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「待ったなし」が生み出す 政策的「大失敗」

  民主党代表戦にかかわっての内田樹さんのコラム。
“状況は「まったなし」で切迫しているのであるから、「スピード感のある」対応が必至である”ということについて、“政策的な適否について時間をかけて論じている暇はない”という風潮を懸念し、社会の成立にとって緊急性に応じ優先すべきものは何か、という根本的な問いのなさが失敗の連続を生んでいるのではないか、という問いかけ。いつもながら根源的な話。以下は、私なりの整理。
【「まったなし」を待っていただけないでしょうか。】

【「まったなし」を待っていただけないでしょうか。】から

“状況は「まったなし」で切迫しているのであるから、「スピード感のある」対応が必至である”ということについて、“政策的な適否について時間をかけて論じている暇はない”という風潮を懸念する。

 なぜなら“日本の政治史をふりかえると、政策的な「大失敗」はつねに「拙速」の結果だから”

“欧米諸国では「政策は誤る可能性が高い」ことを前提にして、”“制度改革に際しては「どうしたら大失敗するか」についてのシミュレーションにまず時間を割く”が、日本の官僚、政治家はこの問いを嫌う。

 無謬性の強調は、失敗の被害を過小評価する故に“「実はこれまで犯してきた失敗のすべてに共通するパターンがあるのではないか?」というもっとも生産的な問いが封殺されてしまう。”
 それこそ“「大失敗への王道」”。

“浮き足だって、「とにかく既成のものはみんな壊せ」というような“政治運動は、”“日本近代史を徴する限り、…すべて「大失敗」に帰着した。”


“社会制度の中にはまるで機能不全のものもあるし、そこそこ機能しているものもあるし、ずいぶん順調に機能しているものもある。その「仕分け」が重要である。”が“その基準をほとんどの人は「採算」で量ろうとする。”
 “社会制度中には四半期とか単年度のアウトカムでは良否を判定できないものがある。”“社会的共通資本はそもそも共同体の存立に不可欠のものであるから、「採算が合わない」とか「政治的に正しくない」とかいう水準の議論にはなじまない。”
 
 “教育の場合、そのアウトカムは数値的には考量不可能である(教育の制度的目的は「知性的・感性的に成熟した公民を作り出すこと」だが、ある人物が公民的成熟を果たしたかどうかは、卒後数十年待たないと判定できない)”

 “有限な可処分資源をどのようにその緊急性に応じて配分するか”が“ほんらいは統治者の仕事”であり、その“「緊急性」というのは、「スピード感」というレベルの話”ではなく“「人類学的な優先順位」のこと”“ 私たちが生き延びてゆくために最優先すべきものは何かという問いのこと”。

 “その問いを深くつきつめ、国民的合意を練り上げることを怠って、「とりあえず金が要るんだよ」という耳障りで雑駁な主張に流されてきたせいで、私たちはいま「こんな目」に遭っているのではないのか。”

 民主党の代表選候補者は“「自分の演説が英訳されて、海外のメディアに報道された場合に、21世紀の日本の国家ヴィジョンが海外の人々にも理解できること」を配慮して語っていた人は一人もいなかった。彼らがしたのは「人情」の話と、「金」の話と、「まったなし」の話だけだった。”

  世界から日本は“どんなふうに見えているのか、という想像力が働いていないということは、わが国民国家についての長期的・巨視的なヴィジョンが端的に「ない」ということである。”


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