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構造改革路線、97年増税不況 ~二度の大失政の復活

「わかちあい」を看板にした復興増税で、大企業には減税、大資産家優遇の証券優遇税制を継続しながら、庶民増税、そして2010年代半ばに消費税を10%に・・・ 構造改革路線は、貧困と格差の拡大、勤労者の給与所得減による内需の縮小・GDPの停滞をもたらした。一部大企業の繁栄もアメリカの「過剰消費」よる虚構だった。97年の消費税増税、医療費負担増は、不況と税収減をもたらした。当時首相だった橋本氏は「国民に深くおわびしたい」と失政を謝罪した・・・ この大失政の道を野田新内閣が進もうとしている。
【不況に庶民巨大増税強行どじょう首相の前後不覚 植草一秀】 
勤労者の賃上げで経済復興したブラジルの例を「すくらむ」氏が紹介している。
【最低賃金の倍増など反貧困で大きく経済成長するブラジルを日本は見習うべき】

【不況に庶民巨大増税強行どじょう首相の前後不覚 】

震災復興事業の中核は、大震災、原発放射能放出事故で生じたインフラ資産の復旧、復興である。新たに実行される政府支出は、政府消費ではなく政府投資が中心になる。
  政府投資によって作られるインフラ資産は、今後、長期にわたって効用を発揮する。建設国債の原則とは、政府投資によって形成されるインフラ資産の効用発揮期間を平均60年との前提を置き、その資金返済を60年で実施するというものである。
  建設国債は財政法4条で認められている正規の資金調達方法である。政府投資は政府消費とは異なり、支出に伴う効用の発揮期間が現在だけでなく将来にもわたるものである。したがって、その費用負担を現在の一時点に集中させず、効用を発揮する長期間にわたって分散させる建設国債は、経済的合理性を持つ資金調達の方法である。
 
 2008年以降のサブプライム危機に伴う日本経済の急激な悪化は、いまも尾を引いている。そこに本年3月11日に大震災が発生した。大震災に伴い、インフラは破壊され、生活は破壊され、サプライチェーンも破壊された。
  被災地では、半年の時間がたって、ようやくがれきが撤去されつつあるが、荒れ果てた大地はそのままに放置されている。被災者の多くが仕事を失い、日々の生活も大いなる不安に包まれたままである。
 
 日本経済の実質経済成長率は、昨年の10-12月期以来、
-2.4%(2010年10-12月)
-3.7%(2011年1-3月)
-2.1%(2011年4-6月)
(いずれも季節調整済み前期比年率換算比)
と、3四半期連続の大幅マイナス成長を記録している。
 
 米国の景気後退の定義は、2四半期連続のマイナス成長である。日本の現状は3四半期連続のマイナス成長である。つまり、日本経済はいま、極めて深刻な不況の只中にあるのだ。昨年10-12月期からマイナス成長が続いていることが端的に示すように、不況は震災によって新たに生じたものではない。震災以前に日本経済は不況に突入していたのだ。
日本経済が大不況のなかにあり、そこに大震災・原発放射能放出事故が重なり、日本経済は存亡の危機に瀕している。これは、日本の国民が深刻な不況のなかで苦しみにあえいでいることを示している。
 この状況下で、一般庶民に標的を定めて11.2兆円もの巨大増税を実行するなどは、血の通った人間の行うことではない。そもそも、震災復興事業はその支出の性格に鑑みて、建設国債発行で実行するべきものである。
 
 建設国債で政府債務残高が増大することを回避したいのであれば、政府資産を売却すればよい。震災復興政策は、基本的に一回限りの支出である。継続的に今後支出が続くものではない。したがって、政府資産売却による財源調達に合理性がある。
 
 国内経済への中立性を重んじるのであれば、政府の対外資産を取り崩して支出に充てるのが、経済学的にはもっとも適正な資金調達方法になる。この点は、大蔵官僚出身の経済学者である野口悠紀雄氏も強く主張していることだ。

下記チャートを参照いただきたい。1975年度以降の主要税目の税収推移チャートである。1990年度頃のピークから主要税目の税収がどのような推移を辿っているのかが一目瞭然だ。
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 所得税はピークの91年度26.7兆円が2010年度当初ベースの12.6兆円に減少した。半減である。
 これに対して法人税はピークの89年度19.0兆円が2009年度5.2兆円に減少した。約4分の1に激減している。
 他方、消費税は1988年度の2.2兆円が2000年度の当初ベースの9.6兆円へと激増した。4倍以上の増加を示した。

 この現状のなかで、野田佳彦政権は、法人税を減税し、所得税・住民税を増税し、さらに、2010年代半ばに消費税率を5%引き上げる方針を示しているのだ。
 所得税・住民税の増税規模は11.2兆円を超える。法人税は政府発表の「増税」ではなく、真実は「減税」であるから、増税の総額よりも、所得税・住民税の増税規模は大きいのである。

 この政策のどこが震災復興の費用負担を広く国民で分かち合うことになるのか。法人税減税の恩恵を受けるのは、大企業の一部だけである。大企業の減税を広く国民全体に負担させる政策のどこに、「広く国民で負担を分かち合う」という現実があるのか。

そもそも、現在の経済情勢の下で、この巨大増税政策を強行実施すれば何が起こるのかは明白である。増税規模は、今回の復興増税だけで、一般庶民直撃で11兆円を突破する。他方、野田政権が強行決定しようとしている消費税大増税は、1年間だけで増税規模は10兆円を超える。5年間で50兆円を超えるのだ。つまり、今後の10年間で、一般庶民だけを直撃する60兆円巨大増税が計画されているのだ。
 
 メディア各社(マスゴミ)は、今回の政府方針決定について、野田首相の指揮で消費税増税は排除されたとの説明をしているが、野田氏が2010年代半ばに消費税率を10%に引き上げる方針を撤回したのなら、これを説明に加えるべきだろう。
 
 しかし、野田佳彦氏は消費税大増税方針を撤回していないではないか。
 
 1996年に橋本政権が巨大増税を提案したとき、この政策方針が日本経済の崩壊と金融危機を招くことを、もっとも強く警告したのは私である。現実にその後、日本経済は崩壊し、金融危機が表面化した。
 2000年の日銀によるゼロ金利政策解除、2001年の小泉政権の超緊縮財政政策を、もっとも強く警告したのも私である。経済崩壊と金融危機を招くと警告した。実際、その後、経済崩壊と金融危機が現実のものになった。
 今回、野田政権が超大増税を強行実施してゆけば、三度目の崩壊になることは確実である。今回は、超緊縮財政による経済縮小に世界が足並みを揃えているから、その影響は、さらに深刻なものになる可能性が高い。
 震災復興事業に限って、日銀資金で事業を実施すべきだ。日本の外貨準備を50兆円減額し、この資金を震災復興に充当するのが、もっとも適正な措置である。
 
 財務省路線にそのまま乗る野田佳彦氏は、経済政策についての勉強が圧倒的に不足している。歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返すのだ。過去二度の大失敗が、わずか15年の時間内にあるのに、まったく同じ過ちを繰り返すなら、野田佳彦氏は前後不覚に陥っているのか、さもなければ「大うつけもの」と言わざるを得ない。


【最低賃金の倍増など反貧困で大きく経済成長するブラジルを日本は見習うべき 9/15】

 昨日、9月下旬に予定される人事院勧告にむけて公務員賃金改善を求める人事院前要求行動(全労連全公務部会・公務労組連絡会の主催)を実施しました。

 民間労組を代表して人事院前にかけつけた建交労の藤好重泰委員長は、「この国の根本問題は、労働者の賃金水準が低すぎることにあるのに、賃金は改善されず貧困がひろがっている。とりわけ震災復興に向けて最低賃金の大幅引き上げと、公務・民間すべての労働者の賃金水準引き上げが必要になっているときに、民間賃金に大きな影響を与える公務員賃金を引き下げることは許されない。すべての労働者の賃金水準を引き上げれば内需が拡大し景気は回復する。このことが事実であることは、昨日の『朝日新聞』(2011年9月13日付夕刊)でも、最低賃金を大幅に引き上げたブラジルが貧困層を減らし内需主導の景気回復をはかっている事実を紹介していることなどからも明らかだ」と述べました。

 藤好委員長が紹介した『朝日新聞』(2011年9月13日付夕刊)の記事は、「『未来の国』はいま/躍動するブラジル/街中にあふれる好景気」というタイトルの記事で、ネット上では読めないようなので少しだけ本文を紹介すると、「2010年のブラジルの自動車販売は351万台とドイツを抜いて世界4位。16年には日本も上回り中国、米国に次ぐ市場となる見通しだ。高額品だけではない。電気製品や家具などのチェーン『カザス・バイア』は、平日もにぎわう。」、「03年に就任したルラ大統領(当時)は貧困層に現金を配り、最低賃金を引き上げて貧富の格差の問題に挑んだ。3割を占めた貧困層が10%台に減り、中間層が人口の半分に。約2億人の国民が買い物を始めた。小売店は2ケタ成長。内需主導の成長路線を固めた。リーマンショック後の09年はマイナス成長だったが、10年は7.5%の高成長を記録。フェルナンド・ピメンテル開発・工業・貿易相は『個人消費の急伸のおかげで、外国に頼らず成長できる。世界経済の変調から守られている』と言う。」と書かれています。

 若干調べてみると、ブラジルでは、1995年から2003年までカルドゾ政権下で新自由主義政策が推し進められ、貧困層は28%まで拡大し失業率は10%近くにのぼっていたとのこと。その後、2003年から2010年まで続いたルラ政権下では新自由主義政策を転換し、毎年、インフレ率を上回る規模で法定の全国一律最低賃金を引き上げました。2010年の全国一律最低賃金は、03年の政権発足時の2.2倍と大幅に引き上げられ、貧困世帯向け手当「ボルサ・ファミリア」の拡充などをはかりました。

 長い間、ブラジルの歴代政権は対外借り入れに依存し、一時は2,400億ドルを超える対外債務をかかえ、1989年には利払いの停止にまで追い込まれました。1990年に打ち出された国営企業の民営化や公的支出の削減などを柱とする「財政安定化計画」でさらに経済は悪化し、1998年の通貨危機ではIMF(国際通貨基金)などから415億ドルの融資まで受けました。

 ところが、ルラ政権は、発足時に1,600億ドル以上あったIMF債務をはじめとする対外債務の返済に取り組み、IMFに1,800億ドル以上を支払い、2007年に完済し、2008年には、同国史上初めて債務国から債権国に転換することができたのです。

 ルラ政権の最大の功績は、貧困層の購買力を格段に高め国内消費を増やした点にあります。新自由主義政策とはまったく反対の最低賃金大幅引き上げと貧困層の底上げこそが経済成長をはかれるということを証明したのです。

 こうしたルラ政権による反貧困政策を継承し「貧困の根絶」を最大の公約に掲げ2011年1月にルセフ政権が発足します。ブラジル初の女性大統領となったジルマ・ルセフ氏は、軍政時代に投獄され、拷問を受けても民主化の信念を曲げなかったことで知られるとともに、ルセフ政権37閣僚のうち9人の女性閣僚(前政権の3倍)を登用し、「女性大統領の選出が当たり前のこととして繰り返されるようにしたい。機会の平等こそが民主主義の基本原則だ。国民がよりよい暮らしと平等な機会をもてる国づくりをしよう」と語っています。

 そして、ルセフ大統領は「貧困の根絶をさらに進めて国民生活の質を引き上げる。先進国と対等に渡り合える国にする」と語り、貧困層への支援、福祉・医療・教育など公的サービスの拡大、新規雇用の創出などを中心とする「貧困の根絶に向けた新計画」を現在推し進めています。

 ブラジルは20の州政府がある連邦国家ですがきちんと全国一律最低賃金制を導入しています。全国に共通する最低賃金をさだめる全国一律最低賃金制は世界では当たり前になっているのです。多くの国は、地域間格差を是正する努力と一体に全国一律最低賃金制を導入してきました。日本のように地域別最低賃金を採用する国は9カ国しかありません。地域別最低賃金制を採用する中国やインドネシアは、日本の国土面積のそれぞれ25.4倍、5倍と国土が広い上に経済統合が進んでいないために地域格差が大きい国であり、地域別最低賃金を採用する一定の理由があるといえます。OECD加盟国の中で地域別最低賃金制を採用しているのは、日本とカナダとメキシコだけですが、カナダとメキシコは連邦国家で、州政府ごとに最低賃金を設定しているのでこれも一定の理由があるといえます。ところが日本だけは、国土面積も小さく、経済統合も進んでいるのに地域別最低賃金制を採用し、その上、日本の地域別最低賃金の数が47もあるというのも異常です。他の国の地域別最低賃金の数は、メキシコ3、パナマ3、カナダ12、フィリピン16、インドネシア30、中国39です。

 さらに、日本の最低賃金は、制度が異常なだけでなく、水準も先進国で最低になっています。OECDのGDP購買力平価の換算額で各国の2010年10月の最低賃金を比較すると、オランダ1,296円、フランス1,265円、イギリス1,099円、アメリカ831円に対し、日本は730円しかありません(※日本の最低賃金は地域別最低賃金額の全国過重平均)。

 一昨日出揃った2011年度地域別最低賃金額答申は、全国加重平均額737円(昨年度730円)、全国最低は岩手・高知・沖縄の645円です。これでは、まともに働いても最低限の生活さえ維持できません。最低賃金を7年間で2.2倍と大幅に引き上げて債務国から債権国に転換し飛躍的な経済成長を遂げたブラジルを日本も見習って、震災復興・景気回復に向け最低賃金を大幅に引き上げるべきです。

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