一段と厳しさ・教育費負担 年収の37%
日本政策金融公庫が、国の教育ローン利用世帯に実施した調査で、年収が592.2万円から572.5万円と約20万円減、教育費は199.7万円から215.3万円と約16万円増となり、年収の33.7%から37.6%に増加。
とりわけ年収200-400万円の世帯では、年収の56.5%に上っている。
【教育費負担の実態調査結果 11/12】
【教育費、世帯年収の37% 負担割合、過去10年で最高 朝日11/13】
しかも、この不況、就職難・・・ 奨学金(教育ローン)を借りても、返す見通しも不透明である。
9月6日の「クローズアップ現代」では、就職難・生活難・非正規雇用・低賃金などを原因として、奨学金を返したくても返せない実態をレポートしていた。
【奨学金が返せない ~若者たちの夢をどう支えるか~】
国際人権規約の高校・大学の学費の段階的無償化を定めた条項を留保しているのは、アフリカのマダガスカルと日本の二国だけ(日本共産党は、いち早く81年1月の参院代表質問で宮本顕治さんが留保撤回を求めた、その後、繰り返し国会で取り上げてきた。)。GDP比での教育予算は先進国最低。
やるべき課題は明確である。
今年6月に発表された「文部科学白書」(概要)の最後のまとめは以下のようになっている。
・我が国は,国際的にみて家計の教育費負担が大きくそれに比べて公財政教育支出が少ない。
・経済的格差が教育格差に影響し,格差の固定化や連鎖につながる恐れ。
・質の高い教育を実現し,教育の機会を確保するためには教育への投資が必要。
我が国の成長を牽引し,新たな未来を切り拓くのは国民一人一人であり,人材への投資である教育に社会全体として十分な資源を振り向けて取り組むことが必要。
【「構造改革」路線の失敗 文部科学白書2010/6】
【教育費、世帯年収の37% 負担割合、過去10年で最高 朝日11/13】家庭の年収に対する教育費の負担割合が4割近くに上ることが、日本政策金融公庫が今年度、国の教育ローンの利用世帯を対象に実施したアンケートで分かった。負担割合はこの10年で最高。景気低迷で年収が減少するなか、収入が低い世帯でとくに教育費の負担が重くなっている。
調査結果によると、世帯年収に対する小学校以上の子どもの在学費用の割合は、平均37.6%。2009年度の33.7%から3.9ポイント増。世帯の平均年収が09年度の592.6万円から572.5万円に減少した一方で、授業料や通学費、教科書代といった在学費用が増加したという。
年収200万円以上400万円未満の世帯は在学費用が166.7万円で、年収への負担割合は56.5%に上った。09年度の48.3%から大幅増で、他の年収世帯層が2~3割台なのに対し、負担の重さが顕著に出ている。年収800万円以上の在学費用は237.8万円で、年収が高い世帯層ほど教育費が高い。
高校入学から大学卒業までにかかる受験代や入学金、授業料などの1人あたりの費用は1059.8万円で、09年度から52.1万円増加した。
教育費をひねり出すため、多くの家庭が節約に取り組んでいる。三つまでの複数回答で尋ねたところ、教育費以外の支出の節約が62.4%で、奨学金(53.3%)や子ども自身のアルバイト(40.3%)による対策を上回った。節約項目は、旅行・レジャー費が61.3%、外食費が50.8%で、保護者の小遣いとの回答も41.1%に上った。
アンケートは7月に郵送で実施。2、3月に国の教育ローンを利用した世帯のうち5409世帯の回答を集計した。
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