世界の食料価格は史上最高値を更新 FAO
FAO(国際連合食糧農業機関)が、1月の食料価格が史上最高値を更新したことを発表した。「この高価格は今後何ヶ月も続くだろう。」とし「食料輸入代金のやりくりの問題に直面する低所得食料不足国や、食料へ所得の多くを費やす貧しい世帯にとって重大な懸念となるであろう」と警告した。
そんな中、「国内農業を犠牲に自由貿易協定を推進してきた韓国の食料インフレ率はOECD諸国中の第二位」を記録したとのこと。
【世界の食料価格は史上最高値を更新
1 月に3.4%の上昇-FAOが食料価格指数を更新 FAO 2/3】
農業情報研究所は「 実際、世界中で食料インフレが起きている。チュニジアに始まり北アフリカ・中東全体に広がりつつある独裁政権打倒の動きは、食料・石油価格の高騰(と失業蔓延がもたらす生活苦)が引き金になっている。長期独裁への反撃が、どうして今始まったのか。それなしでは説明できない。
食料を輸入に頼る多くの国も、いずれ同じ目に会うだろう。国内農業を犠牲に自由貿易協定を推進してきた韓国の食料インフレ率はOECD諸国中の第二位になった(2010年12月、エストニアの12.2%に対し、韓国は10.6%。日本は1.0%)。経済躍進もストップするだろう。」と指摘している。
思い出すのは、1973年にアメリカが不作から大豆の輸出を70日間ストップさせた事件である。大豆のほとんどを輸入にたよる日本は、大豆製品が高騰した。
自国民を守るために、輸出をストップさせるのは、国家としては当然であろう。ブッシュ前大統領は、アメリカ農民の前でつぎのように演説した。
「食糧を自給できない国を想像できるか。そんな国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ。食糧自給は国家安全保障の問題であり、アメリカ国民の健康を守るために輸入食品に頼らなくてよいのは、何とありがたいことか」(01年7月)
さて、この大豆ショックを教訓に、各国は自給率の向上につとめた。
◇当時の各国の食料自給率は
英国 50%弱 ドイツ 65% フランス 100% 日本 約60%
◇そして今、
英国 111% ドイツ 96% フランス 215% 日本40%
さてTPPの行方は・・・
【世界の食料価格は史上最高値を更新 1 月に3.4%の上昇-FAOが食料価格指数を更新 FAO 2/3】FAO(国際連合食糧農業機関)日本事務所 2011年2月3 日
2011 年2 月3 日、ローマ – 世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視しているFAOの食料価格指数の最新版によれば、世界の食料価格は7 ヶ月間連続で上昇し、1 月には史上最高値に達した。
指数は 1 月に平均して231 ポイントとなり、2010 年12 月から3.4%上昇した。これはFAOが食料価格の測定を開始した1990 年以降(実質および名目で)最高水準である。変化のなかった食肉を除いて監視をしているすべての食品グループで大幅な価格上昇を記録した。
◆価格上昇
アブドルレザ・アバシアンFAOエコノミスト・穀物専門家は、「新しい数値は、世界の食料価格に対する上昇圧力が収まる気配がないことを明らかに示している」と述べ、「この高価格は今後何ヶ月も続くだろう。特に価格の上昇は食料輸入代金のやりくりの問題に直面する低所得食料不足国や、食料へ所得の多くを費やす貧しい世帯にとって重大な懸念となるであろう。」と続けた。
「今までのところ、唯一勇気付けられる要素は、豊作により世界価格に比して主食の国内価格が低い諸国が多く存在するということである」とアバシアンは加えて述べた。食料価格指数は、主として、食肉価格指数が調整されたことを反映して改定されたとFAOは強調した。この改訂は、遡及的に適用され、すべての指数が改められたが、1990 年からの全体の傾向には変更はない。
FAO穀物価格指数は、12 月より3%上昇し1 月には2008 年7 月以降最高の平均245ポイントとなったが、2008 年4 月の最高値に比べると依然11%低い。1 月の上昇は主に供給が逼迫する中で小麦とトウモロコシの国際価格が継続的に上昇していることを反映しており、他方、コメの価格は主要輸出国の主要作物の収穫時期と重なるため若干下落している。
-
油脂価格指数は、油料種子等の全体的な需給がますます逼迫してきていることを反映し5.6%上昇して278 ポイントとなり、2008 年6 月の水準に近づいている。乳製品価格指数は、12 月より6.2%上昇し1 月には平均221ポイントとなっているが、依然2007 年11 月の最高値より17%低い。乳製品に対する世界的に安定した需要があるところに南半球における(通常の)季節的生産減という背景が加わり乳製品価格を下支えし続けている。
砂糖価格指数は、12 月より5.4%上昇し、1 月には平均420 ポイントとなっている。国際的な砂糖の価格は世界的な供給が逼迫しているため依然高止まりである。
一方、FAO食肉価格指数は、飼料汚染事件を受けた消費者の信頼低下に起因する欧州での食肉価格の下落がみられる一方、ブラジルと米国の輸出価格の若干の増加に相殺され、安定して約166ポイントであった。
英文URL:http://www.fao.org/news/story/en/item/50519/icode/
« 官製ワーキングプア 「自治体は反省が必要」 総務大臣 | Main | 自己責任論を乗り越える 青年聞き取りから見えてくるもの »
「環境・農林漁業」カテゴリの記事
- 高額療養費、年金、高等教育、中山間地直接支払、周産期医療、学校給食 意見書案 2412(2024.12.08)
- 「原発」固執は、脱炭素の障害 再エネ普及の足かせに (2024.08.08)
- 農薬使用による食物のPFA汚染 規制に立ち遅れる日本 (2024.03.06)
- COP28総括 :不十分な「脱化石燃料」〜気候正義のさらなる連帯を FoE Japan(2024.01.16)
- 気候正義 残余カーボンバジェット あと数年? (2024.01.15)
« 官製ワーキングプア 「自治体は反省が必要」 総務大臣 | Main | 自己責任論を乗り越える 青年聞き取りから見えてくるもの »
Comments