成果主義が進むほど健康悪化 富士通総研
富士通総研の上級研究員 齊藤 有希子「研究レポート」。
要旨の結び部分は、「企業業績の悪い企業ほど、企業内格差が大きく、成果主義導入が進んでいると考えられる。さらに、社員の健康との間には、強い関係が存在し、企業内の年齢内格差が大きい企業ほど、社員の健康状態が悪いことが確認され、成果主義導入による弊害が生じていると考えられる」
【成果主義の社員の健康 2011/6】
【5.まとめと考察、より】
研究は、「2003 年度から2007 年度における職場環境の変化を確認し、社員の健康とどのような関係があるのかを分析した。」もので「分析の結果」
・女性比率は上昇し、女性の平均年齢は大きく上昇した。男性の平均給与を基準とした女性の平均給与の値も増えた。女性の社会進出、勤続年数の長期化が起きていると考えられる。
・給与に対する賞与比率が増え、景気拡大期であることが伺える。さらに、企業内における年齢内格差は拡大、年齢間格差は縮小し、成果主義の導入の動きが伺える。
・社員の健康状態を表わす指標として、長期休業率は増えており、「うつ病などの精神疾患による長期休業者の増加」と整合的な結果である。
・業績の悪い企業ほど、年齢内格差拡大、年齢間格差縮小し、成果主義導入の動きが観測される。
このような企業において、社員の健康状態が悪いことが確認された。成果主義の賃金体系導入により社員の健康を害する、という弊害が生じていることが示唆される。
として、
団塊世代の定年退職、少子化のもと人材育成は「より長期的に取り組むべき課題となる。」「成果主義導入の動きは、インセンティブ・メカニズムにより社員の士気を高め、短期的に業績を向上させる特効薬として期待されてきたことに起因する。」「しかし、成果主義導入による弊害は数多く指摘されており、本研究で確認された社員の健康への影響は直視すべき課題である。」
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