TPPへの露払い? 公的医療の縮小に懸念 医師会
TPPは、医療の市場化をもたらすものだが、それに向けた規制緩和の動きについて、医師会が“ライフイノベーションWGには、社会保障の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でも」同じ医療を受けることができる日本の優れた国民皆保険制度を守ろうという姿勢がみられない。国民皆保険は国家の責務であり、営利産業化させ、市場で競争させるべきものではない。”との見解を発表している。
【ライフイノベーションWGの検討項目に対する日本医師会の見解 2/16】
【規制改革案、「公的保険の範囲縮小」に懸念- 日医 CBニュース】
今日の日本農業新聞にも、TPPで地域医療が崩壊するとの記事がでている。
【規制改革案、「公的保険の範囲縮小」に懸念- 日医 CBニュース】日本医師会は2月16日の定例記者会見で、政府の行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」のライフイノベーションワーキンググループ(WG)による改革案に対する見解を発表した。見解では、改革による公的保険の範囲縮小への懸念を表明し、「縮小は断固として阻止」するとしている。日医は今後、与野党などに働き掛けていく考えだ。
見解ではWGの方向性について、医療そのものを産業として成長させる狙いがあるが、その結果、「国民皆保険の範囲が縮小することがあってはならない」とけん制。その上で、公的保険の範囲縮小を断固として阻止し、国民皆保険の堅持と、保険範囲のさらなる充実を求めていくとしている。
会見した中川俊男副会長は、ほとんどの検討項目が国の審議会などで慎重に議論されているとして、「頭越しに(3月末予定の)閣議決定にもっていくというやり方は非常に問題がある」と述べた。見解では、改革案の「医療法人の再生支援・合併における諸規制の見直し」に対し、営利企業による医療法人の支配や医療法人と営利法人などとの合併、事業譲渡による経営統合などについては「認められない」と反対している。
この見直しについて鈴木邦彦常任理事は会見で、「非常に大きな問題だ。株式会社の間接参入を意味するものにほかならない」と強い懸念を表明した。このほか、改革案では「地域主権の医療への転換」として、地域医療計画策定の際に都道府県の主体性が発揮されるよう、国による基準病床の算定式の提示や、国との協議義務を廃止するとしている。これに対し日医は、算定式に関する現行規定を廃止すれば現場に混乱を招くとして反対を明確に表明。また、「病床規制の見直し」についても、現行規定の廃止に反対しているほか、国際医療交流の推進を目的に、特例病床として開設・増床申請を許可するとの案は、「特例病床制度の目的とは全く適合せず、認められない」としている。
介護関連では、施設・入居系サービスを「ケア付き住宅」として統一すべきとの改革案に対し、サービスの特性や管理責任のあり方の違いから、統一は困難と指摘している。
一方、介護保険施設の多床室について居住費などを徴収するとの案には、適切な補足給付を支給することを確約しない限り、個室に入れない低所得者が多床室にも入所できなくなる恐れがあるとして反対を表明。施設・入居系サービスの統一なども含めて、社会保障審議会介護給付費分科会で審議する必要性を指摘している。
また、「介護総量規制の緩和」については、ある程度の規制は必要とする一方、市町村財政を優先した「恣意的な総量規制」には反対との姿勢を示している。■「公平な医療を守り続ける」―国民医療推進協が決議
また、同日開かれた日医など医療関連の40団体でつくる国民医療推進協議会では、「国民皆保険制度の下、いつでも、どこでも、だれもが公平に受けることができる医療を、これからも断固守り続けていく」との方針を決議した。
決議では、医療に市場原理主義が導入されて営利産業化されれば、公的医療保険制度は崩壊し、二度と取り戻すことができなくなると指摘している。
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