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被災地そっちのけの「政争」 小選挙区制の欠陥

 小沢・鳩山グループの造反に期待をかけて、権力奪取第一に不信任案を提出した自民党と公明党、権力の座がら落ちるのと選挙を恐れて、結局はまとまった民主党・・・「震災の救援・復興に力をあわせないのか」という国民の声は当然だが、それを阻んでいる仕組みが小選挙区制である。
 相手に点数をかせがせない、異論があっても政党の公認がないと闘えないので黙りこむ、明日の多数派となる可能性のある少数政党を抹殺する(たとえば原発・エネルギー問題)
・・・国難を前に、小選挙区制が如何に、政治の機能不全を生み出している。

いくつかのコラムを紹介。
【政治の劣化は「小選挙区制の弊害」 中曽根康弘氏 2009/1 】
【政治家の質を劣化させた小選挙区制を廃止せよ 2010年5月4日 舛添 要一  現代ビジネス】
【《今日の一言》小選挙区制・二大政党制はもはや限界だ/選挙制度改革に着手しよう/小選挙区制は日本を滅ぼす害悪である/中選挙区が日本に適している 2010.7.18 森田実の言わねばならぬ】 

そして、その議席数で「政党助成金」という、議員歳費の何倍にもなるつかみ金がもらえるのだから・・・

地方政治においても、大阪府議会の「維新の会」の強行で一番問題意識があるのは、選挙区のほとんどを一人区、二人区にする小選挙区化にある。ちなみに、高知県も、郡部の選挙区は、多くは一人区、二人区であり、結果として、比較優位の政党の絶対多数が人為的につくられている。
 多様性を担保することは自然世界だけでなく、有機体としての社会にとっても極めて大事だと思う(ちょっと今、ドイツ古典哲学、ヘーゲルからマルクスにいたる論理学にはまっているので・・・)。


【政治の劣化は「小選挙区制の弊害」 中曽根康弘氏 2009/1 】

10日、読売の連載「大波乱に立ち向かう」の最終回の記事より

「日本の政治家はスケールが小さくなってしまった。自民党にしても民主党にしても、2世、3世議員が多い。…多様な人材が政界に入りにくくなっている。」「衆院に導入された小選挙区制の弊害が出ている。・・中選挙区では、もっと広範な人材と議論を生んだ。しかし、小選挙区制では、狭い選挙区の身近な問題ばかりに目が行き『激動の世界の中で日本がどうしていくか』『30年後、50年後の日本を考え政策は何か』の大きな議論がなくなってきた。その結果、日本の政治自体が狭小になってしまった」

【政治家の質を劣化させた小選挙区制を廃止せよ 2010年5月4日 舛添 要一  現代ビジネス】

 小選挙区制が日本の政治を悪くしている。それを証明したのが、昨年の政権交代、そして鳩山内閣の体たらく、小沢支配体制である。・・途中省略

 では、小選挙区制のどこが問題なのか。中選挙区制と比較しながら考えてみよう。
 第一に、政治家の質の劣化である。中選挙区制の下では、たとえば、自民党の三角大福中の五大派閥が競い合っていた。同一の党に属していても、候補者は切磋琢磨して、政策をみがいてきた。ところが、小選挙区制では、そのときの風で、どんなに無能な候補者でも当選するので、国会が衆愚の館と化すことになる。小泉チルドレン、小沢ガールズがよい例である。こうして、半数以上が使い物にならない国会議員からなる国会となってしまう。だから、議員定数を半減せよと主張しているのだ。

 第二に、政策中心ではなくなることである。私と政策や理念を共有する若い国会議員に、「なぜ民主党から立候補したのか」と問うと、「自民党から出たかったが、すでに自民党候補が決まっていたので、仕方なく民主党から出た」と答える。つまり、選挙区情勢の便宜的理由が先で、政策ではない。
自民党の中にも私と政策が相容れない議員はたくさんいる。民主党の中にも政策的同志は多々いる。したがって、政界再編成が不可欠なのだが、そのためにも、今の小選挙区制は廃止しなければならない。

 第三は、小選挙区制だと、候補者は、政党に「おんぶにだっこ」で、自らの手で選挙を戦う努力を怠ってしまう。だから、小泉チルドレンは、ブームが去ると惨敗するし、小沢ガールズも同じ轍を踏むであろう。中選挙区制の下では、政党ではなく、派閥間で競争したし、候補者は自らの個人後援会を基盤にして戦った。党の世話になっていないから、党と喧嘩別れするのも比較的容易であった。
今回、多くの国会議員に行動をともにするように勧誘したが、政策や理念が一致し、改革への意欲があっても、結局は党のしがらみが強く、離党にまで踏み切れないのだ。若い議員ほどその傾向が強い。新党改革に集ったメンバーは、むろん政策、そして日本を救おうという意欲では一致しているが、引退間際の議員は比較的、党に反旗を翻すことが容易だという事情もある。

 以下、略 

【《今日の一言》小選挙区制・二大政党制はもはや限界だ/選挙制度改革に着手しよう/小選挙区制は日本を滅ぼす害悪である/中選挙区が日本に適している 2010.7.18 森田実の言わねばならぬ】

「過ちては改むるに憚ること勿れ」(『易経』)
「日本の劣化」が叫ばれてから久しい。しかし「劣化」は止まらない。
 「政治家のスケールが小さくなった」「政治家が理想を失った。天下国家を論ずる政治家がほとんどいなくなった」「政党のトップリーダーは選挙のことしか考えなくなった。選挙至上主義がはびこっている」「政治家が国民ではなく選挙の人事権、財政権を握っている党の最高実力者の顔色ばかり見ている」「政党の党内民主主義がなくなり、党運営が独裁的になった」「政治家がマスコミ報道ばかりを気にし、マスコミに振り回されている」等々である。
 この原因は何か。いろいろあるが、最大の要因は小選挙区制にある。
 小選挙区制を導入してから、日本の政治は急激に劣化した。戦後の政党史を振り返ると、政党の党内民主主義が弱くなったのは小選挙区制への移行後である。小沢一郎氏のような独裁的指導者が生まれたのも小選挙区制ができてからである。
 それまではどんなにワンマンがいても批判者はいた。しかし、いまの民主党には批判者はいない。民主党は全体主義の政党になった。
 この最大の原因は小選挙区制と政党助成金制度にある。小選挙区制見直し作業を始めるべきである。
 最近、大連立政権の樹立の可能性が論じられている。民主・自民大連立の可能性はある。しかし、小選挙区制のもとでの大連立には独裁の危険がある。民主主義を守るためには、中選挙区制への移行が必要である。これから論じていきたい。

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