デフレ進行で吹っ飛ぶTPP「効果」 笑うのは誰?
自由貿易で「強い経済をつくる」「新成長戦略だ」と言うが、まったく理解できない。
一部輸出大企業が仮に利益を得たとしても、それが国民、労働者に還元されないのはこの10年間の雇用者報酬の低下や労働分配率から見て明らかである。(これは法人減税も同じ)。結局、地域経済の破壊、デフレ・円高を進行させ、笑うのは外国のアグリビジネスだけ、と思う。
まず儲かっても、国民、労働者に還元されてない点。
・資本金10億円以上の大企業(財務省「法人企業統計」)
単年度経常利益 96年15.8兆円から06年32.8兆円と2倍に
利益剰余金 95年70兆円台から、08年に133兆円
国内の有形固定資本は増えてない(200兆円前後)。急増したのは投資的資金(70兆円台から150兆円)
・労働生産性の上昇と分配の関係(厚労省「労働経済白書2007年」)
1980年代 労働生産性+2.8% 賃金上昇1.6% 労働時間削減0.2%
1990年代 労働生産性+1.4% 賃金上昇0.2% 労働時間削減1.1%
2000年代 労働生産性+1.7% 賃金上昇-0.1% 労働時間削減0.1%
一方、一次産業とその関連産業は壊滅的な打撃を受け、ただでさえ冷え込んだ内需をいっそう冷え込ませる。農水省が発表した4兆円超という影響額を手当てできる財源はない。仮にある程度手当てしても、それは他の社会保障財源の削減か、庶民増税であり、結局、内需が冷え込むことに違いはない。
GDPの57%は家計消費である。
内需が冷え込み、デフレが進行すれば、実効利率が上昇し、さらなる円高を誘発する。よって自動車など一部輸出企業も、数%しかない関税撤廃の効果は、一気に消えうせる。
【デフレの原因は賃金低下 富士通総研2010/8】
【円高対策のカギは賃上げ 2010/9】
(原産地規制をクリアするためのコスト増で、工業製品については、関税自由化の効果自体も怪しいが・・・)
結局、高笑いするのは、米国をはじめとする農産物輸出国、アグリビジネスだけ・・・というのが、ことの顛末ではないか。(亡国、売国の極みと思うが・・・ この点では、靖国派はどうしたことか、と思う。)
「合成の誤謬」という言葉があるが… 1輸出大企業にとって短期的な利益を確保するための「合理的」な選択が、結局は、大きな間違いにつながる、というが・・・
社会が強制しないがきり、目先の利益にはしるのは、資本の魂である。
「バスに乗り遅れるな」のような情緒的な「語り」は、信用しないほうがよい。
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