原子力「利権」・保安院
やらせメールに続き、中電と四電が、プルサーマル計画に関し住民説明会で「やらせ質問」。驚くべきことではない、以前から政権、マスコミ、財界が共謀した世論誘導は、日常化している。
小泉政権の教育改革のフォーラムの事例、「郵政改革」「政権交代」のワンフレーズの喧伝。少し前には「政治改革」と称した小選挙区制と政党助成金の導入。古くは、侵略戦争突入・・
要は、その世論誘導の仕組みそのものへの根本的な批判に行き着かなくてはならない、と思う。
原子力安全・保安院の名称は、原子力「利権」の保安院がふさわしい。以下は、毎日の社説。
【社説:保安院もやらせ 信頼の底が抜けた】
国際勧告を無視し、原発規制の機関の独立を無視した自公政権、そして民主政権。女性差別撤廃、子どもの権利でも、厳しい勧告を無視しつづけ、ILO条約の批准で先進国最低という政府の態度・・・ 利権のために、世界の到達点を無視する点で、同根と思う。
【社説:保安院もやらせ 信頼の底が抜けた】これでは、泥棒を捕まえてみればお巡りさんだった、ということではないか。
中部電力と四国電力が、プルサーマル計画に関し、国が過去に主催したシンポジウムをめぐり、経済産業省原子力安全・保安院から、参加者の動員や「やらせ質問」を依頼されていたことを発表した。質問が反対派に偏るのを避けるため、計画に肯定的な質問をしてもらうのが目的だったという。
原発の構造や設備などを審査し、安全を確保する役目の保安院が、プルサーマル計画推進のために、世論を誘導しようとしたのであれば、極めて罪深い。国民の信頼を取り戻すには、事実関係を徹底的に調査し、保安院のあり方を早急に見直すしかない。
発端は九州電力が、関連会社に対し、玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を支持する電子メールを投稿するよう依頼した「やらせメール」問題だった。事態を重く見た経産省が、同様の問題がなかったかどうか、電力各社に調査を指示したところ、今回の「やらせ依頼」が判明した。民意を軽視するのが、「原子力ムラ」の体質なのだろうか。国民の不信感は深まるばかりだ。
安全性への疑問が付いて回る原発には、賛否両論がある。プルトニウムを混ぜた燃料を通常の原子炉で燃やすプルサーマル計画も激しい論争を呼んだ。だからこそ、立地自治体の住民の声を真摯(しんし)に聞き、民主的な意思決定を目指したのではなかったか。保安院の「やらせ依頼」は、そうしたプロセスに期待してきた国民の信頼を踏みにじるものだ。
もともと、原発推進にアクセルを踏む資源エネルギー庁と、安全確保のためにブレーキを踏む役目の保安院が、経産省内で併存していることに無理があった。実際、政策の意思決定に関わる幹部職員は、数年のサイクルで本省、エネ庁、保安院間を異動する。これでは、保安院が厳格な独立性を保つのは難しいはずだ。
東京電力福島第1原発の事故で、電力会社、政府双方に対する国民の視線は厳しさを増すばかりだ。点検を終えた原発も再稼働できない事態が続いている。今回の問題で、再稼働へのハードルはさらに高まったといえるだろう。
九電のやらせメール問題を厳しく批判し、社長の辞任を求めていた海江田万里経産相は、足元から噴出した問題を深刻に受け止めなければなるまい。第三者委員会を作って、事実関係を徹底的に調査する意向を表明したが、当然だ。福島の事故前から私たちが主張してきた保安院の分離独立も含め、再発防止、信頼回復への取り組みを急ぐべきだ。
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