高知の若者 雇用・就活事情
15日、青年から雇用や就活の状況について懇談。青年がとりくんだアンケート結果と体験の交流した。
先日、笠井議員が「就職難と過熱就活の是正を」と迫っていたが・・・社会の持続性に関する問題である。
【若者の未来を奪うな!笠井議員 衆院予算委員会(10/13)】
(1)青年生活実態アンケートから
・回答406名。女性204名、男性202名(土日を中心に街頭で聞き取りが85%)
・平均年齢26.4才(10代3%、20代72.4%、30代24.4%)
・親と同居50.5。独立42.4%
・未婚83.0%、既婚16.0%(うち44%が子どもなし)
・正規雇用59.3%、非正規30.8%
・労働時間 9.2時間/日
(過労死ラインの38人 平均労働時間11.7時間、平均休日5.6日 )
・平均休日 7.6日/月
・平均年収 244万円(200万円以下28.1%)
非正規は197万円(200万円以下59.1%)
・職場での不満など(複数回答)
低賃金51%、残業代未払い23%、長時間労働20%、
定年まで・当面働き続けたい 81%
将来への不安 46%
(2)参加者の発言から
・福祉職場 臨時、手取り15万。早出・遅出・日勤・泊りの4パターン。30代になったら体が持つか不安。契約は半年毎で、更新時には不安になる。福祉の職場は、条件は低いが絶対数はある。前の職場は、昼に入り、翌日の昼までの勤務。
・医療事務 就活は大学3年の10月ごろから。膨大な企業数、何をしてよいか。何社もうけているうちに何がしたいのかわからなくなる。疲れて就活を中断、卒論に集中した。たまたま良いご縁があって今の職場に。
・一同/その会社の特徴を調べて「ここしかない」というプレゼンをする。それを何社もやっていると、自分が何がしたいのかわからなくなる。/自分をだまして、うそをつく。その繰り返し。
・大学4年。教育実習うけ、本格的に教育・塾関係での就活を開始。しかし、3、4月の会社説明会に出ていないと試験も受けられない。そもそも周りのプレッシャ-で「大学に行かなくちゃ」との思いで来たので、何をしたいのかわからない。それを探しているうちに3年生の途中から就活がはじまる。少しぼんやりして流れに乗り遅れると、正職がどんどん遠のいていく。
・事務系 福祉の学校にいっている後輩2人。内定をもらった。一人の子は、募集10名に応募6名だった。また友人が市内大規模店舗で仕事している。准職員という非正規。それでも職3から職2にあがった、と言っていた。今、研修に行っているが、惣菜コーナーは彼がいないとまわらない。そういう基幹部分も非正規となっている。みんな「他に仕事ない」「働けたらよい」と、あきらめが蔓延している。
・県外の不動産会社に就職した知人。その店舗で毎日のようにいじめ、暴行を受け、足を折られて高知に帰ってきた。別の子は、売り上げが1万円あわないと窃盗の疑いをかけられ、毎日責められて、退職を強要された。
・無職。非正規で1年。メンタルをもっていて今休職中。うつは集中力、意欲が低下するので外から見たらサボっているように見える。しかし、メンタルがあると言うと採用されない。隠して職につくと、まわりのフォローが期待できない、という堂々めぐり。ハローワークには、メンタルをもっている人は障害者コーナーで相談できるが、作業所のような時給650円とか、法定率を達成するため採用する、というものしかない。
就職支援の職場で臨時で働いた。高知の企業には教育できる体力がなく、即戦力で、2人分、3人分働いてもらえる人でないと、企業自体がもたない、というところが多い。ボーナスや休みがあったらラッキーという感じ。この相談所には卒業時に就職できなかった人が来る。元気に相談に来た人が、三ヵ月後には暗い顔をして訪問してくる。顔色が悪く病気のような人もいる。「病院にいったら」と声をかけたら「保険証かない。親もない」。その人が次ぎの相談の時には「生活保護がとれた。病院にもいける」と見違えるように元気になって、意欲的だった。失業は精神を蝕む。不安が精神を蝕む。
大学の友人。入学後すぐに不登校。今、フリーター。職について病気に。「責任が問われる正職員にはなりたくない」と言う。別の友人は、就職して毎日夜中の11-12時まで、2年間働き詰めて、血を吐いて仕事をやめた。毎日食べて寝るだけで、メールも返らせないような状況で交友関係はほとんどなくなった。みんなもともと明るくてまじめな人。ふとしたことで崩れていく。
就職支援でスキルアップの合宿とか様々あるが、行ける意欲があればよい。そこにまで行き着けない人がたくさんいる。
自分のことでは、職場やめて、国保に入ろうと相談したら、年20万になる。とても入れないと思ったが、そうしたら毎月の薬代が1万5千円いる。是正措置がありなんとかなったが、年金も心配。25年かけないといけないということは、35歳までに正職員にならないといけないが・・・
・大学生 8割が県外、県内でも周辺部は下宿。学費と生活費がいる。アルバイトの時給が低く、ちゃんと学べてない学生がたくさんいる。卒業できる単位がとれたらよい、と思っている子が多い。友人に家賃を滞納している子もいる。学部の特徴として留学希望の子が多いが、休学しないとだめ。その分の余分な学費は払えない、と親から言われあきらめる子もいる。大学とは自分のやりたいことを探し、探求するところと思っているが、お金がなくてそれもできない。就活と学業がかちあう。何のための大学か、と思う。
【感想的メモ】
・雇用の現場、就活の中で、多くの青年が傷つき、また生活不安から、次ぎの挑戦もできない状況にある。生活保護など生活をしっかり支えながら「中間的就労」で、自尊心と社会的関係を回復する場(湯浅氏の言葉で言えば“溜め”をつくれる場)を、広く設置していくことが、政策的、運動的にも重要だし、現実性があると思う。
それが新規就業者支援、キャリアアップ支援など、今の政策との溝を埋めるものになるのではないか。
下支えをしっかりすることがポイントではないか。(フランスの労働運動「失業する権利」~劣悪な雇用を拒否する権利)
・貧困の連鎖を断ち切る教育支援も・・・・これも政策的、運動的にも重要だし、現実性があると思う。
・無料低額診療を実施している潮江診療所が、自殺防止の補助事業の認定をうけ、パンフレットを作成したら、ハローワークから「置かせてほしい」と要望があったとのこと。求職者とのやり取りで、健康状況の確認が必要になるが、「具合が悪いがお金がない」など対応に困ることがあるとのことで・・・。置いた翌日に、20代の若者が来たという。
また、この夏、毎日はハローワークに自転車で通っていた青年が帰る途中倒れた。気がついて家に帰ったが、妹さんが診療所に連れてきた、という例も…
ハローワークに通う人に、無保険者が多いことが推測される。またサラ金など多重債務も考えられる。自治体の福祉行政とは当然だが、無料低額診療やうろこの会などとの連携がすすめばよいが、と思う。
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