き検討」に後退
→文科省 「つくる会」系の歴史、公民の教科書を検定合格に。
他社が、積極的に平等の実現を語るのに対し、「つくる会」系は、“憲法が保障するのは機会の平等であり、結果の平等ではない”「男女はたがいに違いを認めて」生活すべき(自由社)、「行き過ぎた平等意識」は社会を混乱させる、「男女の性差を認めた上で、それぞれの役割をしようする態度も大切」(育鵬者)

☆大企業・財界による雇用の状況

・「男は仕事と残業」「女は家庭とパート」という性別役割分業に強制に加え /1990年以降、非正規雇用の拡大による総人件費削減の動きが重ね合わされる
→ 働く女性の53.8%(2010年)が低賃金で身分の不安定な非正規雇用に /男性の非正規雇用も増加しているが、男女の割合では、およそ7割が女性(69.3%)/パートを含む賃金格差 男性の51.3%(09)
・シングルマザーに典型的に示される「女性の貧困」は、賃金格差の結果/それが、女性の家庭内での弱い立場(家庭内暴力)、職場でのセクハラ、パワハラの対象とされる可能性を広く生み出している。

◆世界の常識からはずれた日本の雇用

欧州との違い/ 格差をつくる中心は、事態を改善しようとする政治の姿勢の違い

☆社会的公正と経済成長の両立をめざすEU雇用政策

①「労働時間指令」(93年)/週労働時間48時間を上限、有給休暇は最低4週間。
 フランス、ドイツでは35時間前後。/日本は、労使「合意」があれば残業規制なし。それが世界最長の労働時間、結婚や出産を契機にした女性の退職の要因となっている。

②「パート指令」(97年)/同一労働・同一賃金の原則
 日本は、パートは圧倒的に女性が多い(09年 女性961万、男性470万)。低賃金で、ダブルワーク、トリプルワークも行われ、雇用期間も曖昧という不安定な身分
→ ILO パート労働条約(94年) 労働時間が短いことを「差別」の理由にしてはならない。/日本は、反対・修正意見を繰り返し、受け入れられなかったため条約に加わる批准の手続きをとらず 

③「有期労働指令」(99年)/臨時的・一時的でない日常業務を遂行する労働者は正規雇用が原則。また「有期雇用」を理由に差別してはならない。
→ 日本は、雇用は常用雇用を当然とするILO158条約を批准していない。

④「派遣労働指令」(08年)/正規労働者と同じ権利を規定

☆ILO条約の批准でも、後進国日本  /188条約のうち
・日本48。特に労働時間、休暇に関する18の条約は1つも批准していいない
・フランス123.イタリア111、イギリス86、ドイツ82

☆大きな格差が生まれた理由 /よりよい社会をめざす国民の力量の相違
・相違は、民主主義や基本的人権の実現をめざす歴史的なたたかいの中でつくられた
→近代民主主義の実現を求めるブルジョワ革命を、長いたたかいの中で自立で19世紀に達成した国々と/20世紀の半ばになって、敗戦と占領の外圧の中でようやく人権と民主主義を手にした日本では、/社会と個人の政治的成熟度に大きな違いがある。
→ このことを自覚し、ヨーロッパの取組みに学び、日本社会も成熟を深めていく必要がある。

◆「ウーマンノミクス」とその課題

歴史的到達点は、今後の日本の遅れを運命づけるわけではない。社会の発展は、様々なきっかけのもと、様々な要因が前向きにはたらく

☆注目される「女性の活躍」と「経済の発展」の関係
・クローズアップ現代2010年1月「『ウーマンノミクス』が世界を変える」(73分)
・「妊娠中や授乳中もビールが飲みたい」という女性の潜在的ニーズに応え、女性の商品開発担当者のもとノンアルコールビール市場を300億円以上開拓した例/経営者「女性は活用するものではない。女性に活躍してもらわなければならない」の声
・自動車会社。新車のオーナーの4割が女性、30才未満男女の可処分所得は女性が高い、男性も自分の好みだけで車を選ぶのは2割しかない → 女性スタッフを中心に女性に好まれる車づくりを推進

・女性の視線、ニーズによりそう製品の開発が、企業の経営成績を大きく作用し、その開発が女性の手によるものとなれば、女性の労働条件に対する企業の姿勢も変わらざるを得ない
→ 女性の能力の積極的開発。結婚・出産後もその能力が失われないような雇用関係が重要になる。
/「仕事重視」か「家庭重視」が年毎に労働時間を選択できる制度、残業を減らし金曜日は4時退社の企業、一旦退職した女性の正規雇用での復職やパートの女性の正規雇用との均等待遇をすすめる企業などなど

・同時に、世界ジェンダーギャップ指数では、日本の平等度は、134カ国中94位(2010年)/経営陣や政治参加の遅れ。
・「M字型雇用」の底上げは、未婚女性の増加と非正規雇用の拡大によるもので、社会が女性にとってはたらきやすい方向に変わった結果ではない。

→ 人件費削減による経営業績の改善を原動力としたままでは「女性の活用」は、はたらく女性全体の労働条件の改善には、自動的につながらない。/「有能な女性の抜擢」にとどまれば、多くの女性を業績主義による競争にますます深く巻き込むことになる危険がある。

◆女性の活躍と社会全体の利益をつなげる。

・「ウーマンノミクス」を、ジェンダー平等にむすびつけるには、すべての女性の労働条件の改善をすすろることが必要。/それを企業等に受け入れさせる世論の力が必要
~ これまで「男の領域」とされた経済の分野で、女性の働く環境が取り上げられたこと自体は重視すべき

・女性の労働率が高い国ほどGDPが伸び、子どもの出生率が高い
→ 理由/ 女性の能力が無駄なく生かされる /女性が賃金を得ることで内需が拡大 /女性が働くことで仕事と家庭の両立を支えるサービス産業が発達し、また社会保障が拡充する / 経済が拡大すれば、雇用が増えるので、男性の仕事を奪うことにはならない

☆ジェンダー平等をすすめるために
・女性の権利を語ることは欠かせない。
・が、同時に、社会を大きく動かす合意をつくる上で、女性の地位の改善が社会全体の利益につながる
という議論は重要。

・女性がいきいきはたらくことができる社会 → 企業や経済を活性化させ、男性の雇用や労働条件を改善し → 税収増をつうじて、お年寄りや子どもたちの福祉にも新たなメリットを生み出す
・こういう議論の組み立てが「経済と女性」の関係をめぐる話題として社会に注目されやすくなっている。/ジェンダー平等にもとづく「新しい日本」のイメージを広げることが、社会を変える力となる。

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