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新防衛大綱 沖縄2紙が懸念・異議

 民主党政権の防衛大綱に、中国と地理的には最前線に位置する沖縄の二紙が社説で懸念を表明している。
 「尖閣諸島の領土問題を理由にした沖縄での自衛隊強化に合理的な根拠はあるのか。戦略がみえない防衛論はどうにも危なっかしい。」(沖縄タイムス)
 また武器輸出三原則の見直しや旧日本軍の用語復活にもふれ、「これら提言は、平和憲法の下で、戦後日本が歩んできた平和国家としての在り方を逸脱しかねない危険性をはらんでる。 軍事的緊張がことさら強調され、平和憲法がなし崩し的に形骸(けいがい)化される事態があってはならない。」

【[防衛大綱見直し]安易な増強論は禁物だ 沖縄タイムス社説11/22】

【新防衛大綱提言案 平和憲法の形骸化許されない 琉球新報・社説11/20】

 基地が集中し、先の大戦では唯一の地上戦の舞台となり、多くの犠牲者を出した沖縄の声に、しっかりと理性的に向き合う必要がある。
 偏狭なナショナリズムが不幸しかもたらさないのは、先の大戦で証明済みであるる

【[防衛大綱見直し]安易な増強論は禁物だ 沖縄タイムス社説11/22】

 尖閣諸島の領土問題を理由にした沖縄での自衛隊強化に合理的な根拠はあるのか。戦略がみえない防衛論はどうにも危なっかしい。国境での安易な軍事増強は安保環境を損ねる。
 政権交代後初めてとなる防衛大綱見直しが年内に仕上がる。2004年以来の改定であり、日本の針路を内外に示す上でも重要だ。
 焦点の一つが陸上自衛隊の定員(現大綱15万5千人)をどう見直すかだ。財政状況が厳しい中で財政当局は定員切り下げを迫っている。
 陸自は当初、テロや災害対応などを挙げて全体で1万3千人の増員を求めていた。しかし他国軍の攻撃が想定しにくい現在、大幅増員は難しい。このため南西諸島での尖閣諸島をめぐる領土問題への対処として2千人増に要求を下げ、現2千人の沖縄配備を倍増する計画が浮上した。
 尖閣沖での中国漁船衝突事件が増員要求の追い風となっている。これまで与那国島に沿岸監視隊と宮古、石垣島に国境警備部隊など中隊規模(200人)を新配備する構想が検討されていた。
 果たして当を得た議論だろうか。沿岸監視はレーダーや通信傍受で近海を航行する艦船を監視、国境警備は武装ゲリラ侵攻への初動対処などが主な任務だ。現状の部隊配備では不足なのだろうか。
 そもそも「島しょ防衛」には一般的に海空戦力が重要視される。陸自の増配備が持つ軍事的意味よりも近隣国の反発が気がかりだ。軍事は政治の延長であることを肝に銘じてもらいたい。
 航空自衛隊も10年以内をめどに、那覇基地のF15戦闘機を10機増やして30機にする計画らしい。F15は、F4の後継機で本土の航空基地では1990年代初頭から配備されている。那覇配備が完了したのは昨年3月だった。沖縄配備が後回しになったのは中国を刺激しないためだった。
 旧政権が慎重だった南西諸島の防衛強化に民主党政権が踏み込むのはなぜか。
 旧型戦闘機の機種更新は必然なのかもしれないが、国境諸島で陸自を増強するメリットは何か。中国など近隣国が警戒を強めることのデメリットをどう考慮しているのだろうか―疑問ばかりだ。
 国境の防衛体制強化は緊張を招きかねない。菅政権の危機管理は心許(もと)ない。定員増を狙う陸自が島しょ防衛を交渉材料にしているだけなら問題だ。多くの自衛官が島で生活したとき、小さなコミュニティーへの影響は計り知れない。
 米国防総省の中国軍事動向に関する年次報告(2010年版)は、軍事費拡大を引き続き警戒するとしつつ、海賊対策や災害救援などの国際貢献に中国が積極的である現状を評価し、民生分野の協力や軍事交流を活発化させる方針を記している。「対立」ではなく、「協調」へ導こうとする戦略が読み取れる。
 経済、防衛力とも数十年後には米国と肩を並べるといわれる中国とどう付き合うかという戦略を日本も明示すべきだ。それは南西諸島の未来にも直結する。

【新防衛大綱提言案 平和憲法の形骸化許されない 琉球新報・社説11/20】

 わたしたちの生活周辺で、またも「軍靴の音」がにわかに高まりつつある。政府が年内に策定する新たな防衛計画大綱に関し、民主党の外交・安全保障調査会が取りまとめた提言案のことだ。
 提言案では自衛隊で使用する言葉を旧日本軍の用語に変更し使用することをはじめ、陸海空自衛隊トップである幕僚長や統合幕僚長を天皇の認証官ポストにすることなどを求めている。
 沖縄は先の第2次世界大戦で激しい地上戦の舞台となり、住民ら多数の犠牲者を出した。住民を守るべき軍隊、旧日本軍が住民に集団自決を強いる状況に追い込んだことを忘れてはいない。県民にとって、旧日本軍を想起させる用語の復活は強い抵抗感がある。
 天皇の認証官ポスト化は、自衛隊を「軍隊」へと格上げ、強化しようとする意図もが透けて見える。
 先の大戦の反省を踏まえ、憲法では9条で戦力の不保持や交戦権否認を規定している。これまで9条と自衛隊の存在との整合性を図るため、あえて軍隊で使用する用語を避けてきた。
 現在の用語使用によって、実力組織の自衛隊を政治的にも抑制してきた側面がある。
 旧日本軍の用語復活、認証官ポストの提言の背景には自衛隊側の長年の強い願望があるといわれる。しかし、民主党内で深く議論した形跡すらなく、国民に議論を呼び掛けたわけでもない。あまりに唐突だ。
 さらに提言案では、部隊や装備の大きさよりも即応力や機動力に重点を置く「動的抑止」という新しい考え方を打ち出した。
 南西諸島への陸自部隊増員に加えて、次期戦闘機(FX)の早期取得、対潜水艦戦力の増強など空海自衛隊の警戒監視能力向上の必要性を強調している。
 武器輸出三原則の見直し、国家安全保障会議(NSC)を新設し、情報収集を強化することなども提言に盛り込んでいる。政府内にも異論があり、新防衛大綱に盛り込まれる見通しは立っていないという。
 だが、これら提言は、平和憲法の下で、戦後日本が歩んできた平和国家としての在り方を逸脱しかねない危険性をはらんでる。
 軍事的緊張がことさら強調され、平和憲法がなし崩し的に形骸(けいがい)化される事態があってはならない。


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