原発 「安い」神話も検証を
「安全神話」は崩壊したが、当たり前のように語られている「原発は安い」神話も検証が必要。ソフトバングの孫社長が異議を唱えているが、自然エネルギーの基金立ち上げを表明した。そこで少し検証してみた。
それにしても、原発も、政党助成金も・・金の前に、マスコミ、御用学者がいかにうごめいていることか。
【「原発は安い、太陽光発電は高い」は本当か?被災地の復興をも視野に入れた孫正義氏「自然エネルギー財団」の提言 上杉隆 ダイヤモンド】
アメリカでは、原発と自然エネルギーのコストは拮抗していると言う。そこで原発コストを検証してみた。
ところで、最近の(2007年)の企業広告費のランキング・・・
1 トヨタ 1054億円
2 松下電器 831億円
3 ホンダ 816億円
18 東京電力 286億円
先日、東京大学への委託研究費についても触れたが・・・ そういうことなんでしょう。政党助成金を返上しない政党も含めて、「国民のため」など思っているとは思えない。
以下、考察
【ゴマカシだらけの「原発は安い」神話】
まず政府の発表から・・・
◆発電方式別の発電原価試算結果(1kWh当たりの発電費用)
水力 8.2~13.3円 設備利用率45%
石油 10.0~17.3円 設備利用率30~80%
LNG 5.8~7.1円 設備利用率60~80%
石炭 5.0~6.5円 設備利用率70~80%
原子力 4.8~6.2円 設備利用率70~85%
太陽光 46円 設備利用率12%
風力 10~14円 設備利用率20%
注)設備利用率(%)=1年間の発電電力量/(定格出力×1年間の時間数)×100%
使用データ:経済産業省、エネルギー白書 2008年版(2008)
このコスト比較が「公平」か、という点では様々指摘されている。
コスト計算にいってないもの
①原発推進のための自治体への交付金・補助金
②使用済核燃料の処理・保管費用
③廃炉処分の費用
④事故の損害賠償費用
◆高レベル廃棄物の処理
原発は、廃棄物の処理方法が確立してない点では、完結してないシステムであるが・・その本質問題は抜きに、処理費用として公表されている数字
電気事業連合会(03年)の試算~ 再処理工場の稼働開始から72年間で18兆9100億円。しかし、高レベル廃棄物は、プルトニウムのように半減期が2万4千年もあり、その間、安定的に地中の中で、管理し続けなくてはならない。
◆廃炉費用
新型転換炉実証炉「ふげん」(敦賀市・16.5万kW)の試算は
1.解体費用 約300億円
2.伴って生じる廃棄物の処分 約400億円
3.施設撤去までの維持費 約数百億円
4.運転中に出た低レベル放射性廃棄物の処分 約140億円
約千数百億円
現在使われているのは、この数倍の発電量のあるもの。さていくらになるか。
◆事故の補償
原子力発電の場合、一般的な損保には入れない。国が制度をつくっているがわずか1200億円。この経費ものぞかれており、もし、保険をつくり・・・ 今回の事故のように補償が10兆円にも及ぶのに対応できる保険料がうわのせされたらどうなるか。
その他にもごまかしがある。
1つは「稼働率」である。
「設備利用率70~85%」となっているが、実態から乖離している。稼働率が高いということは、建設にかかった固定費が、キロワットあたり、低くでることになるが、実際はどうか。
「経済産業省原子力安全・保安院は2010/416日、2009年度の国内の商業用原発54基の設備利用率(稼働率)は65・7% だったと発表した。08年度の60・0%から5・7ポイント回復」と遠く及ばない。
2つは、「揚水発電所の費用」
原発は、フルパワーで運低しないと安定しないため、火力、水力のように調整が効かない。夜間には発電過剰となり、それはトラブルの原因となる。そのため夜間の余った電力で、水をくみ上げて、日中に放流して発電する揚水発電所が不可欠なのである。この揚水発電所の発電コストは、1kWhあたり30円以上と非常に高いとのこと。これも原発のコストに入ってない。
3つは、送電コスト。原発は、都市部から離れたところに設置している。東京電力なのに、福島県で発電している。送電ロスも考慮に入れる必要があるだろう。
これだけやっても、上記のように、石炭で20-30銭、LNGで1円ほどの差しかない。
自然エネルギーの本格的な開発で、どんどんコストは低下している。舵を切るべきどきだと思う。
【「原発は安い、太陽光発電は高い」は本当か?被災地の復興をも視野に入れた孫正義氏「自然エネルギー財団」の提言 上杉隆 】きのう(4月20日)、ソフトバンクの孫正義社長は、民主党の復興ビジョン検討チームの会合に出席した。フルオープンだったこともあり、衆議院第二議員会館の多目的ホールで開かれた会合に、議員のみならず多くのメディアが詰め掛けた。
その会合の冒頭、孫社長は、米国での発電コストに触れ、「私自身も驚いたのだが」と前置きしてこう話しはじめた。
「昨年、米国では原子力発電のコストと太陽光発電のコストがクロスオーバーした。原発は低コストだという認識を変える必要があるのかもしれない」◆安全対策費用がかさむ原発、技術革新で安くなってきた太陽光発電
近年、安全管理の厳格化にともない原発コストは確実に上昇している。とりわけプルサーマルや高速増殖炉などの原子炉は、それ自体の建設維持費用よりも安全対策費用への投資が高コスト化している。そして、その傾向はますます強まっている。
一方で、高コストで効率が悪いと見られていた自然エネルギー、とくに太陽光発電は、ソーラー技術や送電システムなどの革新によって低コスト化に成功している。
再生可能な自然エネルギーによって生み出される電力は、かつてのような高コスト・低効率のままで停滞しているわけではない。省エネ技術の進歩とあいまって、世界中で根本的なエネルギー政策の見直しが始まっているのが現状だ。
脱原発、自然エネルギーへのシフトという世界的なエネルギー事情を受けて、孫氏はきのうの会合で、いきなり新構想をぶち上げた。会場にいた私は、思わず自身のツイッターに次のように書き込んだ。〈【速報】 孫正義氏 @masason 新しいエネルギー創設のための財団設立(自然エネルギー財団)を発表。すべて個人資産で。先の復興支援寄付の100億円とは別に。被災地には「東日本ソーラーベルト構想」〉
http://twitter.com/#!/uesugitakashi/status/60609850387865600孫氏は、先の震災の支援金100億円、ソフトバンクからの10億円とは別に、新たに私財10億円を拠出して財団を設立し、そこで自然エネルギー発電のための政策提言などを行うという。
「原発事故で多くの国民が不安を抱いている。安心、安全な自然エネルギーを日本にもっと増やせるように、世界の科学者100人くらいの英知を集めたい」◆代替エネルギーの可能性検証で、揺らぐ政府・東電の「原発必要論」
この一ヶ月間、政府・東京電力から発表される情報のほとんどは「原発は必要」だというプロパガンダに染まったものばかりだった。それは大手マスコミも同様だった。
電気は不可欠、だが日本は資源が少ない。環境破壊は許されない。原発はクリーンで安全。よって日本には原発が不可欠――。
こうした「洗脳」は40年以上にもわたって日本全国に行き渡っていった。そして、政府・東電は、今回の原発事故に際しても、「計画停電」という卑怯な手段で国民生活を脅かしてまで原発の必要性を訴えた。それは本コラムで指摘したように、プロパガンダに過ぎない。
だが、なによりそれを検証する力も、提示する代替案もメディアなどになかったのである。私たち自由報道協会のフリーランス記者らが指摘するまでは――。
◆被災地復興をも視野に入れた「東日本ソーラーベルト構想」孫氏は、同時にまた、津波による甚大な被害を受けた被災地への復興計画も用意していた。
津波を受けた農地や壊滅した工場地帯の回復には相当の時間がかかる。そうした地域に、太陽光や風力など自然エネルギー発電のための施設を建設して復興を目指すのはどうか、孫氏はそう提案したのだ。
福島原発三号炉の設計者で、自由報道協会でも共同インタビューを行なった上原春男・元佐賀大学学長もこの提案を歓迎する。
「私の発明した海洋温度差発電、温泉水発電も活用できるかもしれない。私自身もまた別の構想を持っている。アイディアを出し合っていくのはいいことだ」
先週、上原氏と孫氏は都内で会談を行った。両氏をつなげたのは、民主党の中で以前から自然エネルギーの問題に取り組んできた原口一博氏だ。
エネルギーに関しては暗いニュースの続いたこの一ヶ月、ようやく希望の光が差し込んできたのかもしれない。
会合にはその原口氏も姿をみせた。その目の前でさらに孫氏は、雇用創出も含めた壮大な地域復興ビジョン、「東日本ソーラーベルト構想」を発表したのだ。
その構想には、自然エネルギーで発電された電力の買い取り制度の拡充も含まれ、現在のエネルギー政策へのリンクも考慮されている。自然エネルギー財団では、自然エネルギーの研究に取り組む一方、世界各国、日本中の科学者や企業の研究成果を収集し、政府に対しての提言を行なっていくという。さらにソーラーベルト構想をリンクさせ、雇用創出、地域再生を視野に入れた、日本全体の経済復興に寄与しようとしているのだ。
孫氏は、今年中には自然エネルギー財団を設立すると断言している。
少なくとも、被災地の住民に対して「高台への移住計画」を高らかに宣言している首相よりも、孫氏が、ずっと夢を与えてくれる人物であることは確かだ
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