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高校授業料無償化の維持発展を

 野田新首相は、三党合意を尊重すると明言したが、その中には、長年の運動の結果、やっと実現した「高校授業料無償化」の見直しが含まれている。
 授業料は、教材費など含む実際の費用の半分以下であり、制度の維持・充実こそ必要である。
 
【高校授業料無償化の存続と充実に関する緊急要望書 なくそう!子どもの貧困ネット 8/8】
【高校授業料無償化の見直し検討に強く抗議し、3 党合意の「確認書」の撤回を求めます(談話) 日高教8/10】
【高校授業料無償の維持及び発展を求める会長声明  日弁連9/2】

 「子どもの貧困」大国を築き上げてきた自民党、公明党。教育無償化の国際的流れも無視し、一方で、先進国で飛びぬけて低率の「証券優遇税制」や世界一の「政党助成金」、世界はすでに撤退した「核燃料サイクル」への固執とか・・・ これらは「バラマキ」と考えてないようだ。
 その自公とまったく変わりがなくなった民主党・・・ 

【高校授業料無償化の存続と充実に関する緊急要望書 8/8】

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
共同代表:湯澤直美・平湯真人・三輪ほう子

 本日(2011年8月8日)、特例公債法案成立の前提として、高校授業料無償化など3つの制度の見直し・撤回について協議がなされると報道されております。
 私どもは、日本における子ども・若者が置かれている厳しい生活状況を憂慮し、子ども・若者が将来への希望をはぐくみ、夢を諦めずに笑顔で生きていくことができるよう、活動を続けております。以下のような現状を鑑み、高校授業料無償化(現:公立高校授業料不徴収・高等学校等就学支援金)の存続と学校教育費を含む教育費の実質無償化に向けた更なる充実について緊急に要望いたします。

(1)高校授業料無償化は、「ばらまき」政策ではありません。
⇒すべての子どもに、教育の機会均等による教育を受ける権利を保障することは、子どもの権利保障の根幹です。日本の教育への公的支出の低さは、国際的にみても顕著です。国際的水準をふまえれば、この制度への所得制限の導入等は論外であり、公立・私立ともに更なる充実・拡充が必要です。

(2)制度導入の成果がみられるとともに、依然として厳しい状況にある生徒が多くいます。
⇒本制度導入後、高校を経済的理由で中退する生徒数が減少しています。2011年8月4日に公表された文部科学省「生徒児童の問題行等動調査」結果において、前回調査より1.0ポイント減少。

⇒しかしなお、経済的理由により高校を中退した生徒は1,700人、経済的理由により長期に欠席している生徒は2,22人、把握されています(2010年度)。
 貧困の再生産のリスクを放置することは、日本社会にも甚大な影響をもたらします。

※ただし、この調査では「おもな理由」をひとつだけ選択する方式であるため、実際の経済的理由による中退数はより多いと推察される。
※東日本大震災により調査が困難な岩手県、宮城県、福島県は含んでいない数値である。

(3)東日本大震災および原発事故により、進学を諦めざるをえない状況に置かれている子ども・若者がいます。
⇒被災地の子どもたち、避難を余儀なくされている子どもたちにとって、高校授業料無償化は命綱でもあります。

【要望事項】

 『高校授業料無償化を存続させるとともに更なる充実を図り、すべての子どもが「教育を受ける権利」を保障してください。』

【高校授業料無償化の見直し検討に強く抗議し、3 党合意の「確認書」の撤回を求めます(談話) 日高教8/10】

日本高等学校教職員組合 書記長藤田新一

(1)民主党、自民党、公明党の3 党幹事長は、8 月9 日、国会内で会談し、民主党が2009年総選挙マニフェスト (政権公約)で掲げた子ども手当、高速道路の無料化、高校授業料無償化、農業個別所得補制度について「見直し」などを約束する確認書を取り交わしました。
 日高教は、この「3 党合意」に盛り込まれた高校授業料無償化の見直し検討に強く抗議し、ただちに撤回することを求めます。

(2)「あなたの学びを社会全体で支えます」とのかけ声で、2010 年4 月から公立高校授業料の不徴収、私学高校生への就学支援金がはじまりました。これは、教育の無償化という世界の流れにそった重要な一歩であり、「受益者負担主義」を基本としてきた日本の教育政策を転換させる可能性をひろげるものです。
 「確認書」で明記された高校授業料の無償化の見直し検討は、教育費の保護者負担の軽減、教育の無償化にむけて動き始めた歴史の歯車を逆転させるものです。

(3)「確認書」は、政府提出の特例公債法案の今国会成立と引き換えにしたものです。確認書では、高校授業料無償化について、2012 年度以降のありかたについて「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する」としています。
高校授業料の無償化の見直しは、2009 年度総選挙での民意を踏みにじるだけでなく、政治の信用が根本から問われる問題です。こうした重大問題を3 党協議と称して密室で行うという点でも大問題です。3 党合意の「確認書」が、首相の退陣問題とからめた政局の取引材料として子ども手当の減額にとどまらず、高校授業料の無償化まで見直しの対象としているのは断じて容認することはできません。
 民主党政権が自民党、公明党のいうがままに国民と約束した公約を投げ捨て、国民を裏切り、国民いじめの悪政を共同で推進する姿を露呈したものです。

(4)日高教は、動き始めた教育費の保護者負担の軽減、教育の無償化の流れをさらに前にすすめるために、父母・国民と連帯して国民的世論をひろげ、公立高校の授業料の不徴収、私学の就学支援金の見直しを許さず全力で奮闘するものです。

以上

【高校授業料無償の維持及び発展を求める会長声明  日弁連9/2】

 民主党と自民党・公明党は、2011年(平成23年)8月9日の協議で、震災復興のための特例公債法案を成立させるための条件の一つとして、自民党の主張していた高校授業料無償化法の廃止につき、「高校無償化…の平成24年度以降の制度の在り方については、政策効果の検証を基に、必要な見直しを検討する」旨合意した。

 厚生労働省が2011年(平成23年)7月12日に公表した「平成22年国民生活基礎調査」によれば、2009年(平成21年)の子どもの貧困率は15.7%と過去最悪を記録したとのことである。日本社会における貧困化、困窮化が進む中で、子どもの生存と成長が様々な形で阻害され、子どもと親を苦しめている。子ども期の貧困が子どもの社会的自立を妨げ、貧困の世代連鎖を生み貧困を再生産させることは、既に明らかであり、それを防止するための早期の施策が重要であることも明らかである。そして、教育にかける費用の少なさで日本は先進国の最低レベルにある。

 これに対する国としての当然の責任を果たすべく、高校授業料無償化法が「家庭の状況にかかわらず全ての意志ある高校生らが安心して勉学に打ち込める社会を作ること」を目的として制定されたものである。

 教育の重要性はいうまでもないが、特に高校教育は、社会での自立を前にして、学力のみにとどまらず、人格の発展、他者との関わり合いを学ぶ重要な場であり、また実際にも高校進学率が9割を超え、高校卒業資格なしに就業することの困難さを考えれば、高校授業料の無償化は、社会が子どもに果たすべき責任のうちでも極めて重要なものというべきである。

 この無償化法は、かねてから必要性が指摘されてきたが、社会の不況が進んだ2009年度(平成21年度)の卒業予定者の中で授業料滞納のために卒業も危ぶまれるものが続出する状況下で、2010年(平成22年)3月に法制化され、その結果として2010年度(平成22年度)の卒業生や2011年度(平成23年度)の3年生(定時制4年生)の授業料滞納ゆえの高校中退を防ぐことができた。首都圏の定時制高校に通う生徒らが結成した「お金がないと学校にいけないの?」首都圏高校生集会実行委員会が、授業料無償化後に高校生を対象に実施したアンケート調査(2011年(平成23年)7月23日公表)でも、回答数901のうち授業料が不徴収になって「助かった」と回答した生徒が定時制で67.1%、全日制で52.0%に及び、私立高校でも22.5%であったという。同時に上記アンケートは、授業料以外の経済的負担がなお大きく、かえってそれが増加した学校もあり、経済的な理由で不安を抱きながら高校に通っている子どもが4人中3人もいると指摘している。したがって、子どもたちが高校での勉学に意欲を燃やせる環境を作るためには、授業料無償を維持し、かつ授業料以外の経済的負担を軽減することこそが緊急の課題となっている。

頭書の合意は、無償化見直しの条件として、政策効果の検証を挙げているが、いかなる基準で効果を考えるかが問題である。子どもの成長と発達は金銭的効果で容易に計れるものではない。政策効果の検証をするのであれば、専門家による多角的総合的な検証を少なくとも10年単位で行うべきであり、2012年度(平成24年度)以降短期の見直しをするとすれば早計にすぎる。

よって、当連合会は、政府に対し、高校授業料無償化の維持及び授業料以外の経済的負担の軽減を強く求めるものである。


2011年(平成23年)9月2日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

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