障害者「自立支援」延命法 審議抜きで採決
17日、衆議院厚生労働委員会で自立支援法「改正」法案がわずか審議ぬきで強行採決された。反対は日本共産党、社民党。
「私たち抜きで私たちのことを決めないで」という基本合意を踏みにじるもの。「応益負担」の条項もそのままで、時限立法にもなってない。以下は、障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会、障害者自立支援法訴訟全国弁護団の声明
【障害者自立支援法「改正」法案に対する声明】
【障害者自立支援法改正案の上程に抗議声明―違憲訴訟弁護団ら CBニュース】
―― 障害者自立支援法と同じ構造である保育の市場化をめざす制度改革を推進するためには「自立支援」法の延命が求められた・・・ そう理解するのが一番筋が通る。
運動のいっそうの連帯が必要と思う。
【障害者自立支援法改正案の上程に抗議声明―違憲訴訟弁護団ら 医療・介護CBニュース11/17】障害者自立支援法違憲訴訟の弁護団と「障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会」は11月17日、同日に衆院厚生労働委員会で可決された同法改正案に反対する声明を発表した。
記者会見した弁護団の藤岡毅弁護士は、同法の改正について、今年1月に弁護団・原告団が国と取り交わした基本合意文書で示されている2013年8月までの同法廃止に反するものと指摘。また、今回上程される法案で応能負担が原則となることについて、「提案者は応益負担がなくなるかのような説明をするが、現行の4段階の負担区分を応能負担と言い換えただけだ」と批判した。さらに、「改正案は(費用の)『1割負担』を条文化している」と述べ、速やかな応益負担の廃止を明記した基本合意文書に「相反する改正だ」と強調した。
【障害者自立支援法「改正」法案に対する声明】2010年11月17日
障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会
障害者自立支援法訴訟全国弁護団一 障害者自立支援法違憲訴訟と基本合意
私たち原告71名は「障害は障害者自身の責任である」と感じさせる障害者自立支援法は憲法の保障する基本的人権を侵害するものとして全国で提訴しました。
政府は話し合い解決を求め、本年1月7日、国(厚生労働省)(以下「国」)と訴訟団は基本合意を締結し、4月21日までに全国14地方裁判所において基本合意を確認する和解が成立しました。そこで国は次のことを認め、確約しました。
・速やかに応益負担を廃止すること
・平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止すること
・国は違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める
・障害者自立支援法を障害者の意見を十分踏まえず施行し、障害者の尊厳を深く傷つけたことに対し心から反省の意を表明し、この反省を踏まえ今後の立案・実施に当たる。二 5月、6月の法案と何ら変わらないこと
本年5月28日、衆議院厚生労働委員会で、与党案と野党案が撤回されると同時に委員長提案がなされて、6月上旬に法律成立直前まで行った一件がありました。
「障がい者制度改革推進会議」及び「総合福祉部会」を踏みにじるやりかたに、その全ての構成員が遺憾の意を表明し、廃案に至りました。
その後、各政党は、それら構成員、団体のヒアリングを実施はしました。私たち訴訟団も民主党のヒアリングには参加しました。そこでも訴訟団を含めて様々な意見が出ました。
また、総合福祉部会では6月7日、「新法制定前に対応するべき当面の課題」が提起され、総理大臣にも提出されました。
しかし、本日11月17日に再び上程された法案は、優先的に対応するべき「当面の課題」は何ら考慮されず、意見、提言は何一つ検討されることなく、「一言一句変えない」もの(施行時期の技術的文言除く)であり、ヒアリングは、「アリバイ作り」と批判されて然るべきものです。三 障害者自立支援法を「復活」させようとする意図を否定できないこと
私たちが2008年10月に一斉提訴に踏み切り、当時の与党は2009年3月に、「自立支援法手直し法案」を提案するまで追い詰められました。
それは、1割負担を前提に、軽減措置の額をただ「応能負担」と言い換えて、「自立支援法は変わったので問題ない、このまま使おう」とするもので、私たちは問題の本質をすり替えるものとして厳しく批判し、廃案となりました。今回の法案は、その法案とほとんど変わりがないのです。
まさに「自立支援法はよくなったのでこのまま使おう」と延命を図る動きであり、私たちの声を聞こうとせずに、繰り返される強引極まる政治の動きは、端的にいえば、障害者自立支援法「復活」を狙ったものではないかと強い危機感を覚えざるを得ないのです。四 廃止と新法作りが本筋であること
推進会議のスケジュールでは、平成25年8月に新法施行、24年前半に新法可決、23年に原案ほぼ完成というものです。
他方、今回の「改正」法では、公布と同時に施行される「障害の範囲」の点を除けば、平成24年4月から7月頃に施行されるものであり、既に新法が可決され、現行法は廃止日までの約1年間の猶予期間状態です。
障害者の尊厳を傷つけることを理由に廃止直前の法を廃止までの約1年間のためだけにここまで批判を受けて改正することは、どうにも理解に苦しみます。
新しい法律の制定と制度移行に全力を注ぐべきこの時期に法律上の制度改変を行なうことは、円滑な新法移行に対して、かえって混乱を招くものです。
また、このような法「改正」は、現在精力的に行なわれている推進会議と総合福祉部会での議論の幅を大きく制約するものと言わざるを得ず、改革の足かせになるものです。五 これでは応益負担は決して廃止されないこと
あたかもこの「改正」で「応益負担がなくなる」かのごとき説明ですが、現行の金額は不変であり、今まで明文にはなかった「1割負担」が条文化されますので、基本合意で約束された「速やかな応益負担の廃止」にはむしろ、相反する「改正」です。
額を政省令に委ねるという法案ですが、5月から6ヶ月以上経過しても、新たな負担額を定める政省令案の話しは聞こえてきません。すなわち、提案者らには、現行の額を下げよう、応益負担を無くそうという意思がないのです。六 必要な当面の対策は政省令、予算措置で行なえること
確かに、現行制度の不備を埋める応急処置は必要です。純粋に個別事項の早急な解決を願う人々と私たちの願いは同じです。
諸団体が指摘している不備は、まさに自立支援法が何度も実施してきた、特別対策、緊急措置等で可能ですし、それは実施されるべきです。しかし、障害者の尊厳を傷付けるとして本質的に存在を否定されたはずの法律自体を「改正」する必要はありません。七 人権を政争の具とするな
またもや聞こえてくるのが、永田町での法案の駆け引きであり、人権を政争の具(愚)とする過ちを立法関係者は自戒頂きたい。八 結論 私たちは「改正」法上程の動きを到底認めることはできません。
委員会、本会議ともに、衆参両議院において、国民、障害当事者の疑問に応え、十分な審議をするべきです。
私たちは今後も、基本合意の実現、だれもが安心して暮らせる新法制定をめざして、運動を続けて参ります。 以上
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