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原発利益共同体が作り出す世界の孤児化

 ジャーナリストの上杉隆氏が、ダイヤモンドオンラインで、原発事故の情報隠蔽は、旧ソ連以下で、日本が世界の孤児となりつつあると書いている。
 IAEAとWHOがともに指摘した飯舘村の状況の無視(IAEAの「査察」を断ったのは北朝鮮、リビア、イランと同列に扱われかねない)、グリーンピースによる海洋調査の拒否(完全拒否は、世界で日本だけとのこと)、事故発生直後に、クリントン米国務長官やメルケル独首相らに隠蔽体質を批判されている・・・と。自公政権時代から築き上げてきた「原発利益共同体」による情報操作の手法による「国益」侵害。ボディブローのように効く、極めて深刻な課題と思う。
 【情報隠蔽で世界の孤児になりつつある日本。もはやチェルノブイリ当時のソ連以下かもしれない 5/19】

 自民党は、何かと言えば、菅首相の対応だけを攻めているが、「政局対応」であり、みっともない。
 東電出身の議員を抱え、「低レベルの放射能はむしろ健康によい」とまで、国会で質問するなど、「安全神話」を振りまいてきた。そのために、情報の隠蔽体質をつくってきた。
 自民党の議員は「国益」という言葉が好きだが、「国益」の名の下に、市民の声を押さえ込んできたことが、どれだけ国益を損ねているか、まじめな自民党員から気づくはずだと思う。

 ちなみに、国際的な「風評」被害で一言。世界の基準は、年1ミリシーベルである。欧州は、その10分の1を主張している。子どもに20ミリシーベルトを浴びせても大丈夫、という国の製品、産品を信用できない、というのは「風評被害」ではなく、立場を変えて考えれば(もし中国で同様の事故が起きたら・・など)、現実的には、当然の対応だろうと思う。
  

【情報隠蔽で世界の孤児になりつつある日本。もはやチェルノブイリ当時のソ連以下かもしれない 5/19】

 3月の福島第一原発の事故以来、世界が日本の「敵」になりはじめている。とくに本コラムで指摘した通り、海洋への汚染水放出を行なった4月以降は特に顕著だ。
 5月17日、WHO総会に出席している大塚耕平厚生労働副大臣は、日本政府代表として次のように謝罪した。
「大気・海洋中に大量の放射性物質を放出したことを、国際社会の一員としておわびしたい」

◆世界各地で福島原発事故由来の放射性物質の飛来を観測

 大気中に飛び散った放射性物質はすでに地球規模で広がっている。ハワイで環境基準の43倍ものセシウムが検出されているのをはじめ、米国本土、欧州、南半球などでも福島第一原発事故による放射性物質の飛来が確認されている。
 同じ日、BBCのドキュメンタリー映画の取材で来日しているダニエル・リード記者との会話の中で、その点について触れると、こう答えた。
「私自身、これで三回目の被曝になる。最初は生まれた年に行なわれたビキニ岩礁の水爆実験だった。そのときはもちろん意識はない。二回目はモスクワに住んでいた時に被曝したチェルノブイリ原発事故、そして今回の福島が三回目となる」
 記者クラブによって情報統制のされている日本では国民の意識が薄いが、放射能事故に関する世界の見方は一貫して厳しい。リード記者が話すように、一見、過剰とも思える反応を示すことが多いのだ。
 
同じ17日夜には、次のようなニュースも流れた。
「枝野幸男官房長官は17日午後の記者会見で、東京電力福島第1原発事故に関する国際原子力機関(IAEA)調査団を24日から6月2日までの間、受け入れると発表した。調査団はIAEAの専門家ら約20人で構成される。第1原発を訪れるほか政府や東電関係者から聞き取り調査を行い、6月20日からウィーンで開かれるIAEA閣僚級会議で報告する」(産経新聞WEB版)

 実はこの2ヵ月間、日本政府はIAEAの「勧告」をずっと断ってきた経緯がある。

◆IAEA、WHO、グリーンピース…勧告や忠告、要請を断り続けた日本

 たとえば3月22日、福島での放射能環境基準値が高まり、IAEAが住民への「避難勧告」を伝えたときも、日本政府は「情報を精査している」という詭弁を弄して、事実上、無視し続けている。それはIAEAとWHOがともに指摘した飯舘村の状況でも同じだった。
 地形の関係で高い放射性物質の飛来が認められると3月にIAEAが指摘すれば、WHOも、乳幼児と妊娠している可能性のある女性だけでも優先的に避難させてはどうかと打診している。

 にもかかわらず、日本政府はこの二ヵ月間、国際機関のそうした「忠告」を無視し続けたのだった。過去、IAEAの「査察」を断ったのは北朝鮮、リビア、イランくらいではないだろうか。
 
日本政府はそうした国々と同列で扱われる条件を自ら世界中に提示してしまっているのである。
 さらに先週の本コラムで触れたが、国際環境団体グリーンピースによる海洋調査の「妨害」がある。

 国連の組織ではないものの、グリーンピースによる海洋調査は、国連でも認められたもので、少なくとも日本政府によるお手盛りの調査よりは数段、信頼度も高い。
 5月1日、自由報道協会はそのグリーンピースを呼んで記者会見を開いた。その際、佐藤潤一GPジャパン事務局長は次のように語っている。

◆GPの海洋調査“完全拒否”の国はいまのところ世界中で日本だけ

「過去にグリーンピースの海洋調査を断ったのは、私の把握している限り、インドネシア一ヵ国だけです。ただ、その際、インドネシアのメディアがグリーンピースの調査を断った政府に対して批判的な報道を開始し、調査をさせろという世論が沸き起こり、一ヵ月後にはインドネシア政府も撤回して、最終的には調査ができました。だから、完全に拒否となると世界で日本が初めてということになるかもしれません」
 先週、日本政府はグリーンピースの海洋調査を断っている。すでにグリーンピースの調査船は日本を離れた。政府はまたしても情報公開のチャンスを逃したのだ。
 その代わりに日本政府は、魚の「頭」と「内臓」と「骨」を除くという世界でも類を見ない奇妙な調査方法の結果を示して、安全性をアピールしている。
 過去、インドネシアで起きた世論のうねりを日本で期待することはあまりに馬鹿げている。なにしろ本来ならば、情報公開を求める側のメディア自身が隠蔽に加担し、グリーンピースの調査活動を無視してきたからである。
 また、日本政府によるその種の国際社会のルール無視は、WHO、IAEAでも当てはまる傾向だ。

◆原発事故情報の“鉄のカーテン”はもはや旧ソ連以上かもしれない

 この2ヵ月間、日本では、政府とメディアが一体となって情報隠蔽を繰り返したため、世界中が不信感を表明することに至った。いや、そもそも地震発生直後から、クリントン米国務長官やメルケル独首相らに隠蔽体質を批判されている。
〈ドイツでは、福島第一原発の爆発や火災などに関する日本政府の対応について、不信感を強調する報道が目立っている。
 被災地で救援活動を行っていた民間団体「フメディカ」の救援チーム5人は14日、急きょ帰国した。同機関の広報担当者シュテフェン・リヒター氏は地元メディアに対し、「日本政府は事実を隠蔽し、過小評価している。チェルノブイリ(原発事故)を思い出させる」と早期帰国の 理由を語った。
 メルケル首相も記者会見で「日本からの情報は矛盾している」と繰り返した。ザイベルト政府報道官は、「大変な事態に直面していることは理解している。日本政府を批判しているわけではない」と定例記者会見で釈明したが、ドイツ政府が日本政府の対応にいらだちを強めていることは間違いない〉(2011年3月16日17時48分 読売新聞)
 
少なくともこの2ヵ月間で、日本政府は、WHO、IAEA、グリーンピースという3つの国際的な機関と団体を排除し続けてきた。それは世界からみれば、情報隠蔽以外の何ものでもない。
 日本が世界の孤児となりはじめている現実を、政府もメディアも国民も直視しなければならない。もはや日本は1986年当時のソ連を笑えなくなっている。
 少なくとも、当時のソビエト政府は、事故発生一ヵ月後には住民の強制移住を完了させ、国際機関の査察を受け入れている。
 情報公開に関して、現在の日本は、東西冷戦時代の共産国家のそれよりも酷いのかもしれない。

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