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引き返す勇気 合築図書館構想

 県市合築図書館の検討委員会が、本体、子ども科学(図書)館、点字(読書障害)図書館の3つの検討委員会で、議論が開始されているが、「理念」「基本目標」という柱の部分があいまいなうえに、追手前小学校跡地の4割、高知市の合併特例債の期限にしばられた計画づくりの「無謀さ」が明々白々となってきている。以下、ざっくりと感想的に整理すると・・・

①合築で、安く出来、サービスが向上する。というのが最大の「売り」だった。
「駐車場が不可欠」として、一階を駐車場にする(60台)、地下駐(100台)など、当初なかった案がでできた。その規模も少な過ぎるが、地下駐までつくって建設費が安くなるという「理由」をどう説明する? 県教育長は、建設費で浮いたお金で、「子ども科学館をつくる。10億円を確保したい」と聞いているが・・・結局、合築で、より金かかかるということである。
 また、地下駐建設の財政負担に高知市が同意するのか。という問題もある。
②子ども科学館は、県外にながれる貴重な標本の置き場をふくめ身近な理科教育に結びつく科学図書館としての機能か、政府の旗ふるイノベーションに接する機能か、という根本的な話が、検討会に丸投げされていることが問題である。
 また、高知市は、目指す科学図書館という内容が満たされなくても、財政負担をおこなうのか、運営費もバカにならないと思うが、聞いてみたい。
③点字図書館・・・これは認識不足だったが、読書障害というもっと幅広い範疇の対応がもとめられている。点字図書館を市にまかせることは、「あり」かもしれないが、読書障害に対応するセンター機能は県の役割である。
 しかし、検討委員会では、市まかせで、県は正式メンバーは出てきてない。
④県と市の2人の館長、子ども科学館長、点字図書館長と、1つの建物に4人の館長がいて、どう指揮命令と責任の分担ができるのか・・・ まったく不明。
⑤中心街にすくなくとも5階、または6階(図書館は、1階の高さが通常のオフィスビルよりも高い)の巨大な箱が立つことになる。城周りには、市は、高度規制をかけてきたが、「景観保全」はどうなるのか。
⑥当初、仮に人を増やさないことが可能ならば、浮いたお金で、図書購入費を5千万円(交付税措置分)に引き上げる、という説明だったが・・・ 県立図書館は「人」が要となり、司書を増やす方向が出てきた。これは予想されたことだが、当初構想の前提がくずれた、というか「理念」をはっきりさせる必要性を示した。
⑦図書購入費も5千万円ではまったく足らない、ということで1億円に増額する構想をしめしてきた。そうすると書庫はさらに早く満杯になることとなる。(現在、県立は58万冊を持ち、年間、購入1万冊、寄贈1万冊であるが、これが購入4-5万冊となり、県立書庫分は10年もたないのではないか。そのとき、書庫棟の建設費はどう分担するのか)
  ここでも「安くあげる」という話は破たんしている。
⑧3つの検討委員会が別々に構想を検討しているが、これを1つにまとめるのをどうするのか。もう1つ全体にかかわる検討会を設置しないと調整できない。ということで、そうしたモノを急きょつくるらしい。そのときに、個々の検討会で協議してきた内容がきちんと活かされるのか。キャッチボールしながら調整するには、時間があまりにも不足している。
⑨市民図書館の本も、全県から借りられる方向であり、高知市民のサービス低下にならないか。またそれを市民は合意しているのか。
⑩公文書館はどうするつもりか・・・

 検討委員の1人、ひまわり乳業の吉沢社長がブログ「にっこりひまわり」で書いている意見は、極めて正論だと思う。

【進化する図書館と進化しない図書館】 2010年12月5日(日)快晴!

 ここは日曜朝の追手筋。日曜市が準備を始めちょります。観光客さんは、街路市ということで朝市と思い込み、トウからやって来る方もいらっしゃいますが、7時過ぎに行っても、まだ準備しゆうお店が多いのでご注意ください。
 ここは追手前小学校北東の交差点。これをまっすぐ向こうに行くと高知城の追手門。写真中央の街路樹の向こう側に追手前小学校の校舎がちょっとだけ写っちょります。その左手に運動場のある空間が。
 今、高知県と高知市で、県立図書館と市民図書館をいっしょの建物につくろう、という話が急遽持ち上がり、検討されよります。
 それで思う事。
 確かに役割が違うとか、組織をどうするとか、色んな議論はあります。しかし、一番重要なのは、どんな図書館をつくりたいかという「理念」。こないだも書きましたが、図書館とは「理念」であり「ネットワーク」であり「システム」であり「機能」ながです。そして、ニッポンの図書館も、どんどんと進化しよります。
鳥取県立図書館とかを見ればしゅっとわかります。図書館は子供の「教育」と大人の「生涯教育」である、というのは、現代の図書館のほんの一面しか捉えちゃあせんということを。それを教育行政や、自治体トップの方々が認識せんと、結局、今の図書館の延長線のものしかできず、ハッキリ申し上げて全国最低レベルのものの延長線上のものしかできん、ということながです。社会の発展、ビジネスの発展、雇用の増加、教育水準の向上、文化度の向上などなど、これからの高知をつくりあげていく重要なツール、ネットワークをつくるせっかくのチャンスながですけんど。
 ですきに、まずは「理念」。しかしそんなことを言いゆう時間が無い、と言われます。しかしこれが一番需要。今までの延長線上でカマンやか、というがか、世間に取り残されんように役立つ進化型図書館をつくろう、というがか。
 鳥取は、高知と同じようにお金が無いなか、進化型図書館に投資しました。今も進化しつづけちょります。何に力を注ぐべきか、という考え方の問題ですね。
この場所に建設すると、ご覧の通り、日曜日は車の出入りが大変ですし、そもそも駐車場をほとんどカマエれれません。その話を、県外有名進化型図書館長さんにお話しましたら、「論外です」と、鼻で笑われました。」

 6日には、県内の幅広い文化人、著名人64名が「異議あり」の意思表示をした意味は重い。さらに広がりをみせている(以下、アピール文と呼びかけ人)。

Img006_2

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 ◆「新時代の図書館をつくる高知の会」結成の会
  12月12日(日)14:00/女子大永国寺キャンパス南舎137号教室 


 またまちづくりにかかわってきた人、若手企業家の中でも異論がひろがってきている、と聞く。

 県は、森林環境税の使途を、まっとうな方向に是正した。当初、「よかれ」と思って判断したことも、ちがっていれば「引き返す勇気」が大事だと思う。

 ちなみに知事の12月議会と9月議会の提案説明を見比べてみた。

◇9月議会 「県市一体型の図書館では、県市がそれぞれ単独で整備した場合に比べ、施設整備費で約18億円、運営費で年間1億円程度の削減が見込まれます。また、来館者への貸し出しなどの重複する機能を整理統合し効率化することも可能となります。  こうした効果を生かして、県は、図書の購入量を大幅に増やし、また、市町村支援など全県的な図書館政策の推進や調整の機能を強化することができます。利用者にとっては、ポピュラーな本から専門書まで1カ所で借りることができるため、利便性が格段に高まります。さらに、こども科学館などの新たな付加機能の整備も可能になるものと考えております。  また、追手前小学校の敷地は、公共交通機関でのアクセスが良く、車の運転ができない子どもやお年寄りなどの利用者に大変便利な場所にあり、また、学校や大学のある地区でオフィス街や商店街にも近いことから、学生、社会人など、より多くの方々に利用していただくことが可能です。さらに、結果として、中心市街地の活性化につながるという相乗効果も考えられるところであります。」
◇12月議会 「第1回の検討委員会では、各委員の皆様から、県と市の図書館の役割や機能のあり方についてのご意見をはじめ、合築で整備することに対する不安、新図書館には他に負けない情報提供施設を目指してほしいといった期待など、様々なご意見をいただきました。  また、先月23日の第2回の検討委員会では、新図書館の担う役割や機能について、県・市の考え方をお示しした上で、委員の皆様からは、専門性の高い司書を配置すること、市町村図書館に対する支援を充実すること、学校図書館の活性化にも寄与すること、将来を見通したシステムや面積を確保することにより進化に耐え得る図書館を造ることなど、より高いサービスや機能を求めるご意見をいただいております。  今後の検討委員会では、新図書館が保有すべきこうした機能をいかに実現していくかといったことなどについて、単独で整備する場合と追手前小学校の敷地に一体型で整備する場合とを比較しながら、委員の皆様に議論を深めていただきますとともに、県民の皆様のご意見を直接お聞きする機会も設け、十分な議論を尽くした上で、教育委員会において基本構想を策定してまいります。」

・・・ 9月県議会の議会の勉強会で、今回検討委員になっている斉藤元鳥取県立図書館長は「行政は図書館のことをまったくわかっていない」と発言していたが、すくなくとも実施された検討会の中で、「図書館とは何か」の認識が深まったことはたしかだろう。トーンの違いは、その反映だろうか。

 第二回検討委員会の冒頭、県教育長は、検討会の目的を「合築案をつくること」と議会の説明と違う強引な運営をおこなったが、知事は、「検討委員会では、新図書館が保有すべきこうした機能をいかに実現していくかといったことなどについて、単独で整備する場合と追手前小学校の敷地に一体型で整備する場合とを比較しながら」と今議会の提案説明で明確に語り、「十分に議論をつくした上で」とも約束している。

 今後半世紀、県の図書館行政を担う中核施設のあり方である。まさに「十分に議論」することが求められている。

 高知市にしても、県がきちんとした県立図書館をかまえれば、市民図書館は、開架スペースを軸にした滞在型の図書館をつくる展望がひらける。と思うのだが・・・

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