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賃上げ、正規化こそデフレ打開のカギ 労働総研 /ILOも…

 労働総研が14日付けで「働くものの待遇改善こそデフレ打開の鍵――企業の社会的責任を問う」との提言を発表した。 日本、米、独、仏、英の国際比較(1995~2008年)で「日本だけが雇用者所得が減少し、他の4カ国はいずれも増加」「重要なことは、雇用者所得の増減に比例して国内総生産も増減している」と分析し、リーマンショック後の2年間で「家計貯蓄は81万円も減少。企業の内部留保は以前と変わらず2年間で38兆円も増加」と利益の還元によるデフレ脱却を産業連関分析の手法を使い提言している。
 また、ILOも15日「賃金の低迷が危機の重要な引き金となり、多くの経済で回復を弱め続けている」と同趣旨の報告している。
【「働くものの待遇改善こそデフレ打開の鍵――企業の社会的責任を問う」 提言12/14】【経済危機により世界の賃金成長率は半減-ILO世界賃金報告12/15】

【労働総研提言12/14 「働くものの待遇改善こそデフレ打開の鍵――企業の社会的責任を問う」(概要)】

 労働総研は、この度、労働総研提言「働くものの待遇改善こそデフレ打開の鍵――企業の社会的責任を問う」をまとめた。
 日本経済はいま、深刻な病=デフレに陥っている。その根は深く、日本経済は深刻な危機に直面している。この危機を生み出した最大の要因は、企業が膨大な利益をあげながら、設備投資にも回さず、労働者にも配分せずに、内部留保としてため込んできたことである。その結果、日本経済は深刻な需要不足に陥り、構造的なデフレ体質になってきた。
 提言では、こうした状況を踏まえ、(1)企業が目先の利益だけを追うことを改め、社会的責任を自覚して、必要な賃上げや労働条件の整備をおこない、内需の拡大をおこなうこと、(2)政府は、企業の収益が国民生活の向上につながるように必要な法制度の整備をおこない、国民の合意にもとづいて企業活動をコントロールすることが、現下の日本経済の危機を打開するうえで、待ったなしの課題となっていることを明らかにした。2011年春闘での労働組合のたたかいの発展が期待される。

【労働総研の主張】

 1 今回の提言にあたって、われわれは、日本、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの先進5カ国の雇用者所得と国内総生産についての国際比較(1995~2008年)をおこなった。そのなかで、日本だけが雇用者所得が減少し、他の4カ国はいずれも増加していることがわかった。重要なことは、雇用者所得の増減に比例して国内総生産も増減していることである。つまり、不況下でも頑張って賃金を支払ってきた企業・国が経済を維持・拡大できたということである。

 2 リーマンショック後の2年間を振り返ると、国の財政は税収の落ち込みが著しく赤字国債を41兆円も積み増し、労働者家計は賃金の低下と失業の増大などで家計貯蓄は81万円も減少している。ただ、企業の内部留保だけが以前と変わらず増加し、2年間で38兆円も増加している。
 企業の内部留保を国内需要に転嫁させることが決定的に重要である。企業が社会的責任を自覚し、労働者に十分な賃金を支払い、非正規労働者の待遇改善を図り、非正規の正規化などをおこなってこそ、日本経済は成長することができる。

 3 われわれは、今回の提言にあたって、(1)非正規労働者の待遇改善――非正規雇用を正規雇用に変える、(2)最低賃金を1000円に引き上げる、(3)すべての労働者の賃金を月1万円引き上げる、(4)働くルールの厳守(サービス残業根絶、年休完全取得、完全週休2日制)による355.5万人の雇用創出をはかることを提起した。

 産業連関分析の手法で、そうした施策を実現した場合の経済効果を算出したところ、これらすべてを実現すると、355.5万人の雇用創出と27.1兆円の消費需要が生まれ、それによって国内生産が51.1兆円、付加価値(≒GDP)が26.3兆円誘発される。日本のGDPをおよそ500兆円とすると、経済成長率を5.26%も押し上げることになる。それに伴い、税金も国と地方を合わせて4.7兆円の増収となることもわかった。そのために、38.2兆円の原資が必要になるが、この額は1999~2009年の内部留保増加分の19.5%にすぎず、企業がその気になれば十分に可能である。

【経済危機により世界の賃金成長率は半減-ILO世界賃金報告】

    2010年12月15日(水)発表ILO/10/69

 このたび発表されたILOの定期刊行物『世界賃金報告(Global wage report)』の2010/2011年版は、「危機時の賃金政策」を副題に、世界全体で14億人近い雇用者の94%を網羅する世界115ヵ国・地域の2008、09年の賃金データを分析し、金融経済危機により世界の賃金成長率は半減したことを示しています。
 危機前の2007年における世界の月額賃金の平均成長率は2.8%でしたが、2008年には1.5%、2009年には1.6%と低下し、集計から中国を除くと2008年0.8%、2009年0.7%と落ち込みはさらに激しくなっています。地域間の違いも大きく、アジア及び中南米では鈍化しつつも伸びが保たれたのに対し、東欧や中央アジアといった他の地域では劇的な下落が記録され、先進国では2008年に28ヵ国中12ヵ国、2009年にも7ヵ国で実質賃金水準が低下しています。
 2008年に次ぐ2号目となる本報告書は、危機が賃金に全体として与える短期的影響は、合計所得に占める賃金比率の長期低下傾向、生産性の伸びと賃金動向の乖離の拡大、広範にわたる賃金不平等拡大の背景の中で見るべきとした上で、将来的な危機からの回復のペースは、少なくとも部分的に、一般世帯がどの程度まで自らの賃金を消費増大に充てられるかにかかっていると記しています。
 フアン・ソマビアILO事務局長は、「この研究は、ぐずつく雇用危機のまた別の一面を示すもの」として、賃金の低迷が危機の重要な引き金となり、多くの経済で回復を弱め続けていることを指摘した上で、「我々は、大きな満たされないニーズと持続的高失業の只中で総需要が不足する世界に直面している」と語り、緩い回復を強化し、より長期的な社会と経済の不均衡に対処するため、雇用と賃金決定に注意を向けることをマクロ経済の策定に携わる人々に呼びかけています。
 報告書が指摘する主な事項には以下のようなものがあります。
・最低賃金の凍結が一般的なパターンであった過去の危機対応形態から脱却し、報告書対象国の半分で最低賃金額の調整が行われたこと
・データが得られる国の3分の2以上で90年代半ば以降その割合が増加している低賃金労働者対策については、最低賃金と社会・労働市場政策の連携を向上させる必要があること
・被用者の3割以上が団体交渉の対象となっている国では賃金と生産性の動向が一致する度合いが高く、最低賃金は賃金分布の下半分で格差を縮小すること
・団体交渉と最低賃金は、上手に設計された所得政策と共に回復期における労働者の所得を引き上げる可能性があること

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