深刻化する農地被害 液状化・津波・原発
農水省が岩手、宮城、福島で2万haが津波で浸水、液状化で茨城225ha、千葉740haと発表した。その後、コメ生産額4位の福島県が原発の影響で作付けが延期されている。千葉県香取市では液状化で1/3にあたる2500haが打撃を受けている。茨城県でも深刻な報告が・・・
食料問題をどうするのか、という話が政府筋から全然聞こえてこいなのが不思議だ。
高知市では、昨日から田植えがはじまっている。
【東北3県で農地2万haが津波で浸水 農水省が試算 農協新聞3/24】
【福島の全農家に作付けの延期を要請 原発事故で県 朝日3/26】
【東日本大震災 液状化で関東一の米どころも打撃/千葉 毎日3/28 】【早場米産地・稲敷で田植え危機 砂噴出の水田、水路も損壊 茨城新聞3/27】
【東北3県で農地2万haが津波で浸水 農水省が試算 農協新聞3/24】農水省は3月22日15時現在の東北関東大震災の被害状況を23日までにまとめた。また岩手、宮城、福島の3県で津波による浸水被害があった農地(田畑)は2万haほどになるとの試算を出した。
◆深刻な塩害も
国土地理院などは衛星写真などを使って津波の浸水範囲を調べているが、農水省がその範囲内で農地がどれほどあったかを調べたところ、2万ha(約200平方km)以上になることがわかった。 国土地理院が3月18日に発表した調査結果によると、津波の浸水範囲は青森、岩手、宮城、福島の4県で401平方kmだった。農水省はこのうち青森を除く3県で合計200平方km以上が農地だったと試算した。
このほか、茨城県の鹿嶋市でも50haほど、千葉の旭市で2haほどの浸水被害が報告されている。
津波による被害をうけた農地では、深刻な塩害が指摘されており、地域によっては復旧までに1年以上かかるおそれもある。◆茨城で225ha、千葉で740haが液状化
またこのほかに、地震の被害状況として、農地の損壊が10県(青森、岩手、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、長野、三重)で590カ所、農業用施設などの損壊が16県(上記10県、宮城、秋田、山形、神奈川、静岡、新潟)で5955カ所報告されている。
農地被害では、茨城、千葉の利根川流域を中心に液状化による水田の損壊などが多数報告されている。現在までに判明している分だけでも、茨城で225ha、千葉で740haの農地が液状化した。
農業用施設では、パイプラインや集落排水処理施設などおもに水路の損壊が報告されているが、現在通電していなかったり、水を通してみないと損壊状況がわからないところが多く、被害の詳しい状況はいまだ不明だ。
茨城県では、例年なら4月上旬から早場米の田植えが始まるが、現状ではいつ田植えができるかわからない。県の農村計画課では、「自分の地域に被害が見当たらないから、ということで苗の準備を始めても、水路や施設の状況次第ではそれがすべて無駄になるおそれもある。常に詳しい正確な情報収集をするように」注意を呼びかけている。
【福島の全農家に作付けの延期を要請 原発事故で県 朝日3/26】東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故を受け、福島県災害対策本部は25日、県内の全農家に田植えや種まきなどの農作業を当面延期するよう求めた。県内各地で土壌汚染の恐れがあるためだ。国と協力して土壌の分析を進め、農地が安全かどうかを判断したうえで作付けの指示を出す。
農協(JA)などの組織を通じて農家に伝える。また、25日から県のホームページなどで県内の全農家に作付けの延期を呼びかけ始めた。農家が被る損失は、国や東京電力に補償を求める方針だ。
福島県内では4月以降に田植え作業が本格化するが、県はできるだけ遅らせることを要請した。また、大豆やソバなどの畑作物も種まき時期を遅らせること、花類も露地栽培について作付け準備を遅らせることを求めている。畑を耕す作業は放射性物質が広がる恐れがあるため、取り組まないことも求めた。
政府は福島県に対し、葉物野菜などの摂取制限や出荷停止を指示している。農家には出荷できない野菜がたまっているが、県は焼却処分などをすると放射性物質が拡散する恐れがあるとして、そのまま保管するよう求めた。
福島県で栽培が盛んな桃や梨などの果樹は病害虫防除などの管理をしないと翌年以降の収穫に影響するため、樹木の管理は例年通り取り組むことを認めた。
福島県はコメ生産が全国4位と盛んで、農業産出額は全国11位の農業県。しかし、放射能漏れ事故の影響で、原発から半径20キロ圏内は避難指示が出ており、農作業に手がつけられないままだ。20キロ圏外でも県内各地で葉物野菜から放射性物質の検出が相次ぎ、農家から「作付けはどうすればよいのか」との声が相次いでいた。(中川透、村上晃一)
【東日本大震災 液状化で関東一の米どころも打撃/千葉 毎日3/28 】水田8000ヘクタールで年間約4万トンの収量を誇る関東一の米どころ香取市で、水田が東日本大震災による液状化で大打撃を受けた。稲の“ライフライン”である農業用水も広範囲に破壊されている。同市農政課によると2500ヘクタールで今年の作付けが絶望視され、収量は例年より35%(1万4000トン)も減る見通し。田植えの時期が迫るなか、専業農家たちは「米が作れなければ生きていけない」と悲鳴を上げている。【斎川瞳】
3000ヘクタールの水田が広がる市内最北部で、田んぼが無残な姿をさらしている。各所であぜ道が陥没し、地下から噴き出した土砂が厚く堆積(たいせき)している。水田に水を送る地中のパイプラインも壊滅。例年、今の時期は種もみを水に浸して発芽を促し、種まきをするが、用水路復旧の見通しが立たず、一帯の農家は手も足も出ない状態だ。
「10月には農機具のローン返済が何百万円も控えている」。約12ヘクタールを耕作する香取市八筋川の専業農家、宮本興一さん(60)は険しい表情だ。「米が作れなければ、どうやって払えばいいのか」
同市境島で約4・5ヘクタールを耕作する香取和典さん(61)の水田の被害も深刻だ。「専業農家にとって米作りの可否は死活問題。何としても作らないと我々は生きていけない」
パイプライン復旧が見込めぬ中、同市大島の専業農家、宮本栄治さん(63)は、自分で水をくみ上げようと茨城県などを3日間かけて回り、数十万円で中古の農業用ポンプ15機をかき集めた。「すでに肥料も注文済みで、秋には農具のローンも迫っている。米を作れなければ首をくくらなければいけない」
たとえ水を確保できても、田植えができるまでに回復させるには最低でも1カ月以上かかるという。田植えの限界は6月半ば。専業農家らは「食料問題にもかかわる危機。国や県、市がどうやって農家を支えるか考えてほしい」と訴えている。
【早場米産地・稲敷で田植え危機 砂噴出の水田、水路も損壊 茨城新聞3/27】東日本大震災は、春の作付けを控えた田畑や農業用水路にも深い爪痕を残した。県内有数の稲作地帯、稲敷市では旧東町地域を中心に液状化現象によって地中の砂が大量に水田に噴出。農家は「どうしようもない。作付け不能だ」と嘆く。県農村計画課によると、水路や揚排水機場、農地などの被害は26日現在、全県で2千カ所以上に上り、同課は「地域によっては復旧が遅れ、田植えが6月になる場合も想定される」と深刻視している。
コシヒカリ、あきたこまち、ミルキークイーンの産地で知られる旧東町地域。例年4月上旬に田植えが行われる早場米地帯だが、地域によっては大規模な液状化によって大量の砂や泥が水田に噴き出し、農業用パイプラインも破損して手を付けられない状況。
西代地区の農家(67)は「例年なら今は種まきの時期だが、液状化で水田が砂に覆われてしまった。塩分も含んでいるので、どうしようもない。作付け不能だ。こんなにひどいのは初めて」と、変わり果てた水田にため息をついた。
稲敷市によると、被害面積は「旧東町地域を中心に220~230ヘクタール」(農政課)に及ぶ。市はJA稲敷、新利根川土地改良区とともに対策チームを立ち上げた。新利根川の揚排水機場の一部が地震で損傷し、「機場の水は大丈夫か」「植え付けができない。どうしたらいいのか」などの問い合わせが相次いでいるという。
対策チームは被害の把握や対策に全力を上げ、ホームページやチラシなどで農家に告知していく考えだが、復旧の見通しは立たない状況だ。
全県の被害状況は▽堰や揚排水機場の損傷274カ所▽水路の土砂崩れ、パイプラインの破損1097カ所▽ため池の堤崩落や亀裂82カ所▽農道の陥没など348カ所▽農地の液状化、亀裂、浸水など189カ所-など。県農村計画課は「まだ調査途中で、実際の被害はもっと深刻」と見ている。
水路の損壊は水戸市で約300カ所、鹿嶋市、行方市、東海村でも約100カ所あり、復旧が遅れると稲作に不可欠な水の供給に支障が出かねない。鹿嶋市泉川・長栖・谷原の3地区では、水田約50ヘクタールが津波で塩分を含んだ海水をかぶった。
県内では5月のゴールデンウイーク前後に田植えを予定する農家が多いため、県は機場や水路の復旧が間に合わない事態に備え、各土地改良区やJAに対し、必要な場合は種まきを遅らせるよう農家への呼び掛けを要請した。
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