オスプレイ配備 「人権問題だ」 沖縄2紙
本国では、野生動物の「繁殖期に気を配り、春季の池さえ保護する米軍と、住宅や学校、病院上空で容赦なく爆音をまき散らす在沖米軍が同じ集団とは信じがたい。」(沖縄タイムス)/「開発段階で4回墜落し30人の死者」「07年の実戦配備後も10年4月にアフガニスタン南部で墜落、4人が死亡」「県民の生命を脅かす軍用機の配備は断じて容認できない。」(琉球新報)・・・
[オスプレイ配備]これはもう人権問題だ 沖縄タイムス 5/31
【オスプレイ配備 普天間撤去の前に閉鎖を 琉球新報5/31】
普天間飛行場に、事故が多発し「未亡人製造機」といわれるオスプレイを配備する計画に、防衛大臣が「開発段階で墜落が相次いだとはいえ、米軍が実戦配備している装備を『危険だ』と拒むのは難しい」と、早くも容認姿勢。
「東日本大震災で原子力発電所の「安全神話」は崩壊し、菅政権は静岡県の浜岡原発の原子炉を止めさせた。危険な普天間で日常的に軍用機を飛ばしているのは人命への差別ではないか。」(沖縄タイムス)、「普天間基地所属の航空機は訓練などでたびたび国外に派遣され、実質的に飛行場がもぬけの殻に近い状態になることもあった。そのような基地がどうして抑止力として機能するのか。米国が代替施設に固執するのは太平洋戦争の「戦利品」にも等しい米軍基地を失いたくないからだろう。」(琉球新報)
「抑止力」という「安全神話」も、見直しが必要だ。
[オスプレイ配備]これはもう人権問題だ 沖縄タイムス 5/31開発段階で墜落事故が頻発し、飛行の安全性に不安がある垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備を米政府はいよいよ正式に伝達してくる。日米両政府はそこに県民の生活があることを無視できるのだろうか。
ゲーツ国防長官が6月初旬にシンガポールで予定する北沢俊美防衛相との会談で、米軍普天間飛行場に来年配備する方針を伝えるという。
米軍にとっては単なる機種変更、との気持ちがあるかもしれない。しかしこの決定は沖縄と日米両政府との信頼の糸を断ち切る事になりかねない。
なぜなら、両政府が「危険性」を認めた飛行場でいまも日常的に軍用機が飛び交うことさえ、非人道的だからだ。危険性を認知しながら放置するだけでなく、安全性に疑問がある軍用機を配備する両政府の冷徹さは理解を超える。
事故は必ず起きる。どれほど人知を尽くして防波堤を築こうが、いつか予期せぬ落とし穴にはまる。
東日本大震災で原子力発電所の「安全神話」は崩壊し、菅政権は静岡県の浜岡原発の原子炉を止めさせた。危険な普天間で日常的に軍用機を飛ばしているのは人命への差別ではないか。
日米両政府は普天間の名護市辺野古移設が「非現実的」(レビン米上院軍事委員長)であっても、「普天間を継続使用する」(ウィラード米太平洋軍司令官)つもりだ。
宜野湾市の住宅地をオスプレイが旋回し、普天間に着陸していく光景を想像するだけでいたたまれない。
沖縄だけでなく、米本国、ハワイにある海兵隊航空基地で同様に配備計画があるが、米政府は自国では配備前の環境影響評価を実施した。
カリフォルニアなど西海岸への配備に伴う評価の最終報告書によると、エンジンの種類がプロペラ輸送機と同じオスプレイの騒音は、飛行中はヘリコプターよりも低レベルだが、着陸時に騒音最高値がヘリを上回ると評価する。
報告書で指摘するのは主に自然への影響だ。野生動物が神経質になる繁殖期に騒音は最も有害であることや「ヘリが100メートル圏内に入るとフクロウは巣から逃げた」との論文を随所に引用する。
オスプレイを使った訓練は、河岸、湖岸、春に出現する水たまりなど環境変化に敏感な生息域を十分に考慮することを義務づけ、環境マップで示された立ち入り禁止区域を避けるよう指示する。
沖縄とは基地周辺の環境が違いすぎる。
繁殖期に気を配り、春季の池さえ保護する米軍と、住宅や学校、病院上空で容赦なく爆音をまき散らす在沖米軍が同じ集団とは信じがたい。
政府の「負担軽減」という言葉が詐欺にさえ聞こえる。
沖縄での基地運用がいかに「非人道的」であるかを再確認するとき、人としての尊厳さえも傷つけられたような深い悲しみを覚える。
オスプレイの普天間配備を正式に伝達するとき、米軍のダブルスタンダード(二重基準)が際だつだろう。
これは人権問題だ。
【オスプレイ配備 普天間撤去の前に閉鎖を 琉球新報5/31】米軍普天間飛行場の危険性を増大させる動きが具体化してきた。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備を近くゲーツ米国防長官が北沢俊美防衛相に正式に伝えるというのだ。
オスプレイは開発段階で4回墜落し30人の死者を出している。2007年の実戦配備後も10年4月にアフガニスタン南部で墜落、4人が死亡した。県民の生命を脅かす軍用機の配備は断じて容認できない。
許し難いのは、「開発段階で墜落が相次いだとはいえ、米軍が実戦配備している装備を『危険だ』と拒むのは難しい」として防衛省幹部が早くも受け入れる姿勢を見せていることだ。
日米安全保障条約の実施に関し米軍の装備に重要な変更があるときは事前協議の主題とすることが日米間で合意されている。オスプレイ配備はCH46ヘリからの機種更新で「重要な変更」に当たらず、拒否する法的権限もないというのが日本政府の見解だ。
いずれにしても、ただでさえ危険な普天間飛行場をさらに危ない施設にするのは間違いない。県民にとって死活的な意味を持つ装備変更となる。たとえ権限はなかったとしても国民の安全を守る観点から配備を見合わせるよう主張するのは政府として当然の務めだ。
宜野湾市の真ん中に位置する普天間飛行場は、住宅地の上を飛ばない限り航空機が離着陸できない。04年には同基地を発着する米軍ヘリが沖縄国際大学の構内に墜落、炎上した。民間人に死傷者が出なかったのは奇跡だ。再び事故が起きれば今度こそ大惨事につながりかねない。この上、オスプレイを常駐させるなど論外だ。
この間、普天間基地所属の航空機は訓練などでたびたび国外に派遣され、実質的に飛行場がもぬけの殻に近い状態になることもあった。そのような基地がどうして抑止力として機能するのか。米国が代替施設に固執するのは太平洋戦争の「戦利品」にも等しい米軍基地を失いたくないからだろう。
県外、国外への移設ができないまま、ずるずると危険を放置するのは許されない。普天間飛行場は移設の成否にかかわらず一刻も早く閉鎖状態にすべきだ。
政府、とりわけ外務、防衛両省は米国の要求なら何でも是認する受動的な態度を改め、気概と気迫を持って米国と交渉してほしい。
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