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進化する「公契約条例」

 川崎市の公契約条例が可決した。あまり報道されてないが、9月に野田市が公契約条例が重要な改定をおこなっている。もともと野田市長は民間委託推進論者なので、民営化のツールとなる危険性がありつつも、一旦制定すると他の部分に光があたり改善の力となる。それを受けて後発自治体の条例がさらに進化する-—この流れが重要と思う。
【政令市初の「公契約条例」可決、来年4月に施行/川崎市 神奈川新聞12/16】
【川崎市契約条例の一部を改正する条例新旧対照表】
【野田市公契約条例の一部を改正する条例案の概要】

◇川崎市の内容は・・・
・予定価格6億円以上の工事請負契約と1000万円以上の業務委託契約で警備、施設維持管理、清掃など人件費の割合が高いもの
・労働者の作業報酬下限額を、公共工事設計労務単価や生活保護を基準に外部委員による審議会で定める。
・指定管理者や保険料逃れ、偽装請負が懸念されている「一人親方」も対象とする。

◇野田市の改定内容
①業務委託における適用範囲の拡大と職種別賃金の導入
・委託の場合、時間給829円としてが「施設の設備と機器の運転管理業務及び保守点検業務」はもともとうわまわっており、給829円を上回っており、効果がないので「職種別賃金の設定が可能」とする。
・清掃業務など実際が低価格なものは1000万円以下も対象とする。

②継続雇用の確保
・受注業者の入れ替えにおいて、継続雇用を「努力義務」として規定する。
・複数年にわたる契約できる「長期継続契約の拡充」

③下請負者の請負額
・受注者が、建設業法又は下請代金支払遅延等防止法を遵守し、対等な立場における合意に基づいた公正な契約を結ぶ、という趣旨の規定を追加
・低入札価格調査制度の拡充等(著しく低い入札を直ちに失格とする内容)

 なお野田市と川崎市の1人親方についてのパブコメで回答しているが参考になる。

◇野田市
【意見】請負的労働者(一人親方)を保護するために、野田市が定めた2点による保護(ア、資材の調達を
自ら行わない イ、建設機械その他の機械を持ち込まない)は第一歩であり、今後の検討課題として、IL0(国際労働機関)が提唱する198号勧告にもとづく検討が必要と考える。
検討する方向として、請負的労働者(一人親方)は、他人に労務を提供しその対価としての報酬を得ることによってしか生活することができず、労務供給契約の締結と展開過程においてその内容を対等な立場で決定できない関係にあるので、使用従属関係(人的従属性)又は経済的従属関係(当該報酬により生活を維持している関係)いずれかを満たしていれば労働者性を肯定することが必要と考える。

【回答】いわゆる一人親方について、より広い範囲で条例の対象にすべきと考えていますが、請負金額から資材等の必要経費を除く実質賃金部分を算出することが困難なことから、条例の実効性を確保するため、実質的に日雇労働者と同視できる場合のみ、条例の対象としたものです。
一人親方の問題についても、国が公契約に関する一連の法体系等の整備の中で解決すべきものと考えていますので、公契約法の制定と併せて国に働き掛けてまいりたいと考えています。

◇川崎市
「いわゆる「一人親方」についても条例の適用労働者といたしますが、その確認につきましては、受注者から提出される労働契約の形態等を明記した資料により確認することを考えております。
条例の範囲につきましては、建設工事や業務委託に直接携わっている者を範囲とすることで、条例の実
効性の確保を図ったところでございます。」

 ・・・いずれにしても、こうしたチェックをするには、人手、体制が必要であり、多忙化の進む公務職場の改善は、市民の暮らしを守るにも重要である。

【政令市初の「公契約条例」可決、来年4月に施行/川崎市 神奈川新聞12/16】

 川崎市議会は15日、本会議を開き、市契約条例の改正案を全会一致で可決した。公共事業の品質と労働者の最低賃金を担保する「公契約」の条項を盛り込み、実質的には「公契約条例」の内容で、制定は政令指定都市では初めて。来年4月に施行される。
 不況や公共事業の減少などの影響で、低入札や下請け業者の低賃金化などが問題となっていることが背景にある。市は公共事業の品質と労働者の報酬を担保する狙いで、条例改正を検討していた。
 公契約条例は、千葉県野田市が2009年9月に制定しており、川崎市は全国で2例目。対象に指定管理者を盛り込み、下請けとして従事するいわゆる「一人親方」を対象労働者の範囲に入れたのが特徴。ただ、議会からは、熟練と非熟練の報酬について同一の基準が設けられることについて懸念する声も出ている。
 対象となるのは、予定価格が6億円以上の工事請負契約と、1千万円以上の業務委託契約のうち警備、施設維持管理、清掃など人件費の割合が高いもの。公共事業従事者の賃金や市の生活保護基準を参考に、新設する外部委員による審議会を通じて作業報酬の下限額を定める。
 条例では発注者の市と受注者の双方の責務を明確化。受注者は、下請けを含む対象労働者の名前、職種、労働時間、作業報酬額などを記載した台帳をあらかじめ作成し市に提出する。
 立ち入り調査や是正措置の求めに応じなければならず、改善されない場合、市は契約解除などの措置を講じる。


【野田市公契約条例の一部を改正する条例案の概要】 

《改正の趣旨》
今回の改正には、大きな三つの目的があります。

 一つは、業務委託における適用範囲の拡大と職種別賃金の導入です。
現行条例では、対象とした3種類の業務委託(施設の設備又は機器の運転管理業務及び保守点検業務並びに施設の清掃業務)について、市と契約した受注者は、当該業務に従事する労働者(下請負者に雇用される者等を含む。)に対し、千葉県の最低賃金である時間給728円を101円上回る時間給829円を支払わなければならないとしています。
 公契約条例を施行したことで、清掃業務については、千葉県の最低賃金ぎりぎりの水準であったものを引き上げることができ、官製ワーキングプアの解消に向けて確実な効果があったと考えます。
 しかし、施設の設備と機器の運転管理業務及び保守点検業務については、元々時間給829円を上回る賃金水準であったことから、実質的な効果はなかったと言えます。このため、業務委託についても、時間給829円という一つの基準ではなく、工事と同様に職種別の賃金基準が必要と考えられることから、職種別賃金の設定が可能なように規定を改正しようとするものです。
 さらに、予定価格1,000万円未満の清掃業務は、現行条例の対象となっていないことから、官製ワーキングプア解消のためには、この問題についても対策を講じる必要があります。このため、清掃業務のように、実態が低賃金であることから、速やかに是正しなければならない業務について、予定価格1,000万円未満のものも条例の対象とする規定を追加しようとするものです。
 なお、市としては、今後、条例の対象とする業務委託の種類を拡大していきたいと考えていますが、工事(工事の基準は、51職種について農林水産省及び国土交通省が公共工事の積算に用いるため毎年度決定する公共工事設計労務単価の80%の額)と異なり、業務委託には、基準を設定する際に基礎となる公的な客観的指標がほとんどないという現状です。
 このため、職種別賃金の設定が可能なものから、順次対象とする業務の拡大を図っていく予定です。

 二つ目は、継続雇用の確保についてです。

 入札により受注者が変わった場合、当該業務に従事する労働者が職を失ったり、仕方なく労働条件を低下させて、新受注者に雇用されることが多いことから、新受注者に、従前の受注者に雇用され、当該業務に従事していた労働者を雇用するよう努めなければならないとする努力義務を課す規定を加えようとするものです。理想的には、従前の受注者との間の労働条件を引き継いで、新受注者が従前の労働者を継続雇用すればよいのですが、これを条例で義務付けることは、専門家の意見でも、法的に困難な可能性が高いことから、努力義務を課す程度にとどめざるを得ないものです。
 一方、実務の面では、受注者の話を聴いたところでは、単年度契約では、なかなか正社員としての雇用は難しいということであるため、現行制度の中の運用で対応できる長期継続契約の拡充が、継続雇用の確保に資すると考えられることから、市長が長期継続契約の拡充等の必要な措置を講ずべき旨の規定も加えようとするものです。
(注)長期継続契約 地方自治法では、通常の契約期間は1年以内とされているが、1年の期間では事務に支障がある場合に、条例で定める業務については、複数年の期間にわたる契約ができる制度です。

 三つ目は、下請負者の請負額についてです。

 受注者から下請負者への適正な請負額を確保することが非常に重要であると考えられます。下請負者は、請負額が低いと従事労働者の賃金を確保することにより、自らの経営自体を危うくする危険があるからです。このことから、建設業法第18条では、『建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。』と規定し、第19条の3では、『注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。』と不当に低い請負代金を禁止し、下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第5号においても、『下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。』を禁じており、その違反に対しては、建設業法では、国土交通大臣又は都道府県知事が、下請代金支払遅延等防止法では、公正取引委員会が、事業者に勧告できる制度となっているため、条例に『受注者は、建設業法又は下請代金支払遅延等防止法を遵守し、下請負者との契約を締結するに当たっては、各々の対等な立場における合意に基づいた公正な契約としなければならない。』という趣旨の規定を追加するものです。
 また、低入札(落札額が低いこと。)は、下請負者の請負額の低下につながることから、入札においては、一定水準の落札額を確保することが重要と考えられます。
 そこで、一定水準以上の落札額を確保するため、低入札価格調査制度の拡充等の措置を市長が講じなければならない旨の規定を加えようとするものです。

(注)低入札価格調査制度 最低価格で入札した者を落札者とする原則の例外として、地方自治法で認められた制度であり、一定の額(低入札価格調査基準価格)以下で入札した場合、調査の結果、その価格では当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあるときは、その者を落札者としないことができる制度です。
本市では、低入札価格調査制度拡充の具体的な対策として、低入札価格調査基準価格を、国基準まで引き上げるとともに、著しい低入札については、直ちに失格とする失格基準を設ける方向で検討を進めています。なお、制度の対象は、当面、現行と同じ工事のみとせざるを得ないと考えており、業務委託については、工事のような明確な積算基準がないため、契約実績や他市の動向等の情報の収集及び分析に努め、可能なものから、順次導入していきたいと考えています。

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