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伊方原発のリスクと脱却の現実的工程・考

 「脱原発」を考える上で、“原発はエネルギーの安定供給からもやむをえない”“四国の電力の4割は原発だから無理”と考えている人とどう合意をつくるかがカギとなる。
 そこで、伊方原発の問題点を整理し、四国のエネルギー状況を確認し、考えてみることにした。
ついでながら、下記は、「脱原発と自然エネルギーの未来を考える」とした学習会でのレジュメ。
「datugenpatu.doc」をダウンロード

 多くは、吉井英勝氏の著作や党愛媛県議団の県議会論戦などから学んだものである。

(1)3号機のプルサーマルの危険性、非効率性
①ウランを燃料とした加圧水型軽水炉で、放射能毒性が桁違いに高いプルトニウムを主な内容とするMOX燃料を使っている。
 事故がおこれば通常の原子炉事故をはるかに上回る影響がある。また、燃料の融点が低く、制御棒が効きにくく、緊急事態での「制御能力の後退」については、推進側の専門家も否定できないもの。

②世界に例のない「実験炉」的運転
 伊方ではMOX燃料を25%使用する計画で、ヨーロッパ等では、一部の実験、実証段階を別として、実際の営業運転では10%程度が普遍的。さらに、ウラン高燃焼度燃料とMOX燃料の併用は、九電玄海原発でもやってない。世界でも先例がほとんどない「実験炉」的な運転という危険性がある。

 (「先例がある」とされるベルギーとの比較)
MOX燃料に含まれるプルトニウムの割合を示す富化度 ベルギー3.8%、伊方原発4.1%
一緒に燃やす高燃焼度ウラン燃料の濃縮度 ベルギー4.45%、伊方原発4.8%
MOX燃料の装荷率 ベルギー最大20%(実際には10%台)、伊方原発25%

③危険な実験を四国の住民負担増で推進。
 プルサーマルの経済性は、国の説明でも通常の原子炉の1.44倍~1.77倍も発電費用が高くなっている。この費用は、総括原価方式により電力量に上乗せされている。

・愛媛新聞の独自取材 ウラン燃料1体の値段が1億円から2億円、プルサーマル燃料が8.9億円
・「1体当たりの発電電力量は、それぞれの燃料の燃焼度制限値まで使用すると仮定した場合には、MOX燃料は高燃焼度ウラン燃料の約8割」(愛媛県議会 09年9月28日答弁)
→ つまり値段が途方もなく高い燃料を使いながら、できる電気はかえって少ないという、経済的に愚かな発電を、四国四県の県民負担を進めている。

④核燃サイクルの破たんと燃料プールの危険、
 「高速増殖炉」が破たんし、原発5300発分のプルトニウムを保持することが「核武装」への国際的懸念をうむことから、無理やり「使用目的」をつくる必要ができた。それが、「プルサーマル」である。

◆危険な燃料プール
 福島原発事故で、使用ずみ核燃料が大量に原発内に貯蔵されていることが国民の前に明らかにされた。
 伊方原発でも、使用済み燃料と使用済みMOX燃料がたまり続けている。使用ずみ核燃料は、青森県六ヶ所村の再処理工場に送る計画であったが、再処理工場はまったくめどが立たず、六ヶ所村の中間貯蔵センターも早晩満杯となる。
 四国電力は、使用済み燃料の貯蔵プールを改造し、それまで15cm間隔で燃料集合体を並べていたのを5cm間隔で並べるようにし、貯蔵可能な容量を燃料集合体1,080体分から2,070体分に増やした。
それでも既に1324体貯蔵しており、あと7-8年年しかもたない。

 また、使用ずみ燃料を、プールに、間隔を狭めて詰め込むことは、大地震による燃料プールの損傷、燃料集合体の倒壊なとによって「再臨界」の危険が増すことでもある。それもプルトニウムをより多く含むMOX燃料の使用ずみ燃料が大量に含まれる。

(2)1号2号機の「高経年化対策」と地震対策について
①「設計寿命」を超えた1号機
1号機は運転開始以来34年、2号機は29年経過している。当初、「設計寿命30年」という利用計画を、「60年運転計画」にのばし、危険性が増大している。
 高圧高温での運転、中性子照射による部位の劣化は避けられない(加圧水型は、1次冷却水と2次冷却水との熱交換のために、細管が多数走っており、劣化の影響が大きい)。
伊方原発自身、年間数十件の多面的な部位での異常や事故の報告がなされている。

②貧弱な地震対策
 伊方原発は、ここ数十年に、必ず来る南海地震の特定観測区域にある。さらに、わが国最大の活断層・中央構造線が原発直前の海底を走っている。「耐震安全性」を確保する上で「経年劣化」「脆性劣化」に厳しく対処しなければならない時に、運転期間を延長することは、「安全性」の観点から大きな問題がある。

◆570ガルにこだわる四国電力
 四国電力が570ガルにこだわるのは、伊方原発の安全余裕が極めて小さいから。2000年12月15日、伊方2号機建設をめぐり、松山地方裁判所は、判決理由で「伊方原発の重要施設は設計地震動200ガルの3倍ないし4倍程度の安全余裕があるとしている」と述べている
 つまり3倍で600ガル、4倍で800ガルまでの地震には耐えるが、それ以上は保障がなく、570ガルでなければ、伊方原発は存在できない、ということである。

◆評価しなおす度に、「頑丈」になっていく不思議
 1号機の設置許可は1972年、2号機は77年。耐震指針ができたのが81年。1、2号機の建設時にはまだ指針がなく、設計地震動200ガルで建設している(耐震強度は、その1.5倍300ガル)。
 しかし、耐震化の補強工事もしていないのに(圧力容器、格納容器、蒸気発生装置など本体をつくりなおすしかなく、不可能だから)、見直しのたびに473ガル、570ガルまで大丈夫と「頑丈」になる不思議な事態が発生している。

◆1号機、2号機の原子炉格納器の耐圧設計の低さ
 福島原発では、「閉じ込める」対策として重要な役割をなっている格納容器が破損し、汚染水が大量に漏れ出した。
 原子力安全基盤機構のHPでは「原子炉格納容器は高温、高圧の1次冷却材を含む1次冷却系の設備をすべて内包しています。万一の事故時には、この高温、高圧の1次冷却材が格納容器内へ短時間に流出して水蒸気となり、格納容器内の圧力が上昇します。それでも格納容器は破損しないように設計されていますので、非常に大きな構造物(直径約40m、高さ約60~80m、耐圧約4気圧)となっています。」と説明している。

ところが、伊方2号機の「設計概要図 許可申請書」では、格納容器の耐圧設計は2.45気圧と、6割しかない。(ジャーナリス・三宅正久氏のレポートより、)
20110602

◆1号機、蒸気発生器の脆弱性
 蒸気発生器は、加圧水型に特有の装置で、たびたび破断事故をおこす細管の塊だが、1号機で、蒸気発生器を支持する支点は、中央と下方の2箇所にしかなく(後につくられた炉は、上中下の3個所)、横揺れに対し、上部のたわみが大きくなる地震に弱い構造となっている。さらに、構造物の強度は、発生値(実際の値か解析値)を179メガパスカルと設定、それに対する余裕である許容値は193メガパスカルで、数%しか余裕がない(和田宰・伊方等の原発の危険に反対する愛媛県連絡会代表理事の資料より)
 地震の規模を小さく想定せざるを得ない理由がここにあるように思う。

【最悪の事態を想定  安全対策の発想転換を】
・07年中越沖地震 柏崎刈羽原発 3500箇所超で機器が損傷  2000ガルを超える。今回の東日本大震災では、女川原発の建屋で2000ガルを超えた。
・高知大学の岡村真教授は、「1000ガルが最低ライン」と主張している。
・文部科学大臣を長とする地震調査研究推進本部は、前面海域と伊予セグメントの2つを合わせて80キロが動いただけでマグニチュード8を想定。四電のマグニチュード7.6は過小評価である。
・今回の東日本大震災の教訓は、「想定外を想定する」「最悪の事態に備える」ことである。

◆四国羅針盤 2011/5/28 「伊方原発は安全か」(私のメモより)
柿木・四国電力対策本部副部長は、番組内で以下の主旨を語っていた。 
「最悪の知見をとりいれるのか」 → 「そのあたりも含め、検討課題としていきたい」
「国をまたず率先して対策すべき」→「自ら動く段階ではない。福島の事態の検証が大事」
「自然エネルギーに転換を」 →「今後も原発は重要性をもつことはかからない」
・同番組内で、原子力安全委員会の池田安隆専門委員(伊方原発の耐震安全評価をするための施設健全性評価委員会ワーキンググループの一員)は、
「安全対策を抜本的に改めるべき」、「従来は100%でなければ無視していた」「最悪の事態に備える必要がある」という主旨を語った。

◆安全に責任をもてない・・・保安院、政府、電力会社の癒着構造にメスを
・2002年段階で約100人の保安検査官のうち、半数の52人が東芝や日立製作所など原発関連メーカーからの「天上がり」、09年4月現在、134名の保安検査官のうち、民間企業の出身者が65名。
・東電から「霞ヶ関」へ 
「企業に在籍のまま、公募もせず、前任者が東電に戻ると次の人が翌日から採用される構造が続いている」
・東電副社長ポストは経済産業省幹部、原発推進の財団法人「電源地域振興センター」の理事長、社団法人「海外電力調査会」の専務理事も同省ОBの「指定席」となっている。

(3)伊方原発と四国の電力需要~ 脱原発の可能性
①22年度 電力供給実績(四国電力ホームページより)
・原子力161.04億kW時 /年        
・水力   3.28億kW時 /年
・火力  179.13億kW時 /年 

②発電能力                 
原子力発電所  1ヵ所(202万2千kW) 
水力発電所   58ヵ所(114万1千kW)
火力発電所   4ヵ所(350万1千kW) 
太陽光発電所  1ヵ所(0.3千kW)
風力発電所   1ヵ所(0.3千kW)
合計    : 65ヵ所(666万5千kW

・1年24時間操業した場合   実績の比率
原発  176.95億kW時/年   91%
火力  306.6億kW時/年    58.4%
水力  (2874.6時間 25.2日間分・・・主にピーク時対応/原発とセットの揚水発電が半分とのこと )

③伊方発電所
1号機 56.6万kW  2号機 56.6万kW  3号機 89.0万kW 計  202.2万kW
1号機・年24時間操業  49.53億kW時/年
2号    〃        49.53
3号    〃        77.89      

④小活
・火力発電の発電能力と実績との差   127億kW時の余力
→ 1号機と3号機の合計の年間発電量に匹敵する

・一番の問題は、ピーク時に対応できるか。
  1時間 過去最高 593.1万kW時、(平成19年8月22日)
   (年によっては550~60万kW時)
 → 能力との差・余裕 73万kW時
Hatuden

・「脱原発」へ
★1号機の停止は可能(水力の状況によるが)。
 「ピークを下げる省エネの努力」 10%減で原発一基分
 自然エネルギーの爆発的普及
  の努力を並行して進める。

★3号機は、危険で高いプルサーマルをやめて、当面、普通のウラン燃料にもどす。
  など、脱核燃サイクルに大きく舵を切る。

★さらに、2号機、3号機の停止、廃炉を順次進める 

⑤高知県の可能性
・電気使用量 4790百万kW時/年(09年)  
・日照時間、降水量、森林面積 日本一
小水力の可能性 728万ヶ所、35万kW(環境省)
→ エネルギーの地産地消、供給基地の可能性

・ 導入補助や固定価格導入制度
→ そのために
・「環境価値」「防災価値」を市場ルールにのせる工夫/ 補助、援助の根拠を明確にする
 温暖化ガスの排出権取引、飯田市のグリーン電化証券(高知県も木質バイオマス部門で研究している)など、
・電力使用量削減の目標をもつことと、使用量の可視化(県、市町村、大規模な施設などHPで公開など)など意識化の取り組みなど

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活用いただければ幸いです。

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