非正規職保護法の展望 韓国の先例を学ぶ 日弁連集会
11月9日、日弁連の院内集会「非正規労働者保護法を展望する~労働者派遣法の今国会での抜本改正を~」が開催された。日弁連は、派遣法改定案について「派遣労働者の低賃金・不安定雇用を解消するにはなお不十分」として2月19日に意見書を発表しているが、同集会では、韓国で06年に制定された「非正規職保護法」の内容が脇田滋龍谷大教授より報告されたとのこと。(山下よしき参院議員HPより)
【日弁連が派遣法抜本改正で院内集会 韓国の非正規職保護法とは11/9】
脇田滋教授が韓国の若手研究者とまとめた内容(竜谷大社研・研究会の報告)がアップされている。
【韓国の非正規労働者保護法と労働運動 08/12】
韓国で、98年に労働者派遣法がつくられ、非正規職が急増(労働界の推計では賃金労働者全体の約55%が非正規職労働者。政府の推計では約35%)したことにともない、非正規運動が高まって、06年に非正規職保護法が制定されたこと、その内容は、
①期間制勤労の使用期間を2年以内に限定。2年を超えたとき無期契約とみなす
②派遣勤労は対象業務を限定。派遣期間は原則1年、延長しても2年をこえることはできない
②違法派遣の場合、派遣先事業主は派遣勤労者を直接雇わなければならない。直接雇用されるときの勤労条件は、派遣先の勤労者の中に同種、類似業務を行う勤労者がいる場合、その勤労者に適用される就業規則等で定める勤労条件によること
④期間制・短時間・派遣勤労に共通して、賃金その他の勤労条件などにおける合理的な理由のない差別を禁止
など。
この非正規労働者保護法のもとで、韓国最大の企業・現代自動車の違法派遣に対し、2年を経過した時点で直接雇用をみなすべきであるとした大法院(最高裁)の画期的判決(10年7月22日)も下された。
脇田教授は、日本との大きな違いとして、労働組合が産業別に組織されていることを指摘。正規と下請けの労働者が同じ組合に入ってともにたたかっており、実際、15万人を擁する金属労組(産別)の副委員長は下請けの労働者で、同労組はいま、「社内下請正規職化大闘争」に取り組んでいるとのこと。
企業別組合となっている日本の労働運動が克服すべき大きな課題。
またHPには 同集会で、派遣や契約社員として何年も働きながら雇い止めされ、裁判でたたかっている3人の当事者の
「違法行為を指摘したら雇い止め。これでは派遣労働者は声を上げることができない」
「有期契約の労働者を保護する法律は何もない。無期契約、均等原則がない限り安心して働けない」
「どうして期間の定めがある労働者だと、これほど乱暴に扱われなければならないのか」
などの発言。2人の女性は時折声を詰まらせながら訴えで、その悔しさを胸に刻みました。
とある。(以上、引用おわり)
また、自由法曹団がチラシ・ワード版も出している。
「派遣法を抜本改正して正社員化を実現しよう! 11/10」
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