マルクスに立ちケインズを知る /国債残高問題 備忘録
川上則道・都留文科大学名誉教授の著作。同氏とその父は、「日本経済の提言」で、国民経済のマクロ管理の手法をつかって不況、経済のゆきづまりの方向を、明らかにし、大きな反響を与えた。
1年数ヶ月前の本だが、何度が読み返した。とりわけ、国債残高問題をどうとらえるか、管理通貨体制をどうとらえるか・・など極めて知的刺激を受ける内容である。そのうち、国債問題の備忘録。
「kokuminkezaikeisan2011.doc」をダウンロード
結果として、以前の備忘録の意味を、よく深くとらえなおすこととなった。
【「財政危機の現状と打開の展望」 備忘録 2010/10】
【マルクスに立ちケインズを知る
国民経済計算の世界と「資本論」/09.9】
川上則道・都留文科大学名誉教授
【第Ⅰ部第3章 国民経済のマクロ管理と国民所得分析より】
④国債はどのような負担を未来社会に転嫁するのか
ⅰ負債は稼がなくては消えない
・経済学者 野口悠紀雄氏の興味深い見解の紹介
「国債は国の債務は増えるが、同時に国民には国債という資産が増える。内国債の場合、国全体としては負債と資産が打ち消しあう」「国が国債という形で国民からお金を借りて、社会資本を充実させることこそ、将来の世代に対する我々の責任」「“国債は将来に負担を残す”との間違った考え方を多くの人が信じ続けるならば、将来に対する責任を放棄することになる」(日本経済新聞1995.8.6)
・財政法は、国債発行を原則禁止。社会資本整備の建設国債は例外的に許可。/国債発行に関する特例法による「赤字国債」発行など、財政法の国債の原則禁止の条文は死文化しているが
→ 「建設国債」が許されるのは、国債のつけを残すだけでなく、社会資本など建設物を残すからで、負担の世代間公平の考えから。/ 野口氏の見解なら、財政法のこの規定はまったく無意味となる。一読して変とわかるが、野口氏が著名な経済学者という点が「興味深い」、経済学の専門家があやしげなことを書いている。
⇒ 国債(一般的には)が、将来の負担になるかという問題には、一定の分かり難さがある。/そこで原理的に考えてみる。
◇債務(借金)が残る(=負担、つけが残る) / 貸し借りの関係(債権・債務)が発生する、は同一ではない
〔さしあたり利子負担の問題は考えにいれないで述べる/ 利子問題は後述〕
例 Aさんが10万円借りると、10万円の債務が発生、しかしこの時点では、債務は残ることになっていない。
→ Aさんには、10万の債務は発生するが、同時に10万円の現金(金融資産)を持ち、金融純資産(金融資産―負債)は、債務発生の時点では変化していない。
→ 債務が残るのは、現金10万円を支出してしまった後(この支出は実物への支出で金融への支出を含まないとする)/ 金融資産・現金10万円はなくなり、債務は10万円で変化せず、金融純資産は―10万円
⇒ 債務が残るのは、現金を使ってしまった時。
◇債務で得た10万円を使った後で、債務を返却するとどうなるか
→ 債務10万円はなくなるが、現金(金融資産)は10万円減り、金融純資産は―10万円のまま
⇒ -10万円をなくすには、返却でなく10万円の所得を稼がなくてはならない。
・これを貸し手側とみると…
10万円貸したときには、債権10万円発生、現金10万円が減り、金融純資産は変化せず。
10万円返してもらった時も、債権10万円がなくなり、現金10万円が笛、金融純資産は変化せず
・つまり、ツケ(負債)は、お金を借りることで生まれるのでなく、使うことによって生まれ、そのツケは返すことでなくなるのではなく、お金を稼ぐことでなくなる。
→ ただ、お金を借りることは、使うことを前提とし、返すことは稼ぐことを前提としているので、「借りることでツケが生まれ、返すことでツケがなくなるように見える」
・野口氏の「負債の増加と金融資産の増加が打ち消しあうので、将来にツケを残さない」という誤りは明白。
・政府は、国債の売却代金を社会資本に支出した後には、国全体として、その分の負債は残る。
◇増税によって、国債所有者から政府が国債を購入する場合…
・国債所有者の金融純債務は変化なし。(債務→現金化)
・国民の所得の政府への一方的な移転(利子分は、増税でまかなう場合は所得の再配分となる、後述)
◇この問題がややこしくなるのは・・・ 国債の発行が、国民の側に金融資産を増加させるという国民経済上の関係もまた存在するから。
~ 国民経済に生産力の余力があり、生産の拡大を需要(支出)が抑制しているとき
→ 政府の国債発行による需要(支出)拡大が、民間部門の生産と所得が拡大、民間部門が国債を購入することが可能となる。金融資産を増加させる。
~参考/そのメカニズム~
「②政府部門による需要供給(収支差赤字)と国民経済の需要」
・前提 生産(=所得=支出)が100兆円
家計 所得70兆円 支出55兆円 / 企業 所得30兆円 支出 45兆円
・政府収入 家計部門から15兆円、企業部門から15兆円の所得移転/ 収入30兆円をそのまま支出/政府部門の収支差ゼロ
・家計部門 支出40兆円(55兆円―15兆円)、企業部門 支出30兆円(45兆円―15兆円)
・支出100兆円 = 家計40兆円 + 企業30兆円 + 政府30兆円
・家計部門 税引き後所得55兆円(70兆円―15兆円) 企業部門15兆円(30兆円―15兆円)
・税引き後の収支差 家計15兆円(55兆円―40兆円)、企業―15兆円(15兆円-30兆円)
→ この時、生産能力が110兆円(生産余力10兆円)あるとすると、支出(需要)10兆円を増加すれば、生産と所得が10兆円増加する / 民間部門の支出がのぞめなくて、生産余力がある場合、「政府部門の出番」となる。
・政府部門が通貨発行権を行使すれば需要を提供できる
→ 10兆円の国債発行 → 日銀が購入し、政府が10兆円を手に入れ支出する(日銀の政府預金口座が10兆円増え、そこから政府は支出。そのまま10兆円の通貨増発がされるわけではない) → 生産と所得が10兆円拡大する(→ 所得が拡大すると、それによって消費が拡大し、それが再び生産と所得を拡大するという、乗数効果がさらに作用するが、ここでは考えにいれない)
・増えた10兆円の所得が、家計部門、企業部門の所得を5兆円ずつ拡大
→ 税引き後の所得 家計60兆円、企業20兆円 /支出 家計40兆円 企業30兆円
→ 収支差 家計15兆円から20兆円、企業―15兆円から―10兆円に。= +10兆円
→ 資金を提供(貸す)ための余剰資金が10兆円。日銀が政府から購入した10兆円を民間部門が購入
→ 家計部門の収支差20兆円 企業部門の収支差-10兆円 政府部門の収支差-10兆円 計 ゼロ
・つまり、政府の支出の拡大による生産と所得の拡大により、民間部門の国債購入が可能となった。
・この点について、「生産と消費との矛盾」は資本主義経済の重要な特質。周期的な過剰生産恐慌によって、その矛盾を解決するが、/国債発行による需要の拡大は、この矛盾を解決はしないが、緩和する形態であり/生産能力と消費との矛盾を、政府部門の国債残高(借り)と民間部門の国債所有(貸し)とが拡大する矛盾、金融上の矛盾に転化したもの。
*生産余力がなく生産が拡大しない場合(結論だけメモ)
生産が拡大しないので、所得も増えない。政府の通貨発行権の行使により、物価上昇がおこり、実質値の縮小による政府部門への民間部門からの所得の移転が起こる/ その見極めが「潜在GDP」の概念(推計値、供給能力)
→ 実現GDP(需要)の潜在GDPに対する不足を「需給ギャップ」と呼ぶ。
(参考ここまで)
・国債発行が(メモ者/社会資本の形成などに使用されても)、国民の側に金融資産を増やすという国民経済上の関係もまた存在することは、野口氏の見解が、この関係が成立する場合には妥当性をもつことになる。
〔命題の確認〕
・借金で、ツケが増えるのはそれを使った時。/ツケがなくなるのはその分を稼いだとき
・国債発行で政府が支出を増やしたとき、その分のツケが生じるが /その支出分だけ生産が拡大し所得が増えているとすれば、その生産拡大により、ツケ分を稼いでおり、国全体としてみればツケが無くなる。
・国債発行による政府の支出拡大が輸入の拡大にむすびつき外国の生産と所得を増やし、その増加分で外国が国内政府の国債を購入する場合/ 国民(国内民)の将来世代にツケがまわる。/しかし国内部門も外国部門も世界部門として一括すれば、「世界民」の将来世代のツケは回らない。
・ただし国債が、国民の側に金融資産を増加させるという国民経済上の関係は必ず成立するわけではない。
・生産余力がない場合は、物価上昇、民間部門から政府部門への所得移転が起きる。国債は将来のツケとなる。
ⅱ 国債返済の先送りは可能か
・国債発行で需要拡大することは、増税の先取りでは必ずしもない/ それがそのまま将来の世代の負担になるわけでも必ずしもない。/09年度末の国債残高592兆円は、国民一人あたり463万円となるが、そのまま将来世代の支払うことにならない。
→ なぜか/ 国債発行残高の大半は民間部門が所有しており、それは政府部門と民間部門の貸借関係/ その関係が破綻せずにそのまま続けば済んで行くから / 民間部門が購入した国債残高を減らさず、そのまま所有し続けることがてきれば、政府部門は国債を返却しなくて済むから。
・発行した国債という借金を政府部門(中央政府)が本気で実行するには、政府部門を黒字にする必要がある。/増税、歳出削減による「収支差」の黒字化
・実際問題として中央政府の黒字化は不可能 国債収入30~50兆円 /借金返済どころではない
・国債残高拡大の最大の問題は、管理通貨の発行量をコントロールできなくなること /悪性インフレ、管理通貨の信用崩壊など財政危機の爆発
→ どのような状況で「財政危機の爆発」が起こるか /市中金融機関が国債購入を忌避。国債の供給過多で国債の市場価格の低下が見通せる場合、財政危機の真価で国債の信用が低下し国債の買い渋りと投売りが起こり、国債価格の低下と利子率の上昇が現実となった場合。/ 政府は、支出を減らす、増税が迫られる /それもできない場合は、国債の日銀引き受けに追い込まれる
・政府は、国債収入分だけ需要を民間に提供することになり、それが生産拡大にむすびつななければ、日銀券の供給量が過大となり、インフレを呼び込むことになる。
・「財政危機の爆発」をさける最も確実な方法は、国債を返却し、発行残高を減らすこと。だが、現実的に困難なので、/ 新規発行をできるだけ抑制し、政府と民間の貸借関係を今後も安定的に確保することが最も現実性をもつ。
→ 「財政危機の爆発」という問題は、将来世代の負担の問題というより、現実の直面する課題
◇利子分についての考察
・国債残高の増大は、将来世代の負担にまったくならないわけではない/ これまでの考察は、国債の元本分についてであり、利子分は除外してきた。
・国債元本による支出拡大は、民間部門の生産(所得)を、生産余力がある場合は、拡大させる
→か、利子分は、政府収入をその分だけ縮小させ、民間部門の生産(所得)にはつながらないので、利子分はそのまま将来世代の負担増加となる。(メモ者/ 民間の所得増が、支出、生産となる場合は???)
→ 国債残高500兆円で利子2%とすると、10兆円は、税金など政府の実収入でまかなわなければならない。
・政府の一般会計における国債費は主に利子分/約20兆円
→ 政府にとって税収も国債収入も収入としては同じなので、利子分は国債でまかなわれている状況
→ しかし、貸借関係の原則からは、利子分は実収入から支払われていると把握しなければならない。
→ 利子分が借り手の実収入から貸し手に移転。/貸借関係の本質の1つは借り手から貸し手への所得の移転
現在、税金など実収入のかなりの部分が国債残高の利払いに当てられている。
→支出の確保のために/国債収入に頼らざるを得ず。社会保障など不可欠な支出も抑制される
→ これが国債残高の累積による「財政の硬直化」 / 国債の問題を考える上で利子の問題は重要
・ 市中金融機関が国債を購入するのは優良な金融債権だから
→ 利子分は、税金に仲介されて国民の所得から国債所有者に移転していく。
◇以上、野口氏の見解を検討する形で、国債問題の種々の要因をあきらかにしてきたが/ 結局、政府は国民の立場に立ち、通貨発行量の管理とあわせて国債発行量の管理を適切におこなわなければならない。
→その際の管理指標として、国内粗生産(GDP)・国内純生産(NNP)と国債発行残高・民間所有国債額どの対比する数値(規模比率や増加率比率)が柱の役割を果たすと思われる/ なぜなら国債発行額と生産(所得)の増加との関連がとうなっているかが重要だから。
ⅲ 国債の徳政令は可能か
・累積国債の削減策について検討に値する政策提案をおこなっている小谷崇氏の見解を検討する。
小谷「日銀が必要に応じ、国債を金融機関から買い集める。/日銀が保有するようになった国債(たとえば50兆円)にたいして、政府は“債務消滅”を宣言/日銀はそれに照応するように“貸倒れ”措置を実施」。「こうすれば国債50兆円は消える。/ 日銀も国家機関の一員であるといえるから、“自分(国家)が自分に(国家)に貸したカネを‘ないこと’にした”だけで、なんの問題はおきない」
「国債残高が減少、元利払いのための“次の世代への増税”の必要もなくなる。/国債の元利払いに圧迫されての他の財政支出の圧縮の生じない。クラウディングアウト(金融市場の圧迫)も発生しない」
「ただし、一度に大規模に実行すれば、インフレが起こる可能性が大きくなる」、「インフレを防ぐために、日銀は、金融機関の日銀への準備預金の率の引き上げや… マネーサプライの総量がふえ過ぎないようにコントロールする必要がある。/これは、(国債買い入れが一度にあまりにも大規模におこなわない限り)十分に実行可能」、「一見、“乱暴な”方法に見えるが、むしろ合理的方法」(1996)
→ 当時、川上氏は/ 貸倒れ措置をとることは、日銀に50兆円の赤字が発生するが、「これが未解決であれば問題がおこる」と考えた。
→ が、今回の国債と将来世代の負担の問題の検討を踏まえ、再度本格的に考えた結果、「可能である」との結論に達した(ただし、以下の修正を加えてのこと)。
・小谷氏の論拠/「自分が自分に貸した金」なので「何の問題は起こらない」とした。
→ 貸借関係は、意思を前提とするが、客観的な事実で、「ないことにはできない」/それは「返却する」か「返却しなくてもよい」とする以外にない。/ 例 棒引き~「返却してないが返却したとみなす」こと
→ つまり、「ないことにした」ではなく、自分が自分に「返却した」ということ。
→ しかし、貸したお金を返せるのは使ってない場合。使ってしまった場合、稼がないと返せない。
⇒ しかし、「稼がなくても、お金を増やせれば」・・・・ これが現実になると、「ないこと」にできる。
・「日銀が政府に貸したお金をないことにする」ということだが…
→ 管理通貨制度のもとでは、日銀は無償で通貨を発行できる。/よって50兆円分の通貨を増発し「返してもらったとみなす」状況をつくれば可能
→小谷氏の見解を正確に言うと「管理通貨制度のもとでは、日銀が政府にカネを貸しても、それをなかったことにできる」
・次に、棒引きしたあとの日銀の50兆円の赤字をどうするか、という問題
→ これについても、日銀が50兆円の償却資産を計上すること(債務の削減を計上する)ができる制度にすれば済む
→ 日銀が、制度上、通貨(日銀券)の発行額だけの債務を計上することになっているのは、無価値な紙幣(通貨)を価値ある紙幣として発行する管理通貨のもつ矛盾を解決する運動形態である。/よって、通貨の発行額を減額するとはも、その額だけ債務を減額(金融資産を計上)する
→ 国債を減額する場合も同様な考え方で、国債を償却するための資産を計上することが合理的。
・日銀の立場で考えると
→ 日銀券の発行による金融資産(黒字)の獲得は日銀にとってほぼ無償だから、発行額だけ債務(赤字)を計上すれば、プラマイゼロ / 国債の減額は、金融資産(黒字)が日銀の責任でなく減額されるので、その額だけ、償却資産(黒字)を計上すれば、やはりプラマイゼロ
・政府部門の立場で考えると
→ 日銀は国債額と交換に通貨の使用権をその額だけ政府に与える /日銀所有の国債を減額できれば、事後的に、国債の棒引き額だけの通貨の使用権を日銀が政府に無償で与えたこととなる(すでに政府は通貨を使用しているから)。
【再度、典型的な流れの整理】
・需要に押さえられ、生産余力がある場合、政府が国債を10兆円発行し、日銀がその額分を購入。日銀の政府預金が10兆円増。
→ その預金を使い政府が支出10兆円を拡大(日銀の通貨発行額が増える)。/需要が10兆円拡大し民間部門の生産と所得が10兆円拡大する。
→ 民間部門は増えた10兆円の所得によって日銀所有の国債10兆円を購入/ 日銀から見れば、国債10兆円を販売し、流出した通貨を回収
→ 民間部門所有の国債10兆円の拡大、政府の国債発行残高10兆円の拡大
*ここまでが棒引き前の姿
→ 日銀が民間部門(市中金融機関)の所有する国債10兆円を購入。/市中金融機関の日銀預金が10兆円拡大し、市中に通貨が流出。
→ 日銀所有の国債10兆円を棒引き/ 結果として残るのは、市中金融機関の日銀預金残高10兆円拡大
→ 国債発行残高は10兆円減るが、市中金融機関の日銀預金残高が増えるので、日銀から市中への通貨流出が増えやすくなりインフレの危険性は強まり、/日銀による通貨発行量の管理は逆に強められる。
・では、小谷氏の「徳政令」的政策の評価は?
①国債の問題は、新しい発行をできるだけ抑制し、政府と民間の貸借関係を今後も安定的に確保することが最も現実性がある。
②小谷氏の提案は、この立場を大きく越えるものではない。が、国債残高の削減という点では、この立場を越える内容を含んでいる。それは以下の3点
a 棒引きの前段は、「政府と民間の貸借関係が縮小、政府と日銀の貸借関係が拡大」。棒引きは、日銀所有の国債の削減措置をとること。/政府と日銀はもともと政府部門内の関係で、日銀所有の国債を凍結すれば(国債の一定部分を売買の範囲から除外)、事実上、削減とおなじ意味を持つ
b 利子負担。国債を民間が所有していれば、利子分は、国民から政府を介して国債所有者に移転。/国債を日銀が所有しておれば、利子分は、国民から政府に移転 / 棒引き後は、国民から政府部門への利子分の移転はなくなる/ しかし、これも利子分の支払いを凍結すれば済む → 国債残高の利子分の国民負担をなくす点で、非常に有益な政策
c 凍結などでも国債残高の「徳政令」的な削減とおなじ効果をもたらすが、/ 実際に、国債残高の削減が明確になると、財政危機からの脱却の程度が明らかになり/デモンストレーション効果を持つ
・国債削減は、中央政府の収支差を黒字にするしかない。/しかし、現実には無理な状況/ では、棒引きが、なぜ、簡単にできるのか
→ その理由は、管理通貨制のもとでの日銀による国債購入/ 日銀は管理通貨を無償で発行できる/ 棒引きとは、この無償で購入した国債を廃棄たるだけのこと。
→ この措置は、政府部門内部の対策なので、民間において損失を被る人はでてこない。
◇よって、国債残高の棒引きがどの程度達成できるかは、日銀による民間からの国債の購入がどの程度可能かにかかっている。
~ また、民間金融機関から国債10兆円を購入するのに、日銀券10兆円が必要なわけでもない。民間金融機関の日銀預金を10兆円増やせばよい。
・日銀の国債購入は/ インフレの危険性を高める /政府の財政規律を緩める、 という問題点はあるので、/日銀自身が「銀行券ルール」(長期国債の保有残高が、日銀券の発行残高を越えないようにする)で歯止めをかけている。
→ 棒引き策は、魅力的な政策だが、実行にあたっては、その時点の経済情勢を十分に見極めつつ慎重にすすめる必要がある。
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