正義?! ビンラディン殺害
サンデル教授ではないが「正義とはなにか」(彼の場合、個人レベルの話が多いが・・・)。ビンラディンを殺すために、民間人を何人犠牲にしても許されるのか。そもそもテロの温床となる「貧困と欠乏」「絶望」は誰が生み出したのか。アメリカは法の裁きなしに個人を暗殺する権利を持つのか、それは他国にも同等に認められるのか。「正義の行い」は、未来の平和を約束するのか。少しコラムとか、拾ってみた。
【天地人 東北日報 5/4】
【金口木舌 琉球新報5/4】
【ビンラディン容疑者殺害の必要性、欧州では疑問視する声も ロイター5/4】
【米軍、生け捕り後に「処刑」?=ビンラディン容疑者の娘が証言-パキスタン紙 時事5/5】
日本共産党は「事態の詳細は分からないが、テロは絶対に許されない犯罪行為だ。同時に、テロの根絶は軍事力による報復ではなく、国連憲章と国際法に基づいてテロ犯罪の容疑者を逮捕し、法に基づく裁きを受けさせるべきだというのがわが党の基本的な立場だ。ビンラディン容疑者についても、逮捕と法の裁きにかけさせるという対応をとるべきだったと思う」と述べている。
とにかくアメリカのアフガン、イラクへの行動を支持し支援した日本(政府)も、「当事者」であり、真摯に向き合う必要がある。
【天地人 東北日報 5/4】2001年9月11日、米フロリダ州の小学校で子どもたちの笑顔に囲まれていたブッシュ大統領に首席補佐官がささやいた。「わが国が攻撃にさらされています」。米中枢を狙った航空機テロに国民は震え上がった。
すかさず宣言した「テロとの戦い」を続けて10年、首謀した国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を米軍が殺害した。赤い勝負ネクタイをつけたオバマ大統領が「正義が行われた」と胸を張れば、市民は星条旗を掲げて歓喜の「USA」コールを繰り返した。
ならず者をやっつけた気分になったのも無理はない。米国の繁栄の象徴であるニューヨークの世界貿易センタービルを崩壊させ、3千人もの命を奪った悪の親玉だったのだから。敵討ちに燃えていた分、すかっとしたのだろう。だがそこに漂うのは事件の影を覆い隠す危うい陽気さでもある。
ビンラディン容疑者もまた聖戦を叫ぶイスラムの英雄だった。「米国とその協力者を軍民問わず殺せ」。あの狂信的な叫びが若者を引きつけたのは、アフガニスタンやイラクで大勢の同胞が殺された恨みからだろう。貧困にあえぐ人々はやり場のない怒りを「諸悪の根源」米国に向けた。
絶望がビンラディンを生んだのであれば、おぞましい無差別テロの思想を根絶やしにするには希望の道を示すしかない。光明をもたらすのは社会不安をなくする辛抱強い取り組みだ。それは攻撃と報復の果ての殺害作戦よりもはるかに難しい「正義の戦い」に違いない。
【金口木舌 琉球新報5/4】2001年9月11日深夜。普天間基地入り口に向かった2人の同僚記者は海兵隊員2人にライフル銃を向けられた
2001年9月11日深夜。普天間基地入り口に向かった2人の同僚記者は海兵隊員2人にライフル銃を向けられた
▼テロを警戒する兵士は怒鳴り声で「手を上げろ、車から出ろ」と命令した。取材だと告げても兵士は車内に手を突っ込み、無理やりカメラを奪って記録カードを抜き取った
▼記者が返却を強く主張し、武装兵は1時間後に金網越しにカードを地面に落とした。ウサマ・ビンラディン容疑者が首謀した米中枢同時テロから数時間後の出来事だ。あれから10年。テロ首謀者が先日、米軍特殊部隊の急襲作戦で殺害された
▼オバマ米大統領は「正義が行われた」と述べるが、過去にアフガニスタンでソ連軍と戦闘していたビンラディン容疑者を含むゲリラ戦闘集団に武器を供給していたのも米国だ
▼国防長官としてイラク戦争を主導し、フセイン大統領の死刑を実現したラムズフェルド氏は1983年、米特使としてフセイン氏と会談し、笑顔で握手。対イラン戦でのイラク支援を約束した
▼「忘れてならないのは、米国自身が『テロ国家の親玉』だということである」(『9・11』)。米言語学者のノーム・チョムスキー氏はこう述べた。この10年、アフガニスタンやイラクでは対テロの「正義の戦争」の名の下、無関係の住民の多くが命を落とした。首謀者は消えたが、憎悪の連鎖が続くようでは何を解決したというのか。
【ビンラディン容疑者殺害の必要性、欧州では疑問視する声も ロイター5/4】5月4日、米海軍特殊部隊がビンラディン容疑者を殺害したことに対し、欧州の一部では今回の作戦を批判する声も上がっている。写真はホワイトハウス内に掲示された新聞。2日撮影(2011年 ロイター/Jason Reed)
[アボタバード/ワシントン 4日 ロイター] 米海軍特殊部隊がアルカイダの指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害したことに対し、キャメロン英首相やメルケル独首相など世界の指導者の多くが支持を表明した一方で、欧州の一部では今回の作戦を批判する声も上がっている。
元西ドイツ首相のヘルムート・シュミット氏はドイツのテレビ局の取材で、「国際法に違反していることは明らかだ」と強調。また、ビンラディン容疑者の殺害は、反体制活動が拡大しているアラブ諸国で深刻な影響を及ぼす可能性があるとの見方を示した。
ロンドンを拠点とする人権派弁護士のジェフリー・ロバートソン氏も、殺害は「冷血な暗殺行為であったことも考えられる」とし、ビンラディン容疑者が「殉教者」として崇拝される可能性もあると指摘。オーストラリア放送協会(ABC)の取材に対し、「正義とは、(容疑者を)裁判にかけ、証拠に基づき判決を下すことだ」と述べた。
ホルダー米司法長官は3日、ビンラディン容疑者の殺害作戦は法律に反していないとの見解を示している。
【米軍、生け捕り後に「処刑」?=ビンラディン容疑者の娘が証言-パキスタン紙 時事5/5】パキスタン紙ニューズ(電子版)は5日までに同国治安当局者の話として、北部アボタバードの隠れ家で米軍の急襲を受けた国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者は、いったんは生きて拘束されたものの、その後殺害されたと同容疑者の12歳の娘が証言していると報じた。
同紙によれば、娘は隠れ家に取り残され、パキスタン治安当局に拘束された。調べに対し、2日未明の急襲作戦開始数分後、ビンラディン容疑者は米軍特殊部隊員に捕まり、家族の前で射殺されたと主張しているとされる。
一方、政府関係者によると、拘束された隠れ家の住民は「(同容疑者も含め、)こちら側から米軍へは一発たりとも発砲していない」と口をそろえている
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