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教職員の労働「部活動含め管理」と政府。司法も判断

 長時間過密労働による教職員の病休の増加。その改善を求めた質問趣意書とその回答。
◇部活動については「教職員の労働時間については、部活動の指導時間を含め、各学校において適切な方法により管理されるべき」と回答。
【教職員の労働時間管理に関する質問主意書 2011/6/13】
【衆議院議員高橋千鶴子君提出教職員の労働時間管理に関する質問に対する答弁書 6/21】 
 授業、陸上部の指導、学校祭の準備に取り組み、学校祭の体験講座指導に体育館で倒れた教員を「公務外の災害」とした災害補償基金審査会の判定を覆す判決が29日にあった。
人が学び育ちあう場での異常な状態の改善は急務である。
【2011-06-29 愛知・鳥居建仁さんの公務災害認定判決出る! 静岡全協】

【教職員の労働時間管理に関する質問主意書 2011/6/13】

提出者  高橋千鶴子

 文部科学省の調査によれば、二〇〇九年度の教職員の病気休職者数は八千六百二十七人、そのうち精神疾患による休職者数は五千四百五十八人となるなど、一貫して増加傾向が続いている。その原因の一つとして教職員の長時間過密労働が指摘されているところである。
 こうした現状を一刻も早く解決するため、教職員の労働時間の管理を始めとする労働環境の改善は急務であることから、この点での政府の取り組みの現状、対応状況を明らかにするため、以下質問する。

一 二〇一〇年二月二十五日の衆議院予算委員会第四分科会における質疑で、教職員に対する労働時間の管理の必要性を指摘した。その後文部科学省としてとった具体的な対策の内容について明らかにされたい。

二 文部科学省として掌握された学校現場の労働時間管理の具体的な事例について、学校の種類ごと、都道府県別、労働時間管理の具体的な方法について明らかにされたい。

三 同分科会における質疑で、学校現場での公務災害、過労死、自殺などの案件とこれらに起因する裁判がどの程度行われているのか、実態掌握の必要性を指摘したところ、川端文部科学大臣(当時)は、「検討してまいりたい」と答弁された。
 その後の検討状況と、実態の把握が行われているのであれば現在掌握されている実態について明らかにされたい。

四 一般の労働災害では、事業主の証明がなくても被災労働者は労働基準監督署に給付申請を行うことが可能とされているのに比べ、公務労災では所属長の証明と任命権者の意見書がなければ地方公務員災害補償基金支部に補償の請求ができない。一般の労働災害と同様にすべきと思うがどうか。

五 二〇一二年度完全実施の中学校学習指導要領では、部活動は学校教育の一環として位置付けられた。とすれば、教職員の労働時間管理は、部活動の時間も含めて行われるべきと考えるがどうか。また、そのように徹底すべきではないか。

六 二〇一〇年十二月十六日付の東日新聞「来年度 豊橋市 部活動見直し 大会の参加枠を拡大」にある事例のように、学校の部活動がそのまま地域のスポーツクラブに名前を変え、部活動の顧問の教職員が指導しているケースについて掌握しているか。教職員の業務として、労働時間管理の対象とすることは当然と考えるがどうか。


【衆議院議員高橋千鶴子君提出教職員の労働時間管理に関する質問に対する答弁書 6/21】

一について
 文部科学省においては、平成二十二年二月二十五日以降においても、会議等を通じ、各都道府県教育委員会等に対し、公立学校における教職員の労働時間の適正な管理について必要な指導をしてきたところである。

二について
 学校における教職員の労働時間の管理については、各学校の実情等に応じた適切な方法で行われるべきものであり、文部科学省においては、その具体的な方法を網羅的には把握していないが、教職員の労働時間の把握方法としては、例えば、校長や教頭等による現認、タイムカードの使用、教職員の自己申告等の方法がとられているものと承知している。

三について
 お尋ねの「学校現場での公務災害、過労死、自殺などの案件とこれらに起因する裁判がどの程度行われているのか」については網羅的には把握していないが、平成二十一年度における公立学校の教職員に係る公務上の災害及び通勤による災害(以下「公務災害」という。)で地方公務員災害補償基金により認定された件数は七千七百九十件であり、公立学校の教職員に係る公務災害に関する訴訟で係属中のものは、平成二十三年三月三十一日現在で二十一件である。文部科学省としては、今後とも、総務省と連携し、公立学校における公務災害の実態の把握に努めてまいりたい。

四について
 労働者災害補償保険制度においては、保険給付の請求に当たり、災害の発生状況等の内容について事業主の証明を受けた請求書の提出を求めているところであるが、事業主が証明を行わない等やむを得ない事情がある場合には、事業主の証明がなくても、請求書を受理する取扱いがなされている。
 地方公務員災害補償制度においても、公務災害の認定の請求に当たり、災害の発生状況等の内容について当該職員の所属部局の長の証明を受けた請求書の提出を求めているところであるが、所属部局の長が証明を行わない等やむを得ない事情がある場合には、所属部局の長の証明がなくても、請求書を受理する取扱いがなされている。
 なお、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第四十五条第二項の規定により、地方公務員災害補償基金が公務災害の認定を行うに当たっては、当該職員の任命権者の意見を聴かなければならないこととされているが、この任命権者からの意見聴取は、公務災害の認定請求時に必要とされるものではない。

五及び六について
 御指摘のようなケースは豊橋市のケース以外に承知していないが、教職員の労働時間については、部活動の指導時間を含め、各学校において適切な方法により管理されるべきと考えている。文部科学省としては、今後とも、必要に応じ、各都道府県教育委員会等に対し、学校における教職員の労働時間の適正な管理について指導してまいりたい。

【2011-06-29 愛知・鳥居建仁さんの公務災害認定判決出る! 静岡全協】

■ 鳥居労災裁判、大勝利です!
 「6月29日、鳥居労災裁判の判決がありました。
 判決は、提訴側の求めを更に超え、4月からも過労状態であったことを認めました。
 また、「もやもや病」などという「病気が原因」などとする根拠も退けました。
内容は、完全勝利です。

 しかし、基金側は、控訴するかもしれません。控訴期限の7月12日までに、いや、すぐにでも、添付の「控訴するな!」を、

地方公務員災害補償基金理事長 橋本 勇さん FAX03-5210-1348と
地方公務員災害補償基金愛知県支部長 大村秀章さん FAX052-961-6273
に送って下さい。」

全国の教職員を励ます画期的な勝利です。

尚、経過は次の通りです。(三河教労HPより)

【えっ、学校で倒れたのに 公務災害(労働災害)にならないの?】
朝早くから夜遅くまで、中学校の授業・部活・校外活動に邁進し、倒れた鳥居先生
 2002年(平成14年)9月13日(金)石巻中学校の体育館で、学校祭の体験講座指導中に、鳥居先生は脳内出血で倒れました。42歳の時でした。

 鳥居先生は、朝は7時すぎから夜は8時や9時まで中学校の教員として、また陸上部の指導を行い、前日は学校祭の準備のために学校に残り、前夜は「学校祭の警備」ということで、学校に泊まり込んでいたのです。

 鳥居先生の時間外勤務は、倒れる前一ヶ月においては学校が認定したものでさえ119時間に及んでいました。それは、8月20日から9月13日にかけてのもので、いわゆる「夏休み」期間ということになります。その夏休みでさえ、時間外の勤務が100時間を超えていたのです。しかし、それは、朝練の準備時間や部活指導後の教材研究、学校祭の準備などの時間を除いたものです。また、休憩時間は全く考慮されていないものです。そして、前夜は「夜警」として校長室に泊まり込み、気の休まることさえなかったのです。

 地方公務員災害補償基金愛知県支部審査会は「公務外の災害」と不当な「認定」!

早朝から深夜のおよぶ長時間勤務の中で倒れた鳥居先生の病名は、「脳内血腫・左片麻痺」というものでした。勤務中に倒れ「せめて公務災害の認定を」との鳥居先生の願いに対して、審査会は「公務災害」を認めませんでした。その根拠は、「通常の勤務と比較して特別なトラブルはなかったから、特に過重な業務に従事したものとは言えない。もやもや病があった。」というものでした。

「県審査会」は、「直前の残業が40時間以上あるという状況であり…時間的にはかなり過重な状況であったといえる。」と認めながら、「しかし、公務が関係ないとは言えないが、もやもや病、高血圧という危険因子もあり、いつ発症してもおかしくない状況であったと考えられる。」と、「病気のせい」にして、公務災害を認めなかったものであり、全く不当なものです。

(注;その後「中央審査会」も却下となり、地裁に提訴することになりました。)

 学校で倒れた鳥居先生は明らかに公務災害。公務災害をぜひ認めさせましょう!

 鳥居先生は、1999年石巻中学に異動してすぐに陸上部の顧問になりました。石巻中学は、鳥居先生が顧問になって翌年、駅伝県大会で優勝し、当時は3年連続の全国大会出場を目ざしていたのです。そのために、夏季休業中でも休みを返上して陸上部顧問として連日部活動に邁進していたのです。陸上部の練習のため、朝は7時前から登校し、夕練が終わるのは18時30分です。生徒を帰し、休む間もなく、学校の事務処理や教材研究に追われていたのです。また、生徒指導主事として、「全ての生徒が個性を生かした自己実現ができるように、自己指導力を育てる」ことを目標に、全教員の共通理解をはかるために責任を果たしてきたのです。

 子どもが大好きで、一生懸命向かい合ってきた鳥居先生は、現在左上下肢麻痺で身体障害者1級、高次脳機能障害となり、日常生活も非常に厳しい条件下にいます。

「学校で、子どもらの指導中に倒れて、なぜ公務災害じゃあないんだ。」と怒りの声が上がっています。
ぜひ鳥居先生の公務災害認定を勝ち取りたいと思います。「私は、絶対公務災害だ。」と、鳥居先生は退職金を受け取らず、不自由な体をおして「公務災害認定」を勝ち取ることを心の支えにしています。「これは、明日の自分だ。何としても公務災害認定を認めさせなくては。」と、教職員の間にも「公務災害を認めよ!」という声が広まっています。

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