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伊方3号機停止でも大丈夫。新成長戦略会議

 新成長戦略実現会議で、全原発を停止した場合、「火力発電で代替すると液化天然ガス(LNG)や石油などの燃料費の負担増が年間3兆円以上」との試算を示した、という報道があったので、会議への提出資料を見てみた。単に「3兆円増える」と書いてあるだけで、積算根拠の詳細はなかった。委員の方は不思議に思わないのでしょうか? 資料を見ていて、伊方3号機が止まったままでもこの夏を乗り切れることがあった。 
【エネルギー政策見直しの基本的視点 平成23年6月7日 経済産業大臣 海江田万里】【すべての原発停止なら…年間3兆円以上の負担増 読売6/7】

 
費用では、おそらく原発は1キロワット時の費用が、5.3円という架空の数字との比較ではないかと思う。
 先日紹介した有価証券報告書などから計算した立命館大学の大島教授の推計では火力・水力より割高になっている。
【原発は高価な電源 大島推計 2011/6】 
 また吉井英勝氏の著書の中で、100万キロワットの原発を稼動させる年間費用を200-300億円との資料を出している。稼動すれば年1兆~1兆数千億円のコストとなる。増加する使用済み核燃料の問題や事後のことは別にしてである。

 どんな比較検討したのかがわからない。脅かしに近いのでは、という印象。

 資料を見ていて興味深かった点。
①3兆円とかはウソで、実は、ほとんど費用がかからず、脱原発が可能ではないか、という疑問がわいたこと。

②四国電力は、プルサーマルの伊方三号機をとめたままでも、今夏の電力需要をまかなえると、報告されている。
 古い1.2号機(113万キロワット)をとめて、3号機(89万キロワット)を通常のウラン燃料に変えて運転することが、可能であることをしめしている。
 → 四国電力の発電能力666万kW、過去最高593万kWの差は、約70万kW。しかし、今年の需要予測で、3号機をとめても逼迫しない(666-89=577、最低の予備率3%は17万kW。)。

③政府の今回の追加安全対策は「津波」だけで、地震にはふれてないこと(これは以前から指摘されてきたが)。
 しかし、発表毎に事故の深刻さを小出しにしてきたあの保安院が各原発の津波対策を早々と「妥当」としたこと。

【保安院の独立、政府が報告書に明記 福島1~3号機「溶融貫通」 中日6/8】
 いまごろ「メルトスルー」・・・あれだけ注水しているのに一杯にならないのは圧力容器も格納容器も穴が開いてじゃじゃ漏れ状態だということは、普通に考えればすぐにわかる話。

【エネルギー政策見直しの基本的視点 平成23年6月7日 経済産業大臣 海江田万里】

(参考2)今夏の電力需給状況

(東北・東京・中部電力)
○東北・東京電力管内においては、震災による供給力減に対応し、緊急的な供給力追加の一方、▲15%の目標に基づき需要抑制に取り組み。
○中部電力管内においては、浜岡原子力発電所の停止により、362万kWの供給力減。緊急的な供給力追加の一
方、一般的な節電に取り組み。

・予備率 東北電力▲ 7.4  東京電力▲ 10.3  中部電力2.4

(西日本5社(関西・北陸・中部・四国・九州電力))
○西日本5社については、仮に、定検等で停止している原子力が再起動できない場合、880万kWの供給力減(夏
期の予定供給力の11%)。この結果、_予定していた東京電力及び中部電力への融通が困難に。
_特に、緊急的な追加供給の余地が少ない関西電力(予備率▲6.4%)、九州電力(予備率1.6%)の需給が逼迫。
 *通常8%以上、最低でも3%の予備力が必要とされる。

(参考3)原子力発電停止の影響

○仮に定検等で停止した原子力発電が再起動できないと、約1年で全ての原子力発電が停止(供給力で4,770万kWを喪失。国内の発電電力量の3割に相当)
○供給力喪失分を火力発電によってある程度代替可能ではあるが、追加的な燃料コストの発生、長期停止火力の復帰の場合の脱落リスクも懸念。
○仮に全てを火力発電で代替するとして試算すると、今年度は約1.4兆円の燃料コスト増(震災を受けた東北、東京電力の増加分を含むと計約2.4兆円)。それ以降1年間全て停止すると仮定すれば1年間で3兆円超増加。化石燃料輸入増による国富流出及び国民負担増につながる。

(参考5)今回の事故を踏まえた最近の対応

1.他の原子力発電所に対する緊急安全対策
○「・・・今般の地震を踏まえて津波を明確にリスクとして認識し、全交流電源喪失等に至った場合でも、炉心損傷など深刻な事態を避けるために必要な対策を実施したもの。
○5月6日、原子力安全・保安院は、その実施状況が適切であることを確認。同程度の津波に対しても、既設の原子力発電所の稼働に当たって安全性が確保されることを確認。」

【すべての原発停止なら…年間3兆円以上の負担増 読売6/7】

 海江田経済産業相は7日の新成長戦略実現会議で、国内すべての原子力発電所が運転停止した場合、火力発電で代替すると液化天然ガス(LNG)や石油などの燃料費の負担増が年間3兆円以上になるとの試算を明らかにした。

 燃料費の増加分は電気料金に転嫁される仕組みのため、それだけ国民の負担増につながることになる。
 海江田経産相は7日の閣議後記者会見で「7月には電力の需要のピークを迎える。安全基準に適応した原発を再稼働して電力の供給に万全を期したい」と述べた。今回の試算もコスト面から原発の安定した運転の重要性を強調する狙いとみられる。

【保安院の独立、政府が報告書に明記 福島1~3号機「溶融貫通」 中日6/8】

 福島第1原発の事故で、政府は7日、国際原子力機関(IAEA)に提出する報告書をまとめた。原発の規制当局である経済産業省原子力安全・保安院を、推進する立場の経産省から独立させる方針を明記した。1~3号機では、燃料が損傷した圧力容器から流れ落ち、格納容器の底に堆積する「メルトスルー(溶融貫通)」が起きた可能性も公式文書で初めて認めた。
 報告書は約750ページで、前半で事故の経過や福島第1原発の現状を説明。後半では事故の教訓を踏まえ、今後必要な安全対策28項目を挙げた。20日からウィーンで開かれるIAEAの閣僚級会合に提出する。
 今回の事故では、保安院や原子力安全委員会、文部科学省など関係機関が分かれているために責任が不明確になり、「力を結集して俊敏に対応する上で問題があった」と認識。保安院を独立させた後、原発の規制や環境モニタリングの実施体制を総合的に見直す。
 事故原因では、「地震による大きな損壊は確認されていない」とした上で、その後の津波で電源喪失し原子炉冷却機能が停止した影響を強調。1~3号機の炉心の現状は「圧力容器の底部が損傷し、溶融した燃料の一部が格納容器に落下し堆積している可能性も考えられる」とした。
 放射線被ばくの状況では、作業員の内部被ばくの測定が遅れているため、内部を含めた被ばく線量が事故で緊急に設定された上限値250ミリシーベルトを超える作業員が、一定数出ると見込んだ。
 【メルトスルー(溶融貫通)】炉心が損傷し、燃料の形状が維持されず溶け落ちると、原子炉圧力容器の底にたまる(メルトダウン)。この溶け落ちた燃料の固まりが、圧力容器の底や、さらに外側の格納容器の底を溶かして突き破ってしまう最悪の状態。


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