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若者の非正規化は成長基盤弱める 第一生命研

 第一生命経済研究所の家計の貧困シリーズの第三弾。
「 若年労働者が正社員として能力開発されず、非正規雇用にとどまる社会は、将来に亘って生産性を高める力量を低下させる点で極めて深刻である。」とし、「最大の問題は、企業が昔のように若年労働者を大量に採用し、無差別に手厚い人材投資をしなくなったことにあると考える。」と指摘する。
 95年、経団連が発表した「新時代の日本的経営」が、貧困の拡大だけでなく、成長の停滞をもたらし社会的に破たんしていると読める。
【なぜ、家計は貧しくなったか(若者編)~若者に人的投資を増やさないと成長基盤は弱体化する~11/24】

 そして来年は、再び非正規が多くなると予想している。

「非正規化は、労働供給の面からみれば、新規採用の若者達が正社員として受け入れられなかったことが大きい。」「これまで、就職者数が減少する時期には、それと対照的に、非正規化・非労働力化する数が増えている」として、2011年3月卒業予定者の内定率が96年以降で最悪となる状況から「再び多くの非正規雇用者が輩出され、労働力の流動化がさらに進むと予想される」。

 企業の人件費負担が軽くなっても若者が雇用されてないことを指摘する。

「企業が人件費負担は、団塊世代の退職が終わって、以前に比べて性急に固定費削減をしなくてはいけない必然性はなくなっているはずだ。企業の人件費負担に占める若年層の負担度合いを計算してみると、経年変化では大幅に低下していることがわかる。表現を変えると、人件費が軽くなったからと言って、新卒採用を活発にするようなカウンターパワーは働いていないのである。」
「足元の需要が減退するときには、その需要サイズに合わせて投資が削減され、投資削減がさらなる需要減退を引き起こすとされる。投資を「正規雇用」という主体に置き換えると、新卒採用が需要低迷の悪循環に引きずり込まれている現状がよく説明できる。」

 ~ くらし中心、内需主体の経済成長戦略が必要である、と思う。

 レポートは、
「最大の問題は、企業が昔のように若年労働者を大量に採用し、無差別に手厚い人材投資をしなくなったことにあると考える。これは、企業組織の中に蓄積された成果を発揮するための知識ストックの弱体化につながる。
経済成長の核心は、資本と労働の単純な要素投入量ではなく、人的資本(スキル)が生み出す技術革新にある。人的資本のストックは、研究開発を通じて成果を生み出す知識ストックとニアリー・イコールの存在である。企業がマクロ的な人材投資のコストを絞り込んだとき、人的資本のストックから収穫される技術進歩の成果も逓減していくだろう。人口減少の作用は、企業が人口減少のトレンドに応じて想定する成長期待を下方屈折させ、国内設備投資や新卒採用、若者への人材投資などインプットを手控えることで、次第にアウトプットの低下にまで影響してしまうことにある。」
 と、若者への人的投資の必要性を示す。
 
 そして、技能労働者の不足感について、
 「企業が入社してから生え抜きで技能労働者を育てる活動が、90年代からの新卒採用抑制によって停滞したせいで、労働市場を仲介しても必要とされる技能労働者を調達するニーズを満たせなくなっているとみることができる」
 と、コスト削減をすすめた雇用の流動化政策が、ここにきて経済成長の面で大きな問題を生み出していることを指摘している。

 

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