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賃金低下の連鎖へ 公務員給与カット考

「復興財源に、公務員給与カット」という話。
 この10年、働くものの給与が低下し、先進国の中で日本だけが成長のとまった異常な国となり、結果として、GDPの長期債務の比率が跳ね上がる、という行き詰まった事態を生んでいる。
 そうしたもとで、実際に、公務員給与の水準がどうなのか・・・比較しているブログ(国公一般・仲間のブログ)がある。
 その中で、民間全産業正規雇用労働者の2009年の年間給与(ボーナス、各種手当て含む/厚生労働省統計情報部編『賃金センサス――平成21年賃金構造基本統計調査』)から、1000人以上、100~999人、10~99人の比較表が紹介されている。
【国家公務員給与カットは民間給与カットの連鎖へ-公務員バッシングのツケは結局国民が負うことになる】

 では、国家公務員の給与〔資料は、行政職(一)。現業などの(二)はさらに低い。地方公務員も、国準拠なのでほぼ同じ。〕では結果はどうか。

◆全産業正規との比較
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◆1000人以上
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◆100~999人
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◆10~99人
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 また以下のコラム、記事も紹介されている。
【「国家公務員の給与カット表明に熟慮と覚悟があるか」 ニッセイ基礎研究所「研究員の眼(松浦民恵) 2011/5/16」
【公務員の給与カットに「ザマアミロ」というとしっぺ返し来る 週間ポスト6/3】 

コラムでは、公的サービスの質は、結局国民生活に跳ね返る。公務員の震災賃下げが契機となって、民間にも減給の波が押し寄せ、「給与カットの連鎖」が起きる危険性がある。と・・・ 

この「失われた10年」の流れを見ると、その危険は、現実味がある。こんな試算もある。

【公務員人件費を「2割削減」した場合の経済へのマイナス影響と、その特徴について 労働総研5/19】

◇20%削減の影響試算 (1)家計収入の減少総額が6兆9420億円、(2)家計消費の減少額が5兆1874億円、(3)国内生産の減少額が10兆7010億円、(4)付加価値(≒GDP)の減少額が4兆5818億円、(5)国と地方の税収の減少額が8133億円という巨額な数値になった。

◇10%削減の影響試算
(1)家計収入の減少総額は3兆4710億円、(2)家計消費の減少額が2兆5937億円、(3)国内生産の減少額が5兆8472億円、(4)付加価値(≒GDP)の減少額が3兆0431億円、(5)国と地方の税収の減少額が5401億円となる。

◇加えて、地方の中小企業の多くは公務員賃金の動向を参考に給与改定をしており、国・自治体から委託・公契約の仕事を扱う企業などでも、「右へならえ」とばかりに賃下げに走ると思われる。これらが、周辺の中堅・大企業に波及することも懸念される。

 一部特権高級官僚の厚遇、天下りなど問題は、原発利権にみられる政財官ゆ着の問題であり、同列で議論すべき対象ではない。

 問題の根幹は、「同一価値労働、同一賃金」の原則、「雇用は正規が当たり前」の原則、「残業の法的規制」など、他の先進国並みの働くルールの未確立や、,年金など社会保障の貧弱さ、東京一極集中にみられる都市と地方の格差をつくってきた国づくりのあり方にかかわる。と思う。

    

【「国家公務員の給与カット表明に熟慮と覚悟があるか」 ニッセイ基礎研究所「研究員の眼(松浦民恵) 2011/5/16」

 ある人事の実務家は部下に対して、従業員の労働条件を変更する際には、最大限の熟慮と覚悟をもって事に当たれと繰り返し説いていた。特に労働条件の切り下げは、対象となる人の人生のみならず、家族の生活にも大きな影響を及ぼす。また、一度下した決定はその後の従業員の働きぶりや人事管理に、中長期的に影響を与え続けることになる。そういう重い決定を、生半可な考えや覚悟で行ってはならないという戒めの気持ちを、彼は部下たちにしっかりと伝えたかったのだろう。
 
 政府は5月13日に、国家公務員の俸給・ボーナスの1割カットを主要労働組合に打診した。5月14日の日経新聞の記事によると、政府は「(1)民主党の公約である『国家公務員総人件費の2割削減』、(2)国家財政の逼迫、(3)東日本大震災への対応」を理由としてあげている。

 この動きに違和感を覚えるのは筆者だけだろうか。例年、国家公務員の給与は、民間企業の賃金水準の調査に基づいて行われる人事院勧告を受けて、民間企業の労働条件とのバランスを考慮のうえ決定される。このような仕組みがとられている大きな理由の一つとして、公務員には労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)のうち、団体行動権(ストライキ等をおこなう権利)が認められていないことがある。しかしながら、今回の1割カットは、労働三権の制約に関する議論が収斂しないまま、人事院勧告を経ず、労使協議によって検討が進められようとしている。

 さらに納得がいかないのは、東日本大震災の対応が理由としてあげられている点である。もし労使協議の結果、国家公務員の給与がカットされたとしても、それで復興財源全体を賄いきれるはずはないので、早晩、増税の議論が出てくる可能性が高い。震災によって業務量が増大している公務員が少なくないなかで、給与カットが行われ、さらに増税ということになると、公務員だけが二重、三重に重荷を背負うことになる。

 復興財源として、国家公務員の給与がカットされるのはなぜか。その理由が明確にならない限り、一部の公務員の不祥事に端を発した長きに亘る公務員バッシングの風潮に同調して、復興の議論に便乗して、政府が公約を実行しようとしていると受け止められかねない。想像したくないが、今後別の大震災が起これば、国家公務員の給与はさらにカットされることになるのか、という疑念さえ生まれかねない。

 もちろん国家財政が逼迫しているのは事実であり、国家公務員を含む公務員の労働条件を変更する必要性を否定するものではない。しかしながら、そういった決定は役割や仕事の見直し、人事制度や要員政策の検討とセットで、熟慮と覚悟をもって行われるべきものである。

 労働条件の変更は、対象となる人の人生のみならず、家族の生活にも関わってくる。人事管理の観点からみると、拙速な労働条件切り下げは働く人のモチベーションの低下につながり、中長期的に優秀な人材を確保し、定着させることも難しくする。一方で、公務員は国の方向性の検討に関わるプロフェッショナル集団であり、公的サービスの担い手であることから、彼・彼女らの働きぶりは、国民の生活に多大な影響を与える。
 拙速な労働条件切り下げのツケは、結局国民が負うことになる。冒頭紹介した人事の実務家は、労働条件変更の恐ろしさ、根深さを理解し、肝に銘じていたのだと思う。


【公務員の給与カットに「ザマアミロ」というとしっぺ返し来る 週間ポスト6/3】

 菅政権は震災復興財源のために国家公務員の給与1割カットを打ち出した。すでに総務省は課長以上10%、課長補佐・係長8%、ヒラ5%という削減幅を労組に提示した。賃下げで浮く3000億円を2次補正予算の財源に盛り込む方針だ。
 石原慎太郎・東京都知事は、「国がやるなら都庁もやる」と呼応したが、政府には地方公務員の賃下げを決める権限はない。そこで財務省は自治体への地方交付税を削減して職員の給与を強制的に引き下げさせることを検討している。
 公務員の給与カットに胸のすく思いの国民は多いはずだ。が、「ザマアミロ」ではすまない。この震災賃下げが契機となって、民間にも減給の波が押し寄せ、「給与カットの連鎖」が起きる危険性があるからだ。
経済評論家・奥村宏氏がこう指摘する。
 「企業はいま、とにかく人件費削減を進めたい。日本経団連が2007年にホワイトカラーの残業代をゼロにできる制度の導入を働きかけたように、人件費削減を狙ってきた。今回の公務員の賃下げは、経営者が組合や社員に震災後の業績悪化を補うための賃金カットを求める口実になる」
 大震災以後、客足が激減している東日本の観光地の観光業界団体役員が語る。
 「宴会も減ったままだし、稼ぎ時の大型連休もパッタリでした。いつ従業員に賃下げを切り出そうかと考えていたが、国が範を示したからやりやすくなった」
 製造業も震災による部品不足や夏の節電目標などで工場の操業率が低下しており、今期の業績大幅悪化が予測されている。大手から中小、零細企業まで広範囲に人件費削減が行なわれることを警戒しなければならない。

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