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米公電暴露 「国民不在」「米国の属国」 沖縄二紙社説

 外交公電暴露について、沖縄二紙の社説。
 「国民との約束より米政府の意向に沿おうとする外交が貫かれる。」「公約と真逆の裏交渉を進めるやり方は、国民不在もはなはだしい。」(沖縄タイムス)
 「他国にこびるあまり、自国の国民を平然と裏切る人間に、外交交渉をする資格などない。」「この国は事実上、米国の属国として世界史に刻まれるのではないか。」(琉球新報)
【普天間秘密公電】米におもねる日本外交 沖縄タイムス  5/7】
【外交公電暴露/政府に交渉の資格なし 体制一新し仕切り直しを 琉球新報5/5】

 おそらく沖縄のことだけではないだろう。こうしたことを不思議と思わない「文化」が、政権周囲に満ちているのだろう。徹底して明らかにすべき問題である。

【普天間秘密公電】米におもねる日本外交 沖縄タイムス  5/7】

 普天間飛行場の移転問題をめぐる日米両政府のやりとりが暴露された。米高官におもねる日本の政治家と官僚たちがいる。日米交渉の舞台裏では、国民との約束より米政府の意向に沿おうとする外交が貫かれる。
 明らかになった公電は、政権交代後の普天間問題をめぐり、民主党幹部や外務・防衛官僚が米政府担当者らに語った内容だ。ワシントンなどに報告されている。
 「最低でも県外」と公約した鳩山由紀夫前首相が就任した直後に政府高官らは米担当者に名護市辺野古の現行案推進を伝えている。公約と真逆の裏交渉を進めるやり方は、国民不在もはなはだしい。
 沖縄の民意は取るに足らない、というニュアンスも公電に読み取れる。それが日本政府の沖縄政策なのか。
 公電によると、長島昭久防衛政務官(当時)は2009年10月12日、キャンベル国務次官補らと会談した際、北沢俊美防衛大臣が普天間を名護市辺野古へ移設する現行案を支持している、と説明した。
 その直後に長島氏がいない昼食会で、高見沢将林防衛政策局長は「長島氏は省内会議で現行案に厳しく質問する。民主党政権が喜ぶような柔軟な姿勢をあまり早期に見せるべきではない」とキャンベル氏らにアドバイスした。
 首相公約を無視して防衛政務官が「現行案支持」を耳打ちすると、官僚は裏で「譲歩するな」と米側に強行路線を促す。
 米国には、意思のない同盟国に映るはずだ。
 公電に見る対米交渉はひとつの断片にすぎないだろうが、政策を決めて、外交で駆け引きできる国ではないことをあらためて思い知る。
 そんな政策不在を嘆く以上に沖縄にとって深刻なのは、政権交代後も沖縄の民意を無視しても県内移設を進めるという意向が米側に繰り返し伝えられていることだ。
 山岡賢次国対委員長(当時)は09年12月、東京の米大使館担当者と会い、「沖縄の政治は反対のための反対」「もしその民意が尊重されたら何も進まない」と述べ、政府が方針を決めれば沖縄の政治問題は取るに足らないとの見解を示した。翌月の名護市長選を意識した発言だった。
 同市長選の直後、松野頼久官房副長官(当時)は米大使館担当者に、「鳩山政権と沖縄側との作業部会が県外を模索するのは『形の上だけ』」「安保は一地域の政治に左右されない」と語った。
 政府が沖縄に向ける冷徹な素顔だ。
 しかし私たちが問うのは基地配置は外交・防衛問題かどうかだ。なぜ海兵隊の本土配備は検討されないのか。
 ラムズフェルド前国防長官は本紙インタビューで、基地提供は日本の国内問題だと言明した。海兵隊駐留の必要性を国民に説明し、その配置先を国内で調整すればいい。
 政策を持ち得ない政治家と官僚が互いにけん制し合いながら、米担当者には進んで本音を明かしている。
 沖縄問題を取り巻く環境は極めて厳しい。

【外交公電暴露/政府に交渉の資格なし 体制一新し仕切り直しを 琉球新報5/5】  内部告発サイト・ウィキリークスが日米関係に関する米外交公電を暴露した。結果、浮かび上がったのは、日本政府には外交交渉の能力も資格もないということだ。  米軍普天間飛行場をめぐる2009年10月12日の日米協議が象徴的だ。移設先について「最低でも県外」と述べた鳩山由紀夫氏が首相に就いて初の正式交渉だったが、この場で防衛省の高見沢将林防衛政策局長は「米政府はあまり早計に柔軟さを見せるべきではない」と述べている。  しかも長島昭久防衛政務官が席を外した場でのことだ。選挙の洗礼を経た政治家を飛び越え、官僚が、有権者から託された民意と正反対のことを述べている。

◆官僚益が民意に優先
 同じ年の12月、国連代表部参事官ら外務官僚が米側に話した内容はもっと直接的だ。「米政府は民主党政権に対し過度に妥協的であるべきではなく(辺野古移設を定めた)ロードマップについて譲歩の意思があると誤解される危険を冒すべきでない」と述べている。
 移設先見直しを掲げた政党を、自国の国民が選んだ。これから日米双方がそれぞれの国益を追求し、ぎりぎりの交渉が始まる。そんな局面で、身内の外務官僚が米側に「妥協するな」と言うとは、「利敵行為」も甚だしい。
 民主党の政権獲得間違いなし、といわれたその年の総選挙直前、日米両政府は辺野古移設をあらためてうたうグアム移転協定を交わした。在日米大使館はこう記す。「日本側当局者の考えでは、協定締結で、政権交代があっても日本側のロードマップへの関与は揺るぎないものとなる」。つまり交代後の政権に足かせをはめるのが狙いだと官僚が言っているのだ。
 移設先変更をなぜ官僚が妨害するのか。考えられるのは、官僚の自己保身である。
 政府が従来、説明してきた「移設先は沖縄県内しかない」という結論がひっくり返されると、交渉に当たってきた官僚の無能ぶりが明らかになる。それを恐れたが故の言動。そう捉えるのは、うがち過ぎだろうか。
 いずれにせよ政治家よりも政治家に託した有権者の民意よりも、官僚益が優先することになる。まるで官僚が統制する全体主義国家だ。
 日本は民主主義国のはずだ。民意を実現しようとせず、他国にこびへつらうばかりの官僚たちは、外交交渉に適格性を欠くと言わざるを得ない。
 一方、政治家たちのありようにも疑問が湧く。
 09年12月、前原誠司外相(当時)は米大使にこう述べた。「代替案に米国が賛成しなければ、民主党は現行の再編計画を進め、必要なら黄金連休後に連立を解消する用意がある」。本格的な、丁々発止の激しい交渉もせず、新たな案の提示すらする前に、現行案が結論と早々と示す。外交的敗北は明らか、それも不戦敗に等しい。何と拙劣な交渉だろうか。

◆「県外」はポーズ
 翌月には松野頼久官房副長官(当時)が米公使にこう話す。「鳩山首相と(日米閣僚級)作業部会は、形の上だけは『県外』を検討しなければならないが、唯一現実的な選択肢は、キャンプ・シュワブか、ほかの(県内の)既存施設に移すことだ」。
 国民の見えないところで「県外」はポーズにすぎないと相手にこっそり伝える。何と醜悪な姿だろう。他国にこびるあまり、自国の国民を平然と裏切る人間に、外交交渉をする資格などない。
 民主党だけではない。自民党の政治家も同様だ。公電によると、07年、小池百合子防衛相(当時)は辺野古移設案の滑走路沖合移動を仲井真弘多知事に約束した。メア在沖米総領事(同)がただすと、「09年には違う政権ができているから、われわれが(知事に)何を約束したかは問題にならない」と返答したとされる。
 後世に責任を負わない無責任な言動だ。小池氏がどう申し開きしようと、相手にそう受け取られ、本国に打電された段階で失格だと言えよう。
 文書に登場する官僚や政治家たちに外交交渉を任せ続けるとどうなるか。この国は事実上、米国の属国として世界史に刻まれるのではないか。21世紀に持続可能な日米関係の構築は、もはや彼らには任せられない。今後の交渉は外務・防衛官僚も政治家も一新して仕切り直すべきだ。


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