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納税者憲章を隠れ蓑にした国税通則法の改悪

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 納税者の権利規定が極めて遅れている日本。ところが政府は、2011年度「税制改正大綱」は“「納税者権利憲章」を納税環境整備の一部に矮小化する一方、OECD報告書を歪曲し、「憲章」を隠れ蓑に、義務や罰則の強化など制定時に強い反対で立法できなかた部分を復活させようとしている。
 関本秀治税理士、湖東京至税理士・元静岡大学教授の論稿(商工新聞)と、税経新人会全国協議会の意見書。
【国税の基本的、共通的事項を規定 制定時削除の義務規定など復活狙う1/24】
【義務盛り込む政府税調の納税者憲章 1/17】
【税制改正大綱の納税環境整備に関する意見書 税経新人会全国協議会】

 意見書などの意味合いは、同会の副理事長のコラムがよくわかる。

【『孤族』化を推進する税制大綱】
・中小商店は地域のコミュニティーに欠かせない存在だが、その崩壊をもたらす。
・国民を番号で管理する社会となる。
・大綱では直接触れていないが、陰に隠れている消費税の増税。
として、権利侵害、応能負担原則に反するから反対だけでなく、まちづくりの観点からのアプローチも大切と説く。


【国税の基本的、共通的事項を規定 制定時削除の義務規定など復活狙う1/24】

国税通則法とは何か= 税理士・関本秀治

 国税通則法は昭和37年(1962年)に、それまで各個別税法に規定されていた納税義務の確定の手続き(申告、更正、決定等)、加算税や延滞税など国税についての共通する事項を一つの法律にまとめて規定すること、国税徴収法に定められていた滞納処分などについての規定を整備することなどを目的に制定されたものです。
 国税通則法の制定について当時の税制調査会の答申には、「実質課税の原則」、質問検査権についての統合的な規定、一般的な記帳義務など、課税権力の強化や納税者に新たな義務を求める規定などが含まれており、全商連をはじめとする納税者団体や学界、実務界などの強い反対運動で、問題のある5項目を除き制定されました。
 その後、審査請求を審査する協議団制度が「同じ穴のムジナ」という批判に対応するため、新たに国税庁の付属機関として国税不服審判所を設け、行政不服審査法の適用をほぼ全面的に除外する「改正」が行われるなどしています。
 右のような経緯から見て国税通則法は、大きな欠陥を持つものではありますが、国税についての基本的事項および共通的事項を定めた法律であるといえます。
 したがって、その中には申告納税制度(16条)、更正・決定等の要件としての調査の必要性(24~26条)、税額が過大であった場合の更正の請求(23条)、納税が困難である場合の納税の猶予(46~48条)など、納税者にとって活用できる規定も盛り込まれています。
 2011年度「税制改正大綱」は、「納税者権利憲章」を納税環境整備の一部に矮小化しているだけでなく、記帳義務の拡大、調査の事前通知の適用除外規定、帳簿書類などの提示と預かり(領置権)規定の創設、理由付記の差別的取り扱い、罰則の強化などが盛り込まれています。いずれも昭和37年の国税通則法制定の際に、納税者や学界、実務界の強い反対で立法できなかった積み残し部分です。それを「納税者権利憲章」という隠れみのを使って一挙に立法しようという財務官僚、国税当局の野望が露骨に示されたものとなっています。

【義務盛り込む政府税調の納税者憲章 1/17】

 湖東京至(税理士・元静岡大学教授)

OECD報告書の歪曲は許されない
 政府税制調査会「納税環境整備PT(プロジェクト)報告書」は、国税通則法に納税者の権利に関する条項を加えるとともに、権利の対抗軸に義務があるとして、納税者権利憲章(憲章)に「納税者の権利・義務をバランスよく記載すべき」と書いている。平成23年度「税制改正大綱」では、憲章の策定にあたり「税務手続の全体像、個々の税務手続に係る納税者の権利利益や納税者・国税庁に求められる役割・行動」を記載すべきであるとしている。すなわち、国税庁に求められる役割・行動(義務)と納税者に求められる義務を並列的に憲章に書くべきだとしている。
 しかし、憲章はその名称のように、納税者の権利だけを規定すべきである。なぜなら、納税者の義務はすでに各税法、国税通則法等に規定されているからである。
 政府税調PTが納税者の権利と義務のバランスをとるべきだと主張する根拠に、90年にOECD(経済協力開発機構)税務委員会が発表した『納税者の権利と義務に関する報告書』にその旨記載があることをあげている。だが、この根拠は誤りである。筆者は91年に同報告書の全文をフランス語版から翻訳した。この翻訳文はOECDから許可を得て、全国商工団体連合会によって『納税者の権利と義務(OECD報告書)』として出版された。

 「OECD報告書」の第1部では近年、加盟各国における国民の税負担が大幅に増加しており、課税庁の行政責任と納税義務はより重くなっているとし、「納税者の権利がはっきりと規定され保護されることによって納税者と課税庁が相互に信頼しあうことができる」と指摘している。そして「納税義務者の権利」「法を遵守させようとする課税権力の圧力について」の二つの面を検討するとしている。すなわち、納税者に対する権利と義務ではなく、納税者の権利と課税庁による権限強化の危険性について指摘しているのである。
 第2部では「課税庁は幅広い権限を与えられている」としたうえで「課税庁による権力行使は常に納税者の権利を侵す危険性をもっている」と述べている。そして「プライバシーの保護、課税庁に対する守秘義務、資料の入手、不服申立権は民主主義の基本的権利である」としている。
 さらに「納税者は税制度が公平であり、かつ、納税者の権利が明白に規定され、尊重されているなら、その協力を惜しまないであろう。ところが現実には、加盟国において、こうした権利が尊重されているという確信をもつには至っていない」と述べ、納税者の権利が確立していない国々を批判している。
 第3部は「各国における実施状況詳論」として、アンケート調査の結果を報告。その冒頭に「納税者の義務」の項を設け、納税者の申告義務、源泉徴収義務、その他の義務について諸外国の実情をまとめている。ここで記載されている義務はすでに加盟国の各税法に規定されている国民・納税者に対するごく当たり前の一般的義務であって、取り立てて納税者の権利と対峙するような税務行政上の義務ではない。
 すなわち、政府税制調査会や専門家委員会が納税者権利憲章に「バランスよく記載すべき」とする義務ではない。
 「OECD報告書」の狙いは納税者の権利を確立・法制化することにあり、決して義務規定を強化しようとするものではない。すなわち、加盟国に納税者の権利保護法ないし納税者権利憲章の制定を求めるために出版されたもので、権利とあわせて義務を併行させようという意図はまったく存在しないのである。

【『孤族』化を推進する税制大綱 副理事長 松田 周平】

年末から朝日新聞に『孤族の国』というルポルタージュが連載されている。孤族という言葉は聞きなれない。手元にある広辞苑にも出てこない。だが題名を見ただけで不思議とどういう内容か連想する事が出来る。毎日そのルポを読むにつれ、悲しいかなその連想が当たってしまう事にやるせなさを感じる。

仕事がなくなり収入が途絶え、身内にSOSを発信したくてもしづらい。受信する側も助けたくても助けられない。学生時代から引きこもりになり、そのまま社会に出られない・・・・etc。理由は様々あっても、小泉政権以後の新自由主義経済政策が大きな理由の一つであることは間違いない。政治が社会のあり様を大きく変えている。

平成23年度税制改正大綱もまた社会のあり様を大きく変えようとしている。成年扶養控除の廃止は、前記のルポにもあるが身内のSOSを無視する社会を助長する。しかも雇用情勢の悪化が指摘されている今日、方向が逆向きである。所得300万円以下の白色申告者への記帳義務化は、廃業勧告である。記帳が出来なければ低率の概算経費率の強要が後ろに控えている。東京の葛飾には小学校の近くに、駄菓子屋・文房具屋さんが多くある。店主は高齢の方も多い。その方は事業としてお店を出している訳でない。子供たちと話をする事で子供たちの変化もキャッチし、また自身の生き甲斐に繋がる。周りは店が出ている事で店主の健康も確認できる。中小商店は地域のコミュニティーに欠かせない存在だが、その崩壊をもたらす。

社会保障・税に関わる番号制度の導入も社会を大きく変える。大綱では 国民一人一人に一つの番号が付与されていること、 納税者が取引の相手方に告知できるよう、民ー民ー官の関係で利用でき、また、目で見て確認できること、 常に最新の住所情報と関連付けられていること、という条件を満たす必要があります、と謳っている。先のシンポジウムで石村耕治先生がキーポイントとして指摘していた共通番号と番号の可視化が、そのまま入っている。国民は常にカードを携帯し、取引する都度そのデーターは国家に吸い上げられる。番号で管理する社会において、憲法13条の個人の尊重が遵守されるのだろうか。

いま一つは、大綱では直接触れていないが、陰に隠れている消費税の増税である。ジャーナリストで『消費税のカラクリ』の著者である斎藤貴男さんは、増税が行われると多くの零細業者は廃業になり、飲食店はフランチャイズ・チェーン店、小売店はコンビニばかり、町工場は消え失せ、12年連続3万人超の自殺者は5万人、10万人へとハネ上がると指摘する。

これらが実施されるとますます『孤族』化が深刻になるのではないだろうか。これらの問題を考えるとき、権利が侵されるから反対・応能負担に反するから反対と主張すると同時に、街づくり・社会づくりという視点からアプローチすることも大切である。『寅さん』も旅先では一見『孤族』の象徴だったかもしれない。だが『寅さん』には彼をいつでも待っている家族や柴又という街があった。今でも参道のとある団子屋さんは、椅子を空けて彼の帰りを待っている。彼が帰らぬ人となってから『孤族』が深刻化したのは皮肉めいている。年始になりタイガーマスク『伊達直人』が脚光を浴びてきた。人情厚い社会を応援する改正にしたい。

【平成23年度税制改正大綱の納税環境整備に関する意見書 税経新人会全国協議会】 ◆意見書を掲載するにあたって  税経新人会全国協議会・制度部(平石共子部長)は、納税環境整備に関する意見書(案)を作成。全国常任理事で確認のうえ、12月25日、次の意見書を内閣総理大臣及び民主党、自民党、公明党、日本共産党、社民党、みんなの党に提出した。   今回の意見書は、平成23年度税制改正大綱のうち「納税環境整備」に関する意見書であり、税制改正大綱全般に関する意見書は近々完成させ公表する予定である。

(経過等)
 2010年12月16日、政府は「平成23年度税制改正大綱」を閣議決定し、公表した。
 これに先立ち、9月14日、税制調査会・専門家委員会の「納税環境整備に関する論点整理」が公表され、各委員の意見が紹介された。これには、国税通則法から独立した「納税者権利保護法(案)」とし「裁判規範性」のあるものにすべき。OECDの「納税者の権利と義務」に、義務の記載がある点については、必ずしも重視する必要はない。日本国憲法は、納税の義務を規定しているが、政府の徴税が過度に厳格となって国民の権利を侵害してはならない。事前通知には「調査理由の開示」を原則とすることを法制化すべきなどの意見もあった。
 ところがその後11月18日税制調査会「納税環境整備PTにおける検討状況について」、11月25日には、納税環境整備PT報告書が公表された。これは「平成23年度税制改正大綱」の冒頭に記載された「納税環境整備」の基礎となった文書で、「事前通知に関しては『調査理由』の記載がなく、また、通知しない例外規定を設ける。帳簿書類その他の物件の『提出』『提示』の規定を設ける。処分についての理由付記は記帳・帳簿保存義務の拡大と併せて実施する。」など納税者の権利を制限し、課税庁の権限を強化する内容となっている。
税経新人会全国協議会として、これらの問題点など12項目について意見を表明したものです。

政府は、昨年度の税制改正大綱に基づき納税者権利憲章(仮称)の制定、国税不服審判所の改革、社会保障・税共通の番号制度の導入につき税制調査会において議論を行ってきたが、12月16日、平成23年度税制改正大綱(以下「大綱」という)を閣議決定しました。

私たちは、納税者権利憲章(以下「憲章」という)の制定及び租税における適正手続きの法制化により憲法に掲げる納税者の権利が保障されることを強く要望し、TCフォーラム(納税者権利憲章をつくる会)とともに運動を進めてきました。それは国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など憲法の基本原則が税制、税務行政において確立されることを追求することです。

 したがって、憲章の制定や税務調査手続きの法制化にあたっては、現在確立されている納税者の権利が侵害されることはあってはならず、税務調査手続きにおいては課税庁と納税者との訴訟などを通じて到達した「国税庁の税務運営方針」「事務運営指針」より後退することは許されないことです。

ところが、大綱は、憲章の制定の義務付け、国税通則法(第一条)の目的を改正し、税務行政における納税者の権利の保護を図る趣旨を明確にするとしているものの、憲章の中に納税者の「義務」を記載すべきとし、税務調査手続きについては課税庁の調査権限を強化する内容が多く盛り込まれています。

平成23年度税制改正の策定にあたっては以下の点について是正することを強く要望します

1 納税者権利憲章から納税者の「義務」を削除し、「誠実性推定の原則」及び「プライバシーの原則」を規定すべきである
  憲章に記載すべき具体的な項目として「税務手続きの全体像、個々の税務手続きに関する納税者の権利利益や納税者・国税庁に求められる役割・行動」を掲げているが納税者に求められる役割・行動はある種の義務であり、義務はすでに各税法及び国税通則法に規定されており憲章に記載することは不要である。諸外国の納税者権利憲章などをみても義務を記載している例はなく、「憲章」が基本的な方針や施策をうたった宣言書や協約を意味することからして、納税者の権利は侵すことができない権利として高らかに宣言すべきである。

また、納税者の基本的人権を確保する上で欠くことのできない納税者の権利、すなわち「納税者が納税に関して行った手続きは誠実に行なわれたものとして尊重する誠実性推定の原則」及び「プライバシーの原則」が大綱にはまったく触れられていない。平成14年7月12日に野党3党(民主・共産・社民)共同提出の「国税通則法の一部を改正する法律案」にも記載されていたものであり、憲章に規定し、併せて国税通則法の基本理念にも明記すべきである。

2 事前通知は無条件に行なうべきである
大綱は事前通知を行なうことを法律上明確化するとしながら、「調査の相手方となる納税者等に関する情報、その他納税者等が営む事業内容に関する情報その他税務当局の保有する情報に鑑み、税務署長等が次に掲げる恐れがあると認められる場合は、事前通知は行なわない」とし例外規定を設けている。次に掲げる事項として「(イ)正確な事実の把握を困難にするおそれ、(ロ)違法若しくは不当な行為を容易にし、又はその発見を困難にするおそれ、(ハ)その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとし、加えて「上記の例外事由の具体例を通達に記載する」としている。これでは課税庁の恣意的な判断で事前通知なしの調査が横行しかねない。憲法が保障する適正手続きの観点からは無条件に事前通知を行なうべきである。

3 事前通知を文書で行なう内容に「調査理由の開示」を入れるべきである
大綱では事前通知書に記載する内容として、「(b)調査の目的(例:○年分の所得税の申告内容の確認等)とあるが、これでは何のための調査か納税者は具体的に理解することができない。任意調査である質問検査権の行使は、各税法に課税庁は必要があるときは納税者に質問し、検査することができると規定しているが、罰則で担保された間接強制的性格を有するものである。このように受忍義務を負う納税者に対して課税庁が調査理由を開示することは当然であり、法定化して義務付けるべきである。

4 「反面先」を事前通知の対象者にすることは反面調査を法定化することになるため削除すべきである
 大綱では事前通知に関し、反面先を事前通知の対象者とし「反面先には調査対象者の名称及び確認対象取引を通知しない。また、調査対象者本人には通知しない」としているが、税務調査は課税処分のために行なうものであり本来申告納税者が対象者である。

  国税庁の税務運営方針においても「反面調査は、客観的にやむを得ないと認められる場合に限って行なうこととする」とあるように通常の税務調査において行なうべきものではない。反面調査に対する法的整備がまったく検討されていない状況において、反面先を事前通知の対象者と規定することは削除すべきである。

  反面調査は取引先に調査対象者に関して誤った不信感をいだかせることになり、取引を停止されるおそれがある。また、反面調査を行なう場合に「反面先には調査対象者の名称及び確認対象取引を通知しない」とすると、反面調査先では、調査を受ける理由も相手方も知らされないまま調査を強制的に受忍させられる結果となり、「調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高める」とした、基本理念に反することになる。

5 課税庁による修正申告の勧奨は削除すべきである
大綱は調査終了時の手続きにつき、「実地調査により更正・決定等すべきと認められる場合には、課税庁の職員は、当該納税者に対し修正申告又は期限後申告の勧奨ができる」とし、修正申告等の勧奨を法定化しようとしている。調査終了時の説明において調査結果(非違の内容、金額、理由)の確定、納税者の不服申立て等の権利の説明が義務付けられれば、修正申告をするか否かは納税者の判断に委ねるべきである。申告納税制度の理念をふまえ、「修正申告の勧奨」を法定化すべきではない。

6 「再調査」ができる規定は削除すべきである
大綱は調査終了通知書が交付された後においても、「調査について必要があるときは、再調査ができることとする」としている。再調査できる権限を課税庁に与えることは質問検査権の拡大を招くことになり、これでは改正により調査終了通知書が交付されたとしても意味を持たないことになる。

7 帳簿書類等の「提示」「提出」の法定は削除すべきである
大綱は「課税庁の現行の「質問」「検査」に加え、調査の相手方に対し、帳簿書類その他の物件(その写しを含む)の「提示」「提出」を求めることができることとする」とし、現行実務上行なわれている手続について法令上明確化を図るとしている。しかし、物件の「預り」や帳簿書類等のコピーの「提出」などが実務上一部で行なわれているとしても、それは納税者の任意の協力の下で行なわれているものである。手続き規定として明文化することは納税者に対する義務化であり法定化すべきでない。

8 課税庁の増額更正期間を5年に延長することに反対である
大綱は納税者が「更正の請求」を行なうことができる期間を現行1年から5年に延長するとともに、併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長するとしている。「更正の請求」に関しては、課税庁による職権更正が5年間実施されている実態があることからも延長が要望されていたものである。増額更正の期間を5年に延長することは税務調査の対象期間を5年間にすることと同様であり、納税者に不利益になる規定を盛り込むことは容認できない。

9 理由附記は無条件で全ての処分に行うべきであり、白色申告者に記帳を義務付けることに反対である
全ての処分に原則として理由附記するといいながら、記帳義務・記録保存義務が課せられていない所得300万円以下の白色申告者に記帳義務・記録保存義務を課すことを条件にしている。課税庁による処分は行政処分であり処分を受ける者に理由を明らかにすることは当然のことである。所得300万円以下の零細事業者にまで記帳を義務付けることは、過重な事務負担を押し付けることになり反対である。また、記帳・帳簿等の保存が十分でない場合、「記帳・帳簿等の保存状況に応じて理由を記載」としているが、これは「保存状態」により納税者を差別することになり容認できない。

10 国民総背番号制につながる納税者番号制導入に反対する
大綱は税務面での番号制度は、すべての国民に付番することで課税庁は納税者の所得情報を的確に把握することが可能になるといっている。そのためには、取引相手に番号を「告知」、法定調書や納税申告書に番号を「記載」、税務当局への提出資料の電子データ提出の義務付け、税務行政における電子化及び情報連携の効率化の推進を検討するとしているが、納税者にとっては多大な実務負担を強いられ、税務行政においてはITその他膨大なコスト増を招くことになる。

さらに番号を税務に用いる場合、「国民に悉皆的に付番、一人一番号、民ー民ー官の関係で利用、目に見えること、最新の住所情報と関連付ける」という条件を満たす必要があるとする。このことは、番号をキーとして国にすべての個人情報が集められ、国に番号で管理されることを意味する。すなわち個人情報の漏洩や成りすまし犯罪を惹起し、また監視社会につながるものであり、そのような番号制導入には断固として反対する。

11 租税罰則の強化に反対する
大口・悪質な無申告事案や消費税の不正還付事案に厳正に対応する観点から故意の申告不提出によるほ脱犯の創設や消費税の不正還付未遂罪の創設により懲役若しくは罰金又はこれらの併科を課すとしているが、「脱税額の3倍が50万円を超える場合には、情状により脱税額の3倍以下」との注書からすると、単純なミスによる数万円の無申告事案等に対しても租税刑罰が課される恐れがある。また、租税刑罰の加重化となり、絶対に認めることはできない。

12 税理士法改正について
「検討事項」において、「税理士法の見直しに当たっては、税理士を取り巻く状況の変化に的確に対応する」としているが、このような状況の変化とは前述の納税者にとって過酷な義務を負わせる納税環境の改悪であり、このような環境の下税理士を課税庁の立場で監視させる役目を負わせようとする意図を感じる。

適正な申告納税制度を維持するためにも、税理士法第一条(税理士の使命)に、「納税者の権利を擁護する代理人」であることを明記することが重要であり緊急の課題である。
以上

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