潜水艦艇誘致の危険 宿毛湾・米日艦艇入港
昨日、米揚陸艦と自衛隊の同系艦艇が合同訓練の一環として宿毛に入港した。
質的に新たな段階である。以前から防衛関係者の間では、宿毛湾は、空母の寄港先など名前があがっていたが、民主政権の潜水艦増強により、配備先として宿毛湾が軍港として狙われる危険性がある。そうなれば宿毛湾漁業は壊滅する-- 宿毛湾非軍事ネットットワークの論考を転載。
【なぜ豊後水道で、日・米艦船合同訓練が今!1/24】
【なぜ豊後水道で、日・米艦船合同訓練が今!1/24】◇「殴りこみ部隊」
1月19日付高知新聞が「米揚陸艦、宿毛入りは合同訓練、同時寄港、海自艦と佐伯沖で」と報道した。「トーチュガ」は佐世保を母港とする敵前上陸の部隊であり、海外へは海兵隊を乗せて出撃する。「しもきた」は1998~2003年にかけて設置された3隻の海上自衛隊・輸送艦部隊のうちの1隻で、いずれも呉に配置された。この艦種は強襲揚陸艦とよばれ、その名のとおり、「海外への殴り込み」艦隊である。
日・米の揚陸艦にはLCAC(エルキャック)とよばれるエアクッション艇が装備され、重量75トン(戦車と戦闘部隊)を搭載し、時速75kmで海上から海岸線を越え、内陸部まで運ぶことができる。LCACの騒音は1km離れた地点でも75~90デシベル(騒々しい工場内の音と同じ)で、佐世保や呉の市民から厳しい批判をうけ、猛烈な海水のしぶきで住宅や車などに塩害をおこし、問題となっている。
「災害を想定した訓練」が「うそ」であることは、1999年から災害訓練目的と言いながら、米軍揚陸艦「オートマクヘンリー」との自衛艦の共同演習で、LCACの相互乗り入れ訓練をしていることからも証明されています。災害訓練がどうして海上で揚陸艦同士がやる必要があるのか、揚陸艦のLCACやヘリコプターなど戦闘用機種の「輸送」であり、明らかに軍事演習である。問題は「災害」のウソの名目で、民間港湾や漁場となる海域で、一方的に軍事訓練をすることを許せば、米軍と自衛隊はどこでも勝手に演習ができることになり、防衛省、海上保安庁の責任問題である。◇「リマ海域と宿毛湾寄港」
防衛省のホームページに、豊後水道南方「Lー3」(リマ)区域で、1月25~28日に毎日6:00~18:00自衛艦10隻、対空射撃、水上射撃訓練が行なわれると告示されている。「トーチュガ」と「しもきた」が24日に佐伯入港し、27日宿毛湾離港する日とほぼ重なる。自衛艦10隻は最大級の訓練隻数である。当然、米艦船中心の合同訓練とみられ、今までのイージス艦宿毛湾入港時も同時期に「リマ海域」で訓練が行われていた。また、昨年12月3日~10日まで日米共同総合演習が四国南方(リマ)海域で海上作戦として行われている。「リマ海域」で、すでに1月12~13日に、今後も2月7~8日、2月14~15日にも自衛艦と航空機の射撃訓練が告示されています。12~2月に5回も射撃訓練が行われることになり、今後ひんぱんに行われる合同演習の度に宿毛湾への合同寄港をねらったものとみられる。◇宿毛に「潜水艦隊誘致」の危険性
佐世保市の市長・議長・商工会議所会頭は、海上自衛隊の新たな潜水艦隊誘致を12月20日に防衛省に要望した。応対した防衛政務官の広田一参院議員は「(潜水艦を)増やすことは決まったが(配備先など)具体的なことは今から。」と応えている。呉基地には、海上自衛隊第一戦水隊群があり、12隻の潜水艦が配備されており、護衛艦4隻、輸送艦3隻、LCAC6隻、掃海艇6隻など51隻の艦船が配備されている。
以前より、海上自衛隊の艦船を呉基地から宿毛湾に移す意向があり、石破茂・元防衛大臣も「呉のような内海に潜水艦の基地があるということが、軍事的に、いかに非合理か。外洋に出るまでの間、浮上して航行しなければならない。潜水艦は浮上しているあいだは「どうぞ沈めてください」といっているようなものですから。」と述べている。軍事評論家の森本敏氏も「ここ(宿毛湾)は旧軍のとき連合艦隊が入港していた。しかも米軍の岩国基地に近い。日本から見て西側のオペレーション、つまり東シナ海や南シナ海にいつでも展開できる喫水の深い天然の良港です。もう一つ空母が寄港できる港を探すべきだった。いまでもそうおもっています。」(「国防の論点」)とのべている。また広田一氏は「私も防衛大臣政務官として、・・・現場で活躍する隊員諸君が安心して任務に邁進できる環境の充実、整備に全力をつくす所存です」(自衛隊ニュース1月15日)とのべている。
潜水艦隊は最も厳しい環境に有り、宿毛湾に配置できれば、その他の艦隊、米艦船ともに使用できる休憩所、娯楽所、弾薬庫、燃料庫などが設置される可能性がある。と同時に、宿毛湾に米軍・自衛隊の制限水域が拡大されるだろう。佐世保は83%が米軍制限水域で湾内漁業は壊滅している。◇「宿毛湾漁業は大打撃」
米艦船の船底には、日本で禁止された有機スズが塗られているとみられる。アメリカは有機スズを使用禁止する条約に加入する条件として、艦船は枠外とし、東南アジアの未加盟国の造船所で塗り続けているといわれている。有機スズは猛毒で、貝や海草が船底につかないように、海水に解け出るため、魚の汚染が問題となっている。
また、艦船は大量の武器、弾薬、水などを積み下ろすために、バラスト水で調整する。佐世保や横須賀は米艦船の接岸地埠頭の海水が高濃度のダイオキシン汚染で問題となった。ここで、入れたバラスト水ガ、宿毛湾で出されているが、県は調査しようとしない。西日本有数の漁場であり、シラスや養殖業はじめ漁業環境を守る努力を、なぜおこなわないのか。佐世保や呉には、1羽のカモメも飛んでいない、それは、汚染がひどくて、餌になる魚がほとんどいないためだといわれている。艦船入港が頻繁になるほど、宿毛湾漁業は危険になり、事故も予測される。◇「米軍犯罪は低下しない」
佐世保市基地対策課によると、1998年~2009年に、米軍犯罪が155件(凶悪・粗暴・窃盗・風俗犯など)、交通事故が1228件(死亡・人身・物損事故)で、少しも減る傾向がみられない。軍隊内での強度のストレス、日本人への蔑視、米犯罪者への特別待遇などが背景にあると言われる。「酒と女性」にかかわる犯罪が特徴となっている。米兵は、女性に積極的に接近し、メールなどで誘い発見されにくい場所でレイプ、強制猥褻する例が多く表面化しにくい。子ども、女性の安全の為に、対策をたてるべきである。
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